【U18日本のライバル国紹介】大半がプロ内定!去年のアジア覇者・韓国の要注目の選手
3年生18人中17人がプロ指名のプロ予備軍
昨年のアジア選手権を2大会ぶりに制したライバル・韓国
8月26日、韓国のドラフト会議が行われた。ここ数年は、国際大会の後に開かれていたが、今年は、野球のU18W杯が韓国・機張(キジャン)で開催されるため、大会の存在を知らせる意味もあり、この時期の開催になったようだ。
というのも韓国では、高校野球の関心が非常に低い。そのうえ大会が、釜山の中心部から1時間ほどかかる機張で開催されるため、大会の存在はそれほど知られていない。韓国を代表するホームラン打者である李承燁(イ・ソニョプ)を広報大使にするなど、盛り上げに努めている。今回のドラフトも、代表選手の多くが指名されることでプロ野球ファンも引きつけ、大会を知らしめる効果も狙ったようだ。
実際今回のドラフトで、代表選手20人のうち、17人が指名された。2年生2人を除けば、指名されなかったのは1人だけだった。
もっとも、韓国のプロ野球は10球団だが、高校は80チームしかない。それでも、今回のドラフトでは各球団が10人ずつ指名している。
さらに7月1日には、各球団のフランチャイズ地域の高校の選手を1人優先指名(1次指名)しているため、全体として指名されたのは110人になる。早稲田実、早稲田大などで活躍した安田権守(安権守・カナフレックス)のような在外同胞、海外からのUターン、大学生、独立リーグの選手などもいるが、指名されたのは大半が高校生であり、代表クラスの選手が指名されるのは当然である。その中で注目されるのは、日本のドラフト1位に相当する1次指名の選手と、今回のドラフトで上位指名された選手である。
[page_break:注目される1次指名の6人/チームをリードする全国大会優勝バッテリー]注目される1次指名の6人
1次指名の選手で代表に入ったのは、イ・ジュヨプ(城南高校→斗山)、オ・ウォンソク(野塔高校→SK)、イ・ミンホ(徽文高校→LG)、ソ・ヒョンジュン(裕信高校→KT)、チェ・ジュニョン(慶南高校→ロッテ)、パク・チュホン(奬忠高校→キーウム)の6人だ。パク・チュホンが外野手であるほかは、投手である。
特に注目されるのは、ソ・ヒョンジュン。最速149キロの速球にツーシームなどを投げる。6月に開催された権威ある全国大会である東亜日報主催の黄金獅子旗大会では優勝に貢献し、大会MVPに輝くなど、試合に勝てる選手だ。
イ・ミンホは最速が150キロを超える。オ・ウォンソクはカーブ・スライダーなどを駆使する左腕投手。北京五輪で日本が苦しんだ金廣鉉(キム・グァンヒョン・SK)に似たタイプ。「日本は左に弱い」というのが韓国では定説になっており、日本戦で登板する可能性もある。
イ・ジュヨプは身長188センチの長身の右腕で、最速147キロ。スライダー、カーブ、チェンジアップなどを投げる。チェ・ジュニョンは140キロ台中盤のストレートとカーブが武器。
野手では唯一1次で指名されたパク・チュホンは、身長189センチ、体重95キロで、「怪物打者」として注目されている。
チームをリードする全国大会優勝バッテリー
26日のドラフトで1巡目指名されたのが、投手のナム・ジミン(釜山情報高校→ハンファ)とホ・ユンドン(裕信高校→サムスン)、捕手のカン・ヒョヌ(裕信高校→KT),内野手のパク・ミン(野塔高校→KIA)だ。
ナム・ジミンは、140キロ台半ばのストレートに落差の大きいスライダーやチェンジアップなどを投げる。ホ・ユンドンは、ソ・ヒョンジュンとともに黄金獅子旗大会の優勝し貢献するなど、実戦向きの投手だ。
ソ・ヒョンジュン、ホ・ユンドンらをリードし、黄金獅子旗大会の優勝に貢献したカン・ヒョヌは、リード、守備、打撃など、あらゆる面で高校ナンバー1捕手と評価されている。
パク・ミンは守備範囲が広く、強肩の遊撃手と言われている。
一方、今回のドラフトで、3年生ながらただ1人指名されなかったキム・ジンソプ(順天暁泉高校)は、韓国が伝統的に好素材を輩出している横手投げの投手だ。指名されなかったことで、むしろ自分の実力を示す意味でもモチベーションは高いかもしれない。
選手の大半が身長180センチを超える大型チーム。このチームを、黄金獅子旗大会で優勝した裕信高校の監督でもある李聖烈(イ・ソンヨル)監督が率いる。1955年生まれのベテラン監督である。
韓国はこの大会で5回優勝している。中日でも活躍した宣銅烈(ソン・フォンヨル)も、ホームラン打者の李承燁も、メジャーで活躍しる秋信守(チュ・シンス・レンジャース)も、北京五輪で日本キラーになった金廣鉉も、みんなこの大会で優勝して、スターへの階段を上った。
韓国は結果を残さないと相手にされない。そのことの是非はともかく、その冷徹さも、選手たちのモチベーションになっている。
(記事=大島 裕史)
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