試合レポート

山村学園vs習志野

2019.05.19

大胆さと繊細さを持った攻撃で山村学園が習志野を7回コールドで下す!

山村学園vs習志野 | 高校野球ドットコム
勝利した山村学園

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 優勝候補として注目浴びる習志野。対するは水戸商との延長末にサヨナラ勝ちで勢いづく山村学園

 習志野は先発・山本慶都。腕を鋭く振ることができる投手だが、今日は腕の振りが鈍い。ベンチからもその事を指摘する声が飛び交うが、山本はなかなか修正できず、ボールに力はあるものの高めに浮く。さらに指に引っ掛かったようなボールも投げ、本調子ではない。

 その山本を山村学園は中盤に攻め立てる。
 3回二死から4番・橋本大樹が四球で出ると、8番・益子宏斗まで4連打。一気に4点奪って主導権を握るが、ここでおさえておきたいのは7番・坂上翔悟だ。打順は7番と下位だが、スイングが速い。特にインコースには強いスイングをネクストバッターズサークルから見せており、そして思いきりが良い。

 おそらく引っ張りに強い打者なのだろうと思わせるが、タイムリーを放ったライトオーバーの三塁打はおそらく内角低めの変化球。上手く拾いつつ、引っ張った見事なバッティングだった。

 これで勢いづいた山村学園は続く4回には3番・小林匠が左中間へのホームラン。一挙4得点で8対0と試合を決定付けた。


山村学園vs習志野 | 高校野球ドットコム
ホームランを放ち笑顔で帰ってきた山村学園3番・小林匠

 その後、習志野は5回から少しずつ点数を奪い選抜準優勝校としての意地を見せるも、追いつくことはできず13対2の7回コールドで習志野の長い春は終わった。

 勝利した山村学園は昨日の試合の勢いそのままに試合を運んでいる印象。ベンチはもちろん、スタンドも一体となって流れを手繰り寄せていたのが、勝利に繋がった要因の1つだ。

 また習志野2番手・山内翔太からホームランを放った3番・小林も見事なバッティングだった。
 今日の試合は5打数3安打と勝利に貢献したが、バットのヘッドがピッチャー方向に入っているのは少し気になるが、上手く重心を前に運びながらスイングができている。そしてセンターへバットを走らせようとバットの出し方を確認している姿が見えた。ホームランを除く4打席は全てセンター方向にはじき返したが、その成果が結果として表れていた。

 そして山村学園は全体的にスイングに迷いがない。全体的に思い切りが良く、習志野バッテリーにとっても脅威だったのではないだろうか。また重心を前に乗せようと意識したスイングをしている。中には突っ込んでいる選手もいたが、下半身の力をしっかりボールに伝えしっかりと最後まで振り切ることで、詰まっても外野まで運ぶことができていた。

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ホームランを放った小林匠も追い込まれたら短く持つようにしていた

 山村学園の攻撃で感じたのは思い切りだけではなく、追い込まれてから指2、3本分短くしてスイング。さらに低めの変化球を捨てる徹底ぶり。大胆さの中に繊細さもあった攻撃と言える。

 そして勝利の立役者・和田朋也水戸商戦から連投となったが見事な投球。力強いストレートをコーナーに散りばめながら、左打者にはスライダー。右打者にはチェンジアップも使いながらストライクゾーンを広く使う。

 習志野が攻略するには各打者がセンターから逆方向に打つ必要があった。それを理解した上で実行もできていた。ただ、和田のストレートの威力がバッターの手元で差し込み、ヒットを許さなかった。

 習志野はセンバツからここまでパワー系の左腕との対決はほとんどなかった。こういった投手を打ち崩すことが夏の甲子園にいくためには課題となりそうだ。

 また試合の終盤からエラーが増え習志野らしくなかった。一度しっかりと休養をとり、再び千葉を盛り上げてくれることを期待したい。

(文・=編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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