松山聖陵vs四学大香川西
大逆転勝利を呼び込んだ「転向組」
8回裏の6点差逆転に喜ぶ松山聖陵の選手たち
8回表までは完全に四国学院大香川西のゲームだった。4回表に6番・濱田 祐希(3年・三塁手・172センチ64キロ・右投右打・枚方リトルシニア<大阪>出身)の先制適時打など打者10人を送り込み6安打で5点を先制すると、先発の青山 友亮(3年・175センチ70キロ・右投右打・京都ヤングベースボールクラブ<京都>出身)も「低めと内角を意識して」7回裏まで3安打7奪三振無失点。四国学院大香川西が8回表二死二塁から7番・宮村 悠太朗(3年・遊撃手・170センチ61キロ・右投右打・枚方市立杉中<大阪>出身)の中前打により6対0とした時点で、観客のほとんどが四国学院大香川西の勝利を確信したに違いない。
ただし、試合はこのままでは終わらなかった。8回裏「このまま0で終わるのか?」と中本 恭平監督から檄を受けた松山聖陵の反発力は、7回裏でちょうど100球を投じた四国学院大香川西・青山の球威と正反対の双曲線を描くことに。
一死一塁から5連続単打と死球で4対6。なおも一死満塁で打席に入ったのはセンバツ前に投手から左翼手に転向、練習試合で結果を残し続けて今大会でスタメンを勝ち取った7番・本永 大(3年・左翼手・173センチ88キロ・左投左打・浦添市立浦添中<沖縄>出身)である。
そして「野手転向を言われて最初は驚いたが、すぐに切り替えて臨めた」(本永)気持ちの強さは3ボール1ストライクからカウントを取りに来た変化球への反応となって乗り移った。遊撃手頭上を越えたボールは球足早く左中間へ。
本永の満塁走者一掃二塁打で逆転を果たし松山聖陵は、さらに高松商との四国大会順位決定戦での逆転負けに続く四国学院大香川西のショックが癒えないうちに第二・第三の「転向組」が畳みかける。
一死三塁からの打者はセンバツ後に田窪 琉風(3年・2番二塁手・166センチ58キロ・右投右打・名護市立名護中<沖縄>出身)とポジションを入れ変わった8番・後藤 響(3年・遊撃手・167センチ59キロ・松山市立雄新中出身)が「あの一打が大きかった」と指揮官も絶賛する中前適時打で8対6。
最後は最速141キロ右腕・平安山 陽(2年)の右ひじ違和感登録抹消に伴い、練習試合で登板テストをしていた田窪が四国学院大香川西打線を3人で抑え、中本 恭平監督にとっては叔父となる馬淵 史郎監督が待ち受けていた明徳義塾との準決勝へ駒を進めた。
(文=寺下 友徳)