浦添商vs南風原
小柄なサウスポーが秋8強を牛耳る
完封勝利の浦添商・座覇
1回裏、浦添商は1番呉屋。「ストレート1本に絞っていた。」ところ、真ん中やや高めの甘い球を見逃さず振り抜く。海風にも乗ったものの、フェンス高さが約2mもある[stadium]宜野湾球場[/stadium]の、さらに一番深い左中間のスタンドまで飛んでいった。呉屋自身、高校野球初のホームランでチームが波に乗った。
3回には、エラーの走者を犠打で進めて4番上之神。呉屋に負けじとレフトの横を襲うタイムリー二塁打で加点した。
追加点が欲しい浦添商は7回、「ここで追加点を取れると大きいぞ。」とゲキを飛ばした宮城監督の期待に応える。一死から9番座覇がバントヒットで出塁。「いい意味で、彼の中での遊び感覚が出たバントヒット。」それに先輩も乗る。呉屋がレフト前で続くと2番新垣良もセンター前へ運ぶ3者連続ヒットで大きな2点を刻み込んだ。
浦添商のマウンドを死守する小さな左腕は、まだ一年生ということもありさすがに終盤、スタミナ切れを迎えるも「もう少し頑張れば完投出来るから。」と自らを鼓舞しつつ終わってみれば被安打5、奪三振6の完封勝利。「座覇に尽きる559日振りの勝利。」と、長く勝てなかった宮城監督もようやく安堵したナイスゲームだった。
敗れた南風原だが、秋8強の立役者であったエース金城大空が肘の故障で投げられない中、背番号9の左腕新垣が粘投。7回途中で降板も、6回まで許したヒットは僅かに3本のみ。その7回、リリーフに立った玉城も併殺に斬ってピンチを切り抜けるなど、全員でカバーする姿が印象的だった。来る夏、エース金城大空が復活したならば。昨秋に続く南風原旋風が、もう一度起こる可能性は大だ。
(文=當山雅通)