試合レポート

具志川vs美里工

2019.10.01

美里工打線を翻弄したエース長山が、具志川を初のベスト4へ導いた

具志川vs美里工 | 高校野球ドットコム
具志川のエース・長山松ノ介

 背番号は6だが、今や誰もが認める大エースの具志川長山松ノ介。緩い球と短い間隔のピッチで美里工打線を翻弄し、具志川を初のベスト4へと導いた。

頭脳的ピッチングが光った長山

 具志川長山松ノ介は、4回まで毎回ヒットを許し得点圏に走者を背負うものの、得点を許した2回を除き、三塁へ進めることを許さない粘りのピッチングを披露。「打者に考えさせる間を与えないようにと、自ら考案した。」という短い"間"が勝利を呼び寄せた一つ。捕手からボールを受け取って、自らボールを放るまでの間隔は4〜5秒ほど。美里工打者は、どんなボールが来るかなどという考える間はほぼ無い状態で、来た球を打つことしか出来なかった。
もう一つ効果的だったのが緩い球。「チェンジアップとカーブをバランス良く配球出来た。」と、女房役の前上門龍生は、勝利の感動で嬉し涙を流したあとの、真っ赤な目で答えてくれた。

サイドからの130kmに迫るキレのあるストレートに、85km〜95kmの緩い球を自在に操る長山は、5回を1失点。糸満戦同様、上出来な投球内容で試合の主導権を握っていた。

クリーンアップが仕事を遂行し先制

 
具志川は1回、1番長山が内野安打で出塁。二死二塁として4番津波古将人がレフト前へのタイムリー。さらに5番新田琉斗もレフトへの二塁打を放ち津波古が生還。クリーンアップの仕事で幸先いい2点を先制した。
追う美里工は2回、四球とヒットで一・三塁のチャンスを得る。ここで9番岡本恭輔の打球はショートとレフトの前へフラフラと上がる。背走のショートが懸命に腕を伸ばすも届かず。三走が生還した。しかし、捕球するかしないかのギリギリのプレーでスタートが遅れた一塁走者は二塁でアウト。以降、走者を出すも、美里工打線は長山を捉えることが出来ず。逆に具志川は4回、二死二塁から8番外間琉斗がレフト前へヒット。浅いヒットに一度は三塁を回って止まった二走だったが、美里工にとっては痛恨の後逸で3点目を奪った。

一気に逆転した美里工。瀬戸際で勝ち越す具志川

6回、美里工は5番大城稜真がライトへ大きな三塁打。続く上間玲於がセンターへはじき返しベンチは意気軒昂となる。二死二塁として9番岡本恭がライトへ高々と上げる。「厳しかったかな。でも良くやっている。責められない。」と具志川の島袋監督も選手を庇ったプレーは、岡本恭のランニング2点本塁打。5人で3点を奪い一気に逆転した美里工。流れが変わったかと思ったが。「そのあとですよね。1点差でずっと守っていたのが、最後の逆転に繋がった。」島袋監督が褒めた野手陣はこの日もノーエラーの4試合連続無失策。7回には主砲富島力斗に長打を浴びピンチを招くも、長山を中心に守りきる。すると8回、一死一・三塁から牽制悪送球で三走が生還。二死一・三塁となったあとには相手バッテリーのパスボールで逆転のランナーがホームイン。9回美里工は一死一・二塁としたものの、浅いセンターフライとファーストゴロでゲームセット。
「正直勝てないだろうと思っていた美里工。」に投げ勝った長山の、魂の156球。

新人大会予選敗退の具志川が、新人中央ベスト4のシード美里工を撃破!創部以来秋の大会初となる、ベスト4進出を決めたのだった。

(文=當山雅通

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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