Column

府立勢唯一の大阪ベスト8!躍進の鍵は野球を楽しむこと! 府立港【前編】

2019.03.02

 昨秋の大阪府大会ベスト8の顔ぶれを見ると、優勝した履正社や超名門・大阪桐蔭をはじめ、強豪私学が多く名を連ねた。その中に公立校が1校食い込んだ。その学校こそが今回紹介する府立である。

 昨夏は北大阪大会で3回戦止まりだったチームが、にはベスト8入り。大躍進とも言える活躍を見せた彼らの取り組みとは。その秘密を知るために取材に向かった。

まずは野球を楽しめ!

府立勢唯一の大阪ベスト8!躍進の鍵は野球を楽しむこと! 府立港【前編】 | 高校野球ドットコム
ロングティーで打力強化中

 「練習からちょっと気持ちが折れやすい、負けるところがあったのですが、選手たちに1番求めたのは、野球を楽しんでほしいということです。」
 新チームを作る際のテーマを語ったのは、昨年の4月から府立で指揮を執る西原佑騎監督である。

 西原監督は高校時代、府立でプレー。その後は大学に進学後、母校に戻りコーチとして選手を指導し、現在に至る。

 夏は3回戦で大阪学院大高に5対0で敗れた府立。新チームを結成した時の手ごたえを聞くと、
 「センターラインがしっかりしていたので、試合が崩れることがほとんどない。終盤の集中力と、『しっかりやれば勝てる』と選手に思わせればいけると思っていました。」

 部員17名でスタートした新チーム。西原監督は自信を持っていたが、選手たちが抱いていた印象は全く逆のものだった。
 チームをまとめる清久剛主将は、「いい加減な選手が多いので、まとめられるのか不安でした」と当時の心境を語る。さらに2年生の長安直希投手は「始まった当初は声も出ない、野球する以前の問題でした」と話す。

 公立勢唯一のベスト8の府立の船出は不安そのものだった。ではどうして勝ち進むことができたのか。その答えを長安投手はこう語る。
 「監督中心に意識付けをしてくれたので、この結果が出せたのだと思います」。

 西原監督が意識付けしたものとは。その答えは冒頭に出てきた、「野球を楽しむ」ということだった。

[page_break:選手をほめて、失敗を反省させることで成長を促す]

選手をほめて、失敗を反省させることで成長を促す

府立勢唯一の大阪ベスト8!躍進の鍵は野球を楽しむこと! 府立港【前編】 | 高校野球ドットコム
ミーティングをする府立港の選手たち

 清久主将も「西原監督は何よりも『野球を楽しめ!』とよく口にしているので、チームの中で楽しめる雰囲気ができている」と語る。

 では西原監督はどうして野球を楽しむことを大事にしているのか、本人に聞いてみると、
 「高校野球で野球をやめる子もいますが、(大学など)上でみんなができるように野球を楽しめるようにしたい」と理由を語り、続けてこう話した。
 「選手時代は人数が多く80名ほどいました。そうするとやはり試合に出られない選手もいて、結果も出なくて練習に対してやる気がない選手もいました。
そういう自分の経験から、ただしんどい、やらされているという感覚にはならないようにしています。全員が野球をやっている、という感覚にしたいというのが願いです。」

 全員が野球をやっている、という感覚を持たせたいという西原監督。だから、府立では実戦形式の練習でヒットを打ったら、ガッツポーズなど喜びを表現してもOK。西原監督も選手のことをほめて、モチベーションを上げている。そうやって選手の中で自信を深めている。

 また、あるプレーで失敗をしても西原監督が叱ることはない。選手と話すのは、何で失敗したのか考えて、次はどうした方がいいのか、つまり改善策である。

 「選手が持っているものが10あるのに、僕が7,8にしたらもったいない。10出してダメだった時に選手は成長します。ただ7,8で失敗したらずっと同じ失敗をするので。怒ることが悪いわけではないですが、大事なのは失敗を反省させることです。」

 「怒るのは挨拶とか、時間を守るとか、当たり前なことを守れない時で、怒ることの方が多いです(笑)」と西原監督は話すが、野球を楽しむことを大事にするようになったのは監督になってから。それよりも前、コーチ時代から選手たちに訴え続けたことがあった。それは「準備」だった。

 前編はここまで。後編では西原監督が語る「準備」について。そして春先への意気込みなどを伺いました。後編もお楽しみに!

(文・編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.30

【春季栃木県大会】夏への布石が着々と成果を挙げた! 文星芸大附が堅い守備で完封勝利!ドラフト候補・堀江は最速146キロをマーク

2024.04.30

大阪大などに卒業生を輩出する進学校・三国丘  文武両道を地で行く公立校は打倒・強豪私学へ「何かしてやりたい」

2024.04.30

【北海道】昨秋優勝の旭川実と春季連覇中の旭川明成が初戦で激突!<春季全道大会支部予選組み合わせ>

2024.04.30

【岩手】宮古、高田、久慈、久慈東が県大会出場へ<春季地区予選>

2024.04.30

【春季愛知県大会】享栄がまとまりの良さを見せて、豊川に完封勝利で決勝進出

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.28

【広島】広陵、崇徳、尾道、山陽などが8強入りし夏のシード獲得、広島商は夏ノーシード<春季県大会>

2024.04.28

【岡山】関西が創志学園に0封勝ちして4強入り<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける