【秋季岐阜県大会】勝つべくして勝った県岐阜商 秋の岐阜県大会を振り返る
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勝つべくして勝った県岐阜商
県岐阜商・西内勇人
岐阜県ナンバー1の伝統校として誰しもが認める県岐阜商の一つひとつが注目されたこの秋の岐阜県大会だった。熊本県の秀岳館監督時代は3大会連続で甲子園ベスト4進出という実績を評価されて、OB会からの強い要請もあって昨年3月に就任した鍛治舎巧監督。この秋のチームが、実質3季目ということになり、いよいよ鍛治舎カラーが浸透してきたチームだともいえる。
伝統の白地に濃紺で「GIFUSHO」のユニフォームと帽子のマークも「G」から、春季県大会と東海大会と段階を経てデザイン変更し、イメージチェンジにも取り組んできた。胸文字は同じだが、文字色は鮮やかなイエロー。帽子もアンダーシャツと共に鮮やかなブルーとなり筆記体で2段重ね。ストッキングはイエローベースに下がブルーというもの。どこかで見たことのあるような印象深いデザインだが、これが‟ニュー県岐商カラー”ということである。伝統校だけに、これで結果がついてこなければ、外野席からの批判の声も湧いて出てくるところかもしれないが、この秋はついに県優勝を果たしたことで、雑音を封じている。前評判通りの戦いで、勝つべくして勝ったと言ってもいいものである。
岐阜地区ブロック予選リーグでは4試合で3試合が2ケタ得点、1失点のみ。第一代表決定トーナメントでも市岐阜商には苦戦したものの1位通過。県大会でも中津には5回コールド勝ち。2回戦の岐阜総合には苦しんだが、中京学院大中京を下して進出してきた岐阜聖徳学園にも快勝。準決勝の大垣西には、6回までパーフェクトで抑えられて5点を先行されていた。しかし慌てることはなく、7回に2点を返すと、9回に佐竹秀也君と途中出場の岩田君のタイムリー打で追いつく。そして延長11回、途中出場していた宇佐美佑典君のタイムリーで勝ち越すなど、層の厚いところも示した。
投手陣は野崎慎裕君と、森大河君、西内勇人君は誰が1番を背負っても遜色ないという。他にも松野匠馬君や3番を打つ主将の三塁手佐々木泰君もいざとなったら投げられる。基本的には、複数ポジションをこなせるということは原則としている。こうして、さらにチームの底上げを図っている。
東海大会でも愛工大名電、加藤学園といずれも苦しみはしたものの最後は勝っていったのはさすがだった。決勝は東海地区の戦前からの伝統校対決として注目された中京大中京だ。4点リードされながらも8回に一気に追いつく勝負強さを発揮。最後は力負けしたものの、「神宮大会に行きたかったので敗戦は悔しかったけれども、収穫は大いにあった」と鍛治舎監督は大いなる手ごたえを感じていた。2ストライクと追い込まれてからの、ノーステップ打法で粘っていくというスタイルも浸透してきている。
大垣市を中心とした西濃地区勢の健闘
大垣西・大石泰誠
県岐商の話題が多くなってしまったが、この秋は大垣市を中心とした西濃地区勢の健闘が光った。地区1位は大垣日大、2位が大垣西、3位大垣商だったが、いずれも県大会ベスト4に残ったのは見事。
大垣西は、準決勝で県岐商をあわやというところまで追いつめた健闘は光った。決して球威があるわけではないものの、大石泰誠君は6回まで県岐商の強力打線に対して一人の走者も出さなかった投球で見事だった。東海大会は3年ぶり3回目の進出となったが今大会は登録メンバー全員2年生。小牧憲充監督も「2年前の東海大会での頑張りを見て入学してきてくれた選手たちが頑張ってくれている」と喜んでいる。そんな選手たちが中心となっており、4度目となった21世紀枠代表候補県推薦校となった。3度目の東海地区推薦を得られれば、さらに期待は高まるところでもあろう。
大垣商は準決勝で自力では上と思われた大垣日大に対して序盤で得点を重ねていき、本来は二塁手の水野塁偉君がテンポのいい投球で翻弄していった。さらに岩田大地君と早野大空君と揃う投手陣はそれぞれタイプが異なり面白い。有賀竜也監督は、「地区予選でも当って、そんなに叶わない相手ではないと思った」という言葉通り、大垣日大の権田翼投手、林晴真投手を攻略した。
大垣日大も、もちろん総合力としては高い位置にあることは確かだ。西濃地区勢としては第4代表となった大垣北も東濃実、岐阜を下してベスト8に進出している。
ベスト8には他には岐阜工、岐阜聖徳学園の岐阜市内勢と東濃地区の美濃加茂が残った。夏の甲子園ベスト4だった中京学院大中京は、新チームのスタートが遅くなったこともあってか、県大会では2回戦敗退となってしまった。それでも、186㎝の元謙太投手や1年生ながら5番を任され東海大相模戦では3安打と気を吐いた小田康一郎君らがおり、春までにはチーム力を整えてくるであろう。
他には近年安定して4強進出を果たしていた岐阜第一が今秋は県大会初戦敗退。巻き返しを狙う。その岐阜第一を初戦で下した帝京大可児は最速149キロの加藤翼君、183cmから角度のあるストレートを投げ込む平良拳晟君の2枚看板がいる。平良君は岐阜第一を相手に6回11奪三振の快投を見せた。また、麗澤瑞浪、市岐阜商、伝統校の長良、近年注目の岐阜各務野や今秋は県大会進出を果たせなかったものの昨秋は躍進した海津明誠なども楽しみである。西濃地区勢では大垣南、大垣東にも期待したい。
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記事=手束 仁