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【秋季都大会トッププレーヤー】調布シニア出身の中西健登(国士舘)と森畑侑大(創価)

2019.12.21

中学生の時代はエースでなかった2人の好投手

【秋季都大会トッププレーヤー】調布シニア出身の中西健登(国士舘)と森畑侑大(創価) | 高校野球ドットコム
森畑侑大(創価)

 投手の球数制限が実施されようとする今日、先発完投型のエースらしいエースは少なくなってきた。しかしこの秋の都大会では、2人の先発完投型のエースの活躍が、大会を盛り上げた。

 1人は国士舘中西健登。身長186センチという長身ながら、サイドに近いファームから、シンカーやカットボール駆使した。準優勝、決勝ではともに被安打2の完封をし、チームの秋連覇の立役者になった。

 もう1人は創価森畑侑大だ。こちらも身長183センチと長身で、最速145キロは東京ではトップクラスで、チームを7年ぶりの秋4強に導いた。

 2人に共通するのは、調布シニアの出身であることだ。荒木大輔清宮幸太郎などを輩出した名門チームだ。ただ2人とも調布シニアでは、エースではなかった。

1次予選では参考記録ながら完全試合を達成

 中西は森畑について、「エースではなかったですが、今は球も速くなっていて、びっくりしました」と語る。

 実際森畑が創価に入学したころの球速は、125キロ程度だったという。今でも体重は73キロと細身だが、食事の量を多くして体重を増やし、走り込みなど、冬の間のトレーニングの成果で、球速が増していったという。

 夏の大会では、3年生のエース・古川風勝とともに、この大会で準優勝したチームのマウンドを支える存在になっていた。新チームになってエースになった森畑は、秋の1次予選の代表決定戦の豊南戦で、8回参考記録ながら完全試合を達成し、一躍注目を浴びる存在になった。

 森畑の武器は、速球とともに、鋭く落ちるフォークボールだ。モーションの時に、軸足のかかとを上げるフォームは、元巨人の江川卓を思い起こさせるが、本人がモデルとしているのは、ソフトバンクの千賀滉大だという。

[page_break:国士舘・永田監督が見出した投手としての素質/対照的な2人 夏の大会で対戦なるか?]

国士舘・永田監督が見出した投手としての素質

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中西健登(国士舘)

 森畑の成長に驚いた中西であるが、中学生の時は外野手や捕手で、投手の経験はなかった。それでも国士舘の永田昌弘監督は、投手としての素質を見抜いていた。「まず体型。それに脚力です。体重が増えれば、スピードもつくはずですから」と永田監督は言う。

 永田監督は中西に投手転向を勧めると、「やります」と即答したという。

 秋季都大会で帝京などを苦しめたシンカーは元西武の潮崎哲也の握りを参考にし、グラブを持つ左手の使い方は、ダルビッシュ有(カブス)のフォームを参考にした。この秋の投球には、「中西がここまで投げてくれるとは思いませんでした」と、永田監督も驚きを隠せなかった。

 公式戦デビューは森畑より早く、昨年の明治神宮大会であった。センバツのメンバーにも選ばれたが、現地に行ってからのバント練習で右手の人差し指を痛め、試合に出ることができなかった。そのため秋季大会の連覇で出場が確実になっている、センバツへの思いは強い。

対照的な2人 夏の大会で対戦なるか?

 同じ調布シニア出身の中西と森畑であるが、取材をして受ける印象はかなり違う。森畑は、クールというか落ち着いており、取材にはしっかり答えてくれるが、あまり多くは語らない。

 一方中西は、記者とのやり取りでも表情豊かである。秋季大会の準々決勝の後、森畑との対戦について聞くと、「是非やりたいです」と、意欲的に答えた。

 森畑は準決勝の帝京戦で6回途中から足が吊りながらも好投したが、9回裏にサヨナラ打を打たれセンバツ出場は遠のいたと同時に、今大会での中西との調布シニア対決は実現しなかった。

 とはいえ、国士舘創価も西東京。夏の西東京大会でも、2人の投手の出来が、優勝の行方を左右する可能性がある。

 調布シニア時代、控えの投手であった森畑にしても、野手であった中西にしても、まだ投手としての経験は短い。それだけ、今後も伸びていく可能性を秘めていることになる。

 この冬、2人はどう成長していくか。まずは中西がその成果を、甲子園の晴れの舞台で披露することになる。甲子園で活躍するかつてのチームメートの姿は、森畑にもいい刺激になるに違いない。

(文=大島 裕史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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