Column

静岡に新たな風を吹かせる!バッテリーを軸に一戦必勝で戦い抜く! 駿河総合(静岡)【後編】

2019.07.21

 近年の高校で、新しい取り組みとして期待を担っているのが総合学科のある学校だ。学校としては部活動にも説教的に働きかけていき、実績を挙げていっているところも少なくない。静岡県内ではそんな学校の一つとして駿河総合がある。今年は、ドラフト指名選手も誕生するのではないかという期待もある。チームも質の高い練習で成果を上げてきつつある。静岡県で新しい風を吹かせている駿河総合を訪ねてみた。

静岡に新たな風を吹かせる!バッテリーを軸に一戦必勝で戦い抜く! 駿河総合(静岡)【後編】 | 高校野球ドットコム前編はこちらから!
総合学科の学校として新しい形の文武両道に挑む 駿河総合(静岡)【前編】

バッテリーの守備強化が一番の課題

静岡に新たな風を吹かせる!バッテリーを軸に一戦必勝で戦い抜く! 駿河総合(静岡)【後編】 | 高校野球ドットコム
駿河総合の渡辺光君

 キャッチボールとトスバッティングを終えると、すぐにシートについてのボール回しから守備練習となっていく。投手も入れてのシートノックは丁寧で、ことにマウンド周りのボール処理の練習と、いわゆる3~1のプレーと呼ばれている、一塁寄りのゴロで投手が一塁ベースへ走っていくという投内連係の練習も何度も繰り返された。さらには、捕手のショートバウンドボールや暴投のフォローアップから次塁進塁を阻止するための捕球~送球練習はかなり入念に、繰り返し繰り返し行われた。こうした、バッテリーの守備強化を一番の課題として取り組んでいる。

 「捕手の送球プレーというのは、必ずそこに走者がいるということですから、その走者の塁を進めてしまうか止められるのかということは、試合の局面でも大きな要素となっていきます。そのことで、試合を落としてしまうということもありますから、特にここは徹底しておかないといけません」
 やはり、守りで崩れて行ってはいけないという考え方が根底にある。捕手陣に求められるのは、肩の強さもさることながら、ボールを後ろにそらさないという身体を張ってでも止めていくという基本姿勢である。

 1時間ほどのシートノックが終了するとすぐにシート打撃となる。シート打撃は実戦に最も近い練習でもあり、今の時期の一つひとつの打席はとても大事になってくる。この日は、たまたま首都大学の明星大でプレーを続けている吉田幸晟投手が教育実習生として母校へ来ていたのでマウンドに立った。大学リーグでも投げているだけに、選手たちにとってはとてもありがたい練習相手と言える。

[page_break:紅林弘太郎誕生秘話]

紅林弘太郎誕生秘話

静岡に新たな風を吹かせる!バッテリーを軸に一戦必勝で戦い抜く! 駿河総合(静岡)【後編】 | 高校野球ドットコム
駿河総合・紅林弘太郎君

 注目の紅林君も、その速球に挑んでいった。紅林君に関して、望月監督はこう評価している。
「入ってきた時から、とても器用な選手だなと思いました。すぐに使ってみたんですが、外のスライダーをコンと上手に合わせてヒットしていくようなところがあったんですよ。それは、チームとしては有り難い存在ですよ。だけど、私としてはもっと大きく育ってほしいなと思いましたから、ポップフライOKでもっと振り切っていけと言うことを支持していました。だから、打順も7番、8番で思い切って打たせるようにしていました」

 そんな思いで育てていっているのである。その結果として、スケールの大きなプロも注目する大型内野手になってきたということだ。1年生から夏の大会では5番遊撃手で出場していたが、この試合は佐々木健投手(現広島育成)のいた小笠に敗れ、自身も4打数1安打だった。この試合以降、紅林君に対してはもっとスケールの大きな打者として育てていく方向性が明快になった。

 日々の練習では、シート打撃を繰り返しながら実践感覚をつかんでいくのだが、特に望月監督は場所を変えて、グラウンド内に入ってさまざまな方向から選手たちを見つめていく。そして、その都度、気の付いたことを大声で指示していく。

 シート打撃が終了すると、補食タイムとなる。これは、各自が目標体重に乗せていくためのパワーアップのためということもある。おおよそ一人一合を目途としているので、マネージャーたちは、毎日41合の米を炊いてている。そして、炊けたら卵かけご飯としてドンブリ一杯ずつを食べていくというのが日課だ。これから、さらに各自の練習を続けていくという形になる。

 毎年好チームに仕上がっている駿河総合。この夏の躍進に期待したい。

静岡に新たな風を吹かせる!バッテリーを軸に一戦必勝で戦い抜く! 駿河総合(静岡)【後編】 | 高校野球ドットコム関連記事はこちらから!
静岡の公立校から生まれたU-18日本代表候補 紅林弘太郎(駿河総合)の歩み【前編】
高校代表合宿に参加して感じたトップ選手との差。高卒プロへ向けての課題  紅林弘太郎(駿河総合)【後編】
静岡商や浜松商の古豪復活か、それとも加藤学園など新勢力台頭か?!令和最初の静岡大会は混迷極める【静岡大会展望】】

(取材・手束仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.16

涙の甲子園デビューから大きくレベルアップ!前橋商の192センチの剛腕・清水大暉は、高速スプリットで群馬県大会19回1失点、22奪三振の快投!<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

U-18代表候補・西尾海純(長崎日大)、甲子園で活躍する幼馴染にむき出しのライバル心「髙尾響には負けたくない」

2024.05.16

【秋田】夏のシードをかけた3回戦がスタート、16日は大館鳳鳴などが挑む<春季大会>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?