第242回 神宮第二のラストデーで躍動した逸材たち 夏まで見逃せない日大三の2枚看板 児玉 悠紀・柳舘憲吾2019年11月05日

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 11月3日、高校野球の会場で長く使用されてきた明治神宮第二球場はラストデーを迎えた。3日に開催された秋季都大会準々決勝の創価vs日大二日大三vs帝京の2試合はラストを飾るに相応しい試合だった。

 いずれも白熱とした2試合だったが、4校とも逸材が多かった。来春へ向けて進化を期待したい逸材を紹介していきたい。3回目は日大三である。

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日大三vs帝京

児玉、柳舘それぞれの特徴



児玉 悠紀(日大三)

 今回取り上げたいのは児玉 悠紀柳舘 憲吾の2枚看板。特に児玉はなかなかの逸材だった。

 179センチ66キロと細身。近年の日大三のエースではなかなかいない細身のエース左腕である。それ以上にピッチングフォームの完成度の高さに驚かされた。

 投球動作に入って、じっくりと右足を挙げていき、前足を踏み出した時、内回りのテークバックをしていきながら、トップに入るまでの流れに無駄がない。児玉はここからの動作が秀逸で、テークバックから肘が先に出て、スリークォーター気味に腕を振ってくるので、打者からなかなか腕が出てこないと感じるだろう。

 ストレートは常時130キロ前半~135キロ程度だが、球速表示以上に勢いを感じる。ストレート以上に凄いのは125キロ前後のスライダーだ。打者の手元で鋭角に曲がり、強力な日大三打線から次々と空振りを奪うことができる。帝京の3番・加田 拓哉はこう語る。

「非常に切れが鋭く、児玉君がスライダーを投げてくるのはわかっていてもどうしても捉えきれないんです」
 児玉が得意とするのは、右打者のひざ元に決まるスライダー。まともに捉えられる右打者はほとんどおらず、前の試合で3打数3安打を記録していた小松 涼馬もこのスライダーによって打撃が狂わされ、まともにミートができなかった。

 2失点を喫したが、7回まで10奪三振。その失点は内野ゴロとスクイズからの失点で、タイムリーではない。強打の帝京が小技を使ってまでも点を取れないと思わせただけでも児玉は十分に持ち味は示した。
 ただ、スライダー連投が目立つので、肘の負担を考えると割合を減らしたいところ。また球数も126球と帝京打線の粘りもあったが、スライダー以外で打ち取れる球種を身に着けるとなお打たれにくい投手となるだろう。

 日大三からプロ入りした左腕といえば、櫻井 周斗がいるが、櫻井は豪快なフォームから140キロ後半、縦スライダーで圧倒するピッチングが印象的だが、児玉は「柔軟」という言葉がぴったり。

 出どころが見にくく、それでいで強く腕が振れて、うまくコントロールできる投球フォームをしているので、スカウト受けする投手。平均球速が3年夏までに5キロ~7キロぐらい速くなると、かなり高い評価を受けそうだ。

 そして左腕でありながら、クイック1.2秒前後と速く、フィールディングの動きが軽快なのも魅力。

 これからも一歩ずつ成長を見せれば、日の目を浴びる左腕になることは間違いないだろう。



柳舘 憲吾(日大三)

 柳舘 憲吾はこの春から登板機会を増やし始めた右腕。普段は三塁を守る柳舘は、パンチ力ある打撃が魅力だが、投手としても実戦的。左足を大きく引いてからノーワインドアップから始動し、右スリークォーター気味から投げ込む姿は大栄 陽斗仙台育英)を彷彿とさせる。直球は常時130キロ~133キロの直球と120キロ前後のスライダーのコンビネーションで勝負する。デビューした春と比べると、スライダーの切れ味が増し、際どいゾーンでも勝負できる制球力が見についたことでピッチングに幅が広がった。

 この2人の力量は今年の西東京でもトップクラスであり、しっかりと右肩上がりに成長を見せれば、十分に甲子園を狙える投手陣であろう。さらに打線を強化して、2018年夏の甲子園出場を果たせるか注目である。

(記事=河嶋 宗一

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プロフィール

河嶋宗一
副編集長 河嶋 宗一
  • 出身地:千葉県
  • ■ 現場第一主義。球児に届けたい情報とあれば日本だけでなく海外まで飛び回る。
  • ■ 副編集長、またドットコムのスカウト部長と呼ばれ、日本全国の隠れた名選手を探索。
  • ■ 幅広いアンテナと鋭い観察力でダイヤの原石を見つけだす。
  • ■ 編集部の理論派として、今日も球場に足を運ぶ。
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