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かなり深い理由があった!龍谷大平安に「1番・センター」が多い理由!【後編】

2019.03.24

 全国屈指の名門で、走攻守全てにおいて鍛え上げられている龍谷大平安。実はある打順が毎年のように続いている。それは「1番センター」だ。

 過去のスタメンを振り返っていくと、2014年センバツ優勝時には徳本健太朗(トヨタ自動車入社予定)、2015年には城島大輝(日本大)、2016年には小川晃太朗(同志社大)、2017年は17038(東洋大入学予定・2018年は3番)、そして今年は中島大輔(新3年)と1番センターが続いている。

 なぜ龍谷大平安は俊足の1番センターが多いのか。そして、原田英彦監督が求める1番打者、センターとはいったいどんな選手なのか。後編はなぜ元気あるセンターを求めるのか。そしてプロへ進んだあるOB選手について語ってもらった。

 かなり深い理由があった!龍谷大平安に「1番・センター」が多い理由!【前編】

打者の気を紛らわせるセンターの元気

かなり深い理由があった!龍谷大平安に「1番・センター」が多い理由!【後編】 | 高校野球ドットコム
センターの守備につく龍谷大平安の選手

 「バッターが一番見えるのはピッチャーとセンターなんですよ。そこでセンターがワイワイ喋っていたらバッターは気になるんです。自分の視界に入るでしょ。だから僕は守っている時にそれを知って動いていたんです。『ここが大事やな』と思う時は手を回したり、ある方向に走って戻ったりして、相手の集中力を切らすようなことをずっとしていました。僕は声も大きかったし、僕の声で気を紛らわせることもありましたね」

 外野手はバッターと距離があるため、そこまで意識が向く選手は多くないだろう。だが、そうした些細なことに目を向けられるかどうかが、大事な勝負の分かれ目になる時もある。高校野球よりはるかにレベルが高い社会人野球で、原田英彦監督が13年も現役を続けてきたのもこうした積み重ねの賜物だ。

 だからこそセンターに求めるレベルが高いのだろう。多くの名センターを輩出しながらも「近年、なかなか良いセンターがいないですよね。徳本健太朗も最後、良いセンターになったと思うんですけど、僕からしたらまだまだです」と話す。

 今年のセンターのレギュラーである中島大輔については「走ったら速いし、ミート力もある」と能力の高さを評価しつつも「練習の中で目立たない」と物足りなさを感じている。

 「やっぱり大事なのは気持ちですよね。今の子は気持ちを出すのが下手ですけど、長く野球をしようと思ったらそういうところは絶対に必要です。松本渉も足が速くて良い選手だったんですけど、あの子も大人しかったです」

[page_break:教え子にエールを送るためにもセンバツで勝利を目指す!]

教え子にエールを送るためにもセンバツで勝利を目指す!

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龍谷大平安出身の俊足 1番・センター

 高校卒業後に大学、社会人で活躍するためにはアピールして存在感を出すことが求められる。強豪大学では部員が100人以上の大所帯となるところも珍しくないが、その中でレギュラーを勝ち取るためには技量だけでなくアピール力も必要となるからだ。松本は東洋大学に進み、中島も有名大学でのプレーを希望しているが、大勢いる部員の中で上手くアピールできるかが彼らの野球人生にとって重要となってくるだろう。

 教え子に対して辛口な原田監督が「足も速いし、バネもある。運動能力の高さでは一番」と認めるのが現在は広島東洋カープでプレーする赤松真人だ。フェンスによじ登ってホームラン性の打球をキャッチするなど、プロ野球選手の中においても身体能力の高さが際立っている赤松だが、高校時代にはこんなエピソードがあったという。

 「あの子は指がメチャクチャ長かったんですよ。ETみたいな指をしていたんです。ピンポン球を持っているようなに自在に操って強いボールを投げていました。アイツが卒業する前には遠投で130m投げたんです」

 高校生にしてプロでもトップクラスの遠投130mを投げていた赤松。原田監督も驚く能力の高さを武器に守備や走塁で多くのファンを湧かせてきた。

 そんな赤松だが、2016年末に胃がんを発症。昨年に実戦復帰し、現在は1軍復帰に向けてアピールを続けている最中だ。原田監督は赤松と今でも電話で連絡を取ることがあるそうで、「明るくふるまえる子なんですけど、復帰してほしいですよね」と教え子の想いを語ってくれた。

 病を乗り越えて復活を目指す先輩を勇気づけるのが後輩の活躍だろう。センバツでは赤松の復帰を後押しするような活躍に期待したい。

文・写真=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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