快速球が復活した145キロ左腕・清水大成(履正社) 大阪大会42Kの実力を甲子園でも
3年ぶりの優勝を決めた履正社。エースとして優勝に導いたのが清水大成だ。最速145キロの速球と切れのあるカットボール、チェンジアップ、カーブを武器にする本格派左腕はこの夏、どんな思いでマウンドに登ったのか。
もう一度、あのストレートを投げるために
清水大成(履正社) ※春の大阪府大会・大阪商大高戦で撮影
センバツでの悔しさは忘れない。大会注目左腕に挙げられた清水だが、選抜前に、左手に打球を受け、打撲した影響を隠すことができず、140キロ止まり。自責点1とはいえ、満足いく投球ではなかった。清水の理想のピッチングは昨年の秋季大会準々決勝の福知山成美戦。3安打無四球完封勝利、12奪三振と圧巻のピッチングだった。この夏の大会前、清水は
「あの試合のピッチングはできればと思っています。なかなか練習試合でもあんなピッチングはできないですけど(笑)」と笑う。でもセンバツのままでは夏の甲子園はない。
もう一度、あのストレートを投げるために、清水は日々のブルペン投球ではストレートの精度を求めて投げ込んできた。角度、回転数、回転軸と球速ではなく、質の高さを求めて練習をしてきた。大会が近づくにつれて、良くなっていることは実感していた。そして夏の大会だからこそ、「強い気持ちで投げ続ける。それだけは意識していきました」
気力、体力、技術が備わった清水はまさにエースらしいピッチングだった。
「選抜では悔しさを味わったので、高校生最後の夏で力を出したいと思っていました」
まず初戦・大阪池田戦では初回に3失点をしたものの、4回9奪三振。3回戦では春準優勝の箕面学園と対戦。先発した清水は7回を投げて、被安打2、12奪三振、無失点の好投。ベストピッチングと振り返った準々決勝の桜宮戦では3安打、11奪三振完封。そして準決勝の近大附戦では7.1回を投げて、9奪三振、1失点の好投を見せ、決勝戦まで勝ち進んだ。特に近大附戦ではリリーフの登場だったが、最速143キロ、平均球速139.75キロとスピードは出ており、縦回転で投げ込むストレートは角度があり、130キロ近いカットボールの切れもよかった。
決勝戦は、前日の試合で140球を投げた影響は大きく、5.1回を投げて、4奪三振、2失点の力投。
「気持ちで投げ切りたかったんですけど…やはり影響は大きかったと思います」
それでも今大会は32.2回を投げて、42奪三振、6失点とエースに相応しいピッチングを見せた。そして夏の選手権へ向けて、
「春から成長した姿を見せていきたいと思います。そして気迫のピッチングを見せていきたい」
選抜では投げあった奥川恭伸(星稜)の投球は大きな刺激を受け、練習に生かしてきた。
上半身、下半身の動きが連動した完成度の高い投球フォーム。回転数の高い140キロ中盤のストレート。切れのある変化球、ピンチでも燃える熱いメンタリティ。大会ナンバーワン左腕を狙える実力は十二分に持っている。その称号の先には全国制覇が待っている。
文=河嶋 宗一
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