Column

日本とは対象的だったアメリカ野球のオンとオフ 髙橋 左和明監督(九里学園)vol.4

2019.04.15

 髙橋 左和明(たかはし・さわあき)監督とのインタビューを通して感じるキーワードの一つに「柔軟性」がある。今回のコラムは、この柔軟な考えを支える、髙橋監督の多様な経験と、行動力にフォーカスしてみたい。行動力の裏にあるのはどんな想いがあるのをを紐解いていく。

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柔軟性は、行動力によって生まれている

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木造校舎をバックに映る髙橋 左和明監督(九里学園)

 髙橋監督は、根底にあるのは竹田イズムと話す。つまり高校時代の恩師でもある竹田利秋(たけだ・としあき)元監督が影響が大きいと言う。

 「僕の原点は、竹田先生から教わりましたね。考え続ける。だからこそ、これでいいのか?というのを常に何かあったら疑問に持てるようになりました」

 これは、髙橋監督の言葉である。これまでのコラムでも書いてきた。「考える力」などは、まさに竹田イズムの一つである。

 髙橋監督は、現役時代から365日野球漬けの生活に「これでいいのか?他のやり方もあるのではないか?」と考えていたと言う。恩師から野球技術、メンタルなど野球に必要な多くのことを学んだ、しかし尚も、髙橋監督は、野球の新しい価値観を知りたいという思いが強かった。

 考えて欲しい、甲子園に連続出場をしたチームのキャプテンである。野球界で言うエリートコースを歩もうと思えば歩めたはずである。だが、髙橋監督は新しい考えに惹かれていくことになる。それは、恩師に教わった「考える力」がベースにあることは疑いのないことだ。

 こうして、海の向こうのベースボールでは、野球はどのような捉え方をされているのか、アメリカの部活動の教育はどんなものなのだろうかを知るために、髙橋監督は大学卒業後にアメリカ留学を決めるのである。

[page_break:アメリカ野球で感じた、野球以外の時間の大切さ]

アメリカ野球で感じた、野球以外の時間の大切さ

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ノックをする髙橋 左和明監督(九里学園)

 アメリカでの経験を、髙橋監督はこのように回顧している。

 「まず、練習時間が全然違います。2時間もないですよ。パターンも決まっていて、まずはキャッチボールして、バッティングも一箇所、いわゆる監督が投げて、それを5人くらいでローテションで打って、後はノックして」

 「春から秋ぐらいまでは野球のシーズン、冬はアメフトです。アメフトの時期までは、野球部がロッカーを使っていいですけど、それが秋ぐらいになるとアメフトと全部入れ替わります。僕らは部活には行かなくなります 。ですから、その期間は家族と時間を多く持ったり、勉強もできます。成績が悪ければ部活に参加できないですから」

 一日の練習時間と、年間を通してオン・オフについての髙橋監督のコメントである。共通している点は、学生の時間の使い方として、野球だけでない時間がきちんと取られているという点である。

 この経験は今の指導にも活かされている。九里学園の練習は16時に始まり18時に終わるのである。

 「練習が終わるのは18時にしています。夕食時間までに家に帰る。家族と食事をする時間を取る」

 仙台育英時代の22時までの練習とは対象的である。平日は2時間で、その他の時間は個々の裁量に任せている。髙橋監督は自身の春・夏と[stadium]甲子園[/stadium]出場を果たした選手時代の成功体験に縛られることなく、常に学び、そして実際の行動にアウトプットしている。髙橋監督の「柔軟性」が分かるエピソードである。

文=田中 実

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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