Interview

野茂直伝のフォークでアメリカ打線を圧倒した西純矢(創志学園)!スーパー野球選手を世界の舞台でも実践!

2019.09.01

 9月1日、 2019年 第29回 WBSC U-18ワールドカップ3日目。日本vsアメリカの一戦は16対7で日本が勝利し、歴史的な勝利となった。今回はアメリカ撃破となったキーマンをインタビュー。今回は3回表から登板し、3回5奪三振の好リリーフを見せた西純矢創志学園)をピックアップ。打者として2本塁打8打点で活躍した南アフリカ戦に続き、西の勢いが止まらない。

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西純矢(創志学園)

 アメリカ打線を抑える準備は国内合宿の時からできていた。8月26日の侍ジャパン大学代表との試合で牧秀悟(中央大)から本塁打を打たれた場面についてこう反省した。
 「あの場面はスライダーを投げた後のカーブでした。相手打者にとって狙い球が絞られやすい配球でした。速いストレートを混ぜて、より緩急差をつけるのが大事だと思いました。こういう配球をするとアメリカ打線に打たれるんだな」

 つまりスライダー、カーブは速くはない。あまり変わらない速度のボールを続けていけば、打者はしっかりと待って打てる。打者の頭にはない配球を続けることが大事だと感じた。
 また、西はこの試合で130キロ後半のフォークが使える手ごたえを感じていた。

 「東京に来てから変化球の調子がずっと良くて、国際球だとフォークがかなり落ちますし、岡山大会が終わってからしっかりと休めたのも大きかったです。岡山大会では肘の張りもあって、思うようなボールが投げられなかったので」

 コンディショニングの良さが現在のピッチングにつながっている。また決め球のフォークは中学時代に習得したもの。きっかけは中学3年生で、野茂英雄氏が総監督を務めるJUNIOR ALL JAPAN。通称:野茂ジャパンに選ばれた時、野茂氏から決め球であるフォークを教わった。握りは浅めで、いわゆるスプリット系。ストレートと同じように強く振るのがポイントだ。そのフォークはアメリカ相手にも通用する自信はあった。

 「アメリカvs台湾の練習試合の映像を見ていて、ストレートは強く、縦の変化が弱いなと感じていました。なので僕のフォークは有効だと考えていました」

 捕手の水上桂明石商)も同様に、直球系は打たれるので、いかに縦変化で攻められるか。またストレートを投げる際は踏み込んでしまっては打たれるので、内角に強いストレートを投げることを心掛けた。

 アメリカ戦では思い通りのピッチングを実践した。3回表、1対1の同点の場面で登板した西は最速145キロのストレートは、内外角だけではなく、高めのストレートも投げ込む。高めを使うことで、低めに落ちるフォークが生きる。フォークに頼りすぎず、角度のあるストレートでも三振を奪い、3イニングで計5奪三振、2失点の好投。西の登板直後、侍ジャパンU-18代表は3回、4回に5点ずつ入れて、11対1と突き放した。

「自分のピッチングから流れを変えられたのは素直に嬉しいです」と振り返った。

 中学時代に世界大会の経験をしている西は逞しい。また家族で何度か韓国を旅行している西は、慣れない環境に多くの選手が苦労する中で問題なく適応している。

 ここまでのプレーについて、西は楽しさでいっぱいだという。
 「レベルが高い中で、野球をやらせてもらっているのが一番ですね。普段、全然違う環境の中でプレーをさせてもらっているので、海外の投手、チームメイトの投手はボール1つでも勢いが違うので、自分にとってプラスになるので、勉強になります」

 国内合宿では同部屋の奥川恭伸星稜)からピッチング、準備の仕方を学びながら、世界大会に臨んでいる。

 これで3連勝とした侍ジャパンU-18代表。多くの選手が活躍を見せる中、投打の活躍度は日本のチームどころか、出場12か国でもナンバーワンだろう。

 打者としては南アフリカ戦で5打数4安打2本塁打8打点の活躍。投げてはアメリカ戦で3回2失点5奪三振の好リリーフ。

 このまま今後の試合でも活躍を見せれば、西はこの大会で記憶にも、記録にも残るプレーヤーとなるのは間違いない。

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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