試合レポート

都立板橋vs都立城東

2019.07.09

都立板橋、エース・黒岩の丁寧な投球で秋8強の都立城東を破る

 7日が雨天中止になったため、[stadium]江戸川区球場[/stadium]の開幕戦となった一戦は、過去甲子園2回出場で昨年の秋季都大会8強の都立城東と、好投手・黒岩真人擁する都立板橋という、都立勢同士の好カードになった。試合は、初戦で対戦させるのはもったいないと思わせる、白熱の好ゲームになった。

 都立城東の先発・原川雄仁都立板橋の先発・黒岩もともに左腕。球威は原川の方があるが、黒岩は抜群の制球力で対抗した。

 試合は初回から動き出す。1回表都立城東は1番の兼松千春が丁寧に低めを突く黒岩に対して、うまく合わせて左前安打で出塁すると、2番・鰐渕創太の犠打は野選となり無死一、二塁。いきなりのピンチになったが、黒岩は都立城東のクリーンアップをきっちり抑えて無失点で切る抜ける。

 その裏都立板橋は、1番・小室宥輝の左中間破る二塁打でチャンスを作るも、2番・三條亨のバントは正面過ぎて、小室は三塁でアウト。しかし3番・新藤晴斗は四球、4番・黒岩は遊失で満塁とし、5番・本宮光は死球で押し出し。都立板橋が貴重な先取点を物にした。

 この後は、都立板橋・黒岩の丁寧な投球に、都立城東は得点を奪えない。4回表は4番・三好秀登の二塁打と5番・清水隆太郎の犠打で一死三塁としたが、黒岩は後続を打ち取り無失点で切る抜ける。打たせて取る黒岩の投球に、バックも堅実な守備で応えた。

 都立板橋の打線は原川の球威に押され、なかなかチャンスも作れない。
 それでも6回裏、一死後5番・本宮の四球と7番・河田勇馬の三塁内野安打で一死一、二塁とし、8番・藤本一輝の中前安打で本宮が生還し、貴重な追加点を挙げた。


 もちろん、このまま引き下がる都立城東ではない。8回表は代打の関根達矢がライトポール近くのスタンドに入る本塁打を放ち1点を返す。なおもこの回、2番・鰐渕、3番で代打の今井颯人の連打で二死一、三塁として、打席には4番の三好を迎える。三好は内角の球を、大ファールするなど、強打者ぶりを漂わせる。「少しでも甘く入っていたら、持っていかれました。とにかく気持ちで抑えようと思いました」と黒岩は言う。黒岩の魂の投球に、三好は右飛に打ち取られ、同点に追いつくことはできなかった。

 都立城東は9回の攻撃は三者凡退に抑えられ、2対1で都立板橋が勝利した。都立城東の初戦敗退は11年ぶり。早すぎる終幕に選手たちは泣き崩れた。都立城東の内田稔監督は、「選手はよくやりましたが、相手が上でした。私も成長しないといけないし、この経験を糧にしたい」と、厳しい表情で語った。長い夏をどう鍛えて、秋に向けてのチームを作ってくるか、注目したい。

 泣いているのは、勝った都立板橋も同じであった。都立板橋の柴崎正太監督は、「本当に勝ったんですかね」と、夢見心地で語る。都立板橋にとって、ここまでの道のりは、平坦ではなかった。5年前には不祥事で対外試合禁止の処分を受けたこともある。江戸川出身の柴田監督は、恩師である福嶋正信監督(現都立小山台監督)に相談したこともあった。そこで学んだことは、心の大切さあり、生徒たちと正面からぶつかっていくことを決意した。さらに近年は校舎の改修工事のため、グラウンドが使えず、校内の空きスペースやテニスコートなどを使って練習した。

 好投の黒岩も、投球練習をするところがなく、普段はテニスコートで投げ、本格的な投球練習はグラウンドを借りることができたときだけだという。そうした中でも、しっかり走り込み、フォームを安定させてきた。

 しかし、勝利の喜びも束の間。夏の大会はすぐに次の試合が来る。3回戦は順当なら14日、[stadium]江戸川区球場[/stadium]で都立墨田工成城の勝者との対戦になる。

■開催期間:2019年7月7~7月27日(予定)
■組み合わせ表【2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会東東京大会】
■展望コラム【【東東京大会展望】二松学舎大附の夏三連覇を阻むチームは現るか?東東京大会を徹底解剖!】

文=大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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