西日本短大附vs明豊
西日本短大附、江崎が明豊打線を封じ、神宮が投手陣を打ち砕き、7回コールド勝ち!
先発・江崎陸(西日本短大附)
センバツベスト4の明豊vs西日本短大附の一戦。西日本短大附が粘り強い試合運びで試合を優位に進めた。
西日本短大附の先発は1回戦に続き、江崎陸が先発。江崎は基礎がしっかりとした好右腕。下半身主導の体重移動、コンパクトで無駄な捻りがないテークバック、安定したリリースポイントが光る。ストレートは常時130キロ~135キロ前後を計測。120キロ前後の横スライダー、縦スライダー、カーブを低めに集める投球。捕手・神宮隆太は「明豊打線は高めが強いので、高めではなく、低めでどれあだけで勝負ができるか。その点、江崎は良く投げてくれたと思います」と江崎の制球力を評価した。
低めの制球力は大事といわれていてもそう簡単に投げられるものではない。江崎は「投球フォーム」と「握力」がカギだという。
秋まで終盤になるとボールが高めに浮く傾向があった江崎。この冬は寝る前に3キロのサンドボールをつかんで離す練習を1セット50回を3回こなす練習を必ず行ってきた。一冬超えると、低めへの制球力が増し、終盤になってもその制球力を維持できるようになった。また制球力の高さを生み出している要因として開きが遅く、球持ちの良いフォームが挙げられる。江崎は「いかにして左肩の開きを抑えて投げるべきか。そこを追求してきました」と語る。
何度も走者を出しながらも、間合いを変えて低めに投げ込み、淡々と自分のピッチングを貫いていった。
打線は3回裏、敵失から1点を先制。次の1点が大事となる場面で、5回裏、二死一、二塁から4番神宮隆太が右中間を破る適時二塁打を放ち、勝ち越しに成功する。さらに5番高浪光太の右中間を破る適時二塁打も飛び出し、4対0と大きく突き放す。西日本短大附・西村監督も「神宮の二塁打による1点が大きかったですね」とたたえた。
4番キャッチャー・神宮隆太(西日本短大附)
神宮は神主打法のように独特の構えをした選手。捻りを入れてフルスイングを行う。そこから、力強いスイングを行い、鋭い打球を飛ばす。神宮曰く「打撃については特に考えていません。構えも自然とああなりました。来た球に反応する。それだけです」と語る。
またこの試合では2つの盗塁を刺したが、「今日はステップがうまく運ぶことができたので、刺すことができたと思います」と喜ぶ神宮。イニング間の送球ではワンステップをするので、どうしてもタイムが遅くなるが、試合になると素早いスローイングを見せて、「神宮キャノン」を完成。西村監督は神宮の攻守について「スローイングについてはだいぶ力みが取れてきました。ただ彼は全体的に力みがちなところがありました。潜在能力はこんなものではないと思います」
確かに筋肉隆々の体型をみれば、もっと素晴らしいパフォーマンスを見せるのではないか。そんな期待感を抱かせる選手である。
その後、西日本短大附は6回裏、二死一、二塁から2番鍛治 翼が初球を捉え、ライト越えの適時二塁打で2点を追加。6対0とリードし、明豊は7回裏から選抜で大活躍を見せた本格派右腕・大畑蓮を投入。
大畑は真っ向から振り下ろすストレートは常時140キロ~142キロのストレート、切れ味鋭いスライダーを投げ込み、二者連続三振。角度あるストレートは本当に素晴らしく、西日本短大附打線も攻略が難しいと思われたが、二死から6番吉永 光が高めに入ったスライダーを逃さず、コールドを決めるサヨナラ本塁打。西日本短大附が2016年以来のベスト4入りを果たした。
試合後、西村監督は「最初は食らいついていこうという試合展開でしたが、まさかこういう展開で終わるとは。やはり2点目を入れたい場面で神宮が打ったことで変わりましたし、江崎が好不調関係なく試合を作れるようになったのが大きいと思います」とバッテリーの活躍をたたえた。
敗れた明豊は自慢の投手陣が攻略された。登板した4人は全員が135キロ越えで、そのうち寺迫涼生は最速140キロ、大畑は142キロと決して悪い出来ではなかった。ただ勝負所の制球力の甘さが仇となれば、強力投手陣でも大量失点はあり得ること。その怖さを十分に感じた明豊投手陣がどう変わるのか注目したい。
(文・写真=河嶋 宗一)