試合レポート

済美vs宇和

2019.07.23

済美・山田 響「2020ドラフト候補」確信させる特大アーチ

 まずは敗れた宇和から触れたい。3年生はわずか3人ながら彼らはよく最後まで食い下がった。打線では2番の田口皇心(2年・二塁手・175センチ62キロ・右投左打・宇和島市立三間中出身)が巧みなバットコントロールで4打数3安打。

 そして3番の河野祐基(2年・一塁手兼中堅手・180センチ70キロ・右投左打・西予市立宇和中出身)は、中学時代ソフトテニス部の経験を活かしテイクバックの少ない構えからのバックハンド的スイングで5打数3安打うち2本は右翼フェンス直撃の二塁打と右中間をあっという間に破る三塁打。この2人は新チーム以降も注目していきたい逸材である。

 しかし、その2人すらもこの済美2年生には脱帽だった。3番・山田 響(左翼手・170センチ75キロ・右投右打・新居浜ヤングスワローズ出身)は1回裏一死二塁から「緩いストレートに引き付けて打つイメージでインパクトに入ったので押し込んだ」打った瞬間に解る大会第5号・坊っちゃんスタジアム大会初・そして自身高校通算20本塁打目となる先制2ラン。9回表にも8対2で迎えた二死二・三塁から「少し泳いだがうまく押し込めた」左中間への2点三塁打。4打数2安打4打点で済美の初戦勝利に大きく貢献した。

 かつ山田のすごさは2度の凡打も発揮された。平凡な遊ゴロは間一髪、投ゴロですら一塁駆け抜けは4秒25と俊足選手の基準値「4秒3」をクリア。「一年間全力疾走を心がけてきたことで、50メートル走も6秒4から6秒1に上がった」成果を、明確な数値で見せつけたのである。

 試合後には「9イニングやらないと解らないことがあったので、今日はむしろよかった。試合をしながらチーム力を積み上げていきたい」と神妙な表情で全体を振り返った済美・中矢太監督だが、こと山田の走力向上について聞かれると「それはいいことですね」と笑顔。この日のパフォーマンスを見る限り、第2シード・今治西など強豪たちが同じゾーンにある中で愛媛大会3連覇を目指す済美にとって、「2020年ドラフト候補生」山田響の存在はますます大きくなりそうである。

(レポート=寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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