球春到来!67回目を数える沖縄県高校野球春季大会が3月20日からいよいよ開幕する。沖縄尚学、八重山農、嘉手納、具志川の4校のシードと、ライバル校らが目白押しの春の大会を、前回のABブロックに続く後編の今回は、C、Dブロックを見ていこう。
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投打に充実の沖縄尚学がいるAブロック、具志川や未来沖縄らがひしめくBブロック!【春季沖縄県大会展望・前編】
八重山農の真価が問われる春
親里大翔(八重山農)
昨年秋。僅か12人で決勝まで登り詰め、同校の伝説を作った八重山農。右のサイドハンド親里大翔と、サウスポー・垣本真志の二本柱が継投し、相手打線を封じれば、1番・久貝悠斗が打率.467、2番・大浜圭人が打率5割(いずれも準決勝を終えた5試合の成績)と打線を引っ張ってファイナルへ進んだ。
ただ、沖縄尚学打線を相手に先発した垣本真志が4イニングで9安打、継投した親里大翔も、残り5回と2/3イニングで8安打を浴び頼みの二本柱が8失点。9回に奇跡の同点に追いつく驚異的な粘りの打線も、8回までは2得点(7失点)だった。
初の九州地区高校野球大会でも、1対8と福岡第一にコールド負けを喫した八重山農。上位校と互角に戦うために、何が足りなかったのか。真価が問われる春となる。
シード・八重山農を追う一番手が美里工と具志川商。新人中央大会ベスト4の美里工は秋、沖縄宮古を7対0、知念を13対3と共にコールドで下し王道を地で行く戦いを見せた。
この2試合で目を引いたのが4番・富島力斗。沖縄宮古戦でチーム初ヒットを記録すると、2打席目の三塁打を含む4安打。続く知念戦でもその打棒は止まらず、1打席目の二塁打を含む5安打。何と9打数9安打。
長らく沖縄の高校野球を見てきた筆者も見たことのない数字が並んだ。準々決勝の具志川戦では5打数1安打も二塁打を記録。インコースを苦にせず、楽々とライト方向へ持っていく技術とパワーが、相手投手を苦しめる。
新人中央大会準優勝の具志川商。島袋柚希、普久原勇、新垣琉斗の二年生に178cmの一年生・新川俊介らがマウンドを守る。新人中央大会の一回戦で八重山農を相手に4対7と勝利しているだけに、秋の八重山農旋風に悔しい思いをしたことだろう。
秋の那覇工戦で2本の二塁打を放った4番・安田風太や、一年生ながらキャッチャーでクリーンアップも務めた狩俣伊吹ら打線もしっかりしている。順当に行けばこの2校が二回戦でぶつかる。北山-未来沖縄、首里-豊見城も好カード。この4校も初戦で波に乗り、下克上といきたい。
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沖縄水産、興南が入ったDブロック
嘉手納のエース・新垣翔也
新人中央大会で優勝。秋の二回戦で中部商を11対1。三回戦で興南を10対2と強豪校をコールドで下し、周囲に改めて衝撃を与えた沖縄水産。新人地区予選から負けを知らず、目の前にいる全てをなぎ倒すかのような横綱野球だった。その沖縄水産に土をつけた嘉手納の戦いぶりがあっぱれだった。
180cmの右の長身エース・新垣翔也は、その沖縄水産戦で先発し5回を投げ3安打無失点。三回戦の八重山戦で140kmに迫るストレートを投げるなど、ピッチャーとしての素質に自信が加わったのが一番の収穫。この冬、そのストレートにさらに磨きがかかったのなら、打ち崩すのは容易ではあるまい。
その沖縄水産戦で新垣翔也をリリーフし、9回裏の大ピンチでも自分を見失うことなく投げ切った伊禮颯哉は、一年生とは思えないマウンド度胸が武器。試合を作る安定感では新垣翔也をも凌ぐ。主将としてチームを引っ張る呉屋英大は、貴重なサウスポーとしてマウンドに上る。
久場俊、與儀哲正の1,2番コンビが引っ張る打線でも、一際目を引いたのが緒方光星。バッティングに関しては何も言うことがないほど。冬の特守で苦手をどれだけ克服したか。
その嘉手納でも足元を救われかねない二回戦となるだろう、美来工科と普天間が隣の山で競い合う。本部に敗れた美来工科だったが、本部の川田莉空と幸地怜央を苦しめ12安打7得点を叩き出した。
この自信が、普天間の誇る投手陣にも十分通用するだろう。本部戦4安打2打点の蔵當飛雄馬、同じく3安打1打点の前代竜樹の1、2番コンビの出塁がカギとなる。かき回しながら、前チームからレギュラーを張ってきた仲宗根怜音に繋げていきたい。
興南の3番で主将の西里颯
普天間は秋の本部戦で1失点(自責点ゼロ)の一年生左腕・玉那覇翔大と、二年生右腕・比嘉海翔の二人が、秋の大会計20イニングで自責点ゼロをマーク。注目の玉那覇翔大は、被打率.149、奪三振率8.31と素晴らしい結果を残した。鉄壁の守りを打線がどれだけカバー出来るのかにかかる。
秋の沖縄水産戦で忸怩たる思いをした昨春の王者・興南。宮城大弥(オリックスバファローズ)や勝連大稀(ソフトバンクホークス育成)らと共に戦ってきた西里颯と、黄之芃、比屋根秀斗らが中軸を担う。
4番を争う宮城琉人と野田愛眞はともに一年生の右打者。両者ともに長打力は申し分ないだけに、どちらがこの冬で成長したのか。心配が少ない打撃陣に比べると不安が多いのが投手陣か。沖縄水産戦での7イニング10失点をどこまで修正してきたのか。伊波優弥、山城京平らの成長なくして春の連覇はならない。
嘉手納へのリベンジを目論む沖縄水産。嘉手納戦で2安打を放った一年生・金城愛樹や、興南戦で2安打2打点の内原熱貴、同じく興南戦で3安打2打点の古波蔵悠悟らが中心の打棒は県内随一のトップクラスを誇る。
古波蔵悠悟は興南戦で先発し7回を2失点。また、古波蔵と同じように経験を積んできた石川愛斗の復活があるのか。それとも他の投手が起用されるのかにも注目が集まる。秋16強の知念と浦添も好カードだ。
(文=當山 雅通)
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