センバツで開花せよ!アベレージヒッター&ユーティリティプレーヤー・野邊 優汰(明豊)!
巧打者揃いの明豊の中で、一際、存在感を発揮しているのが野邊 優汰だ。秋季大会では打率.387、チームトップの15打点を記録したように、右、左に打ち分けるバットコントロールの高さと勝負強さを兼ね備え、高校通算10本塁打を記録した長打力もある。
さらに三塁・捕手・遊撃手を守れるユーティリティぶり。明豊中では捕手として活躍して[stadium]甲子園[/stadium]に行くため明豊高に進むことを決断した野邊の歩みを振り返る。
自主練習を繰り返し、ショートストップへ成長した
野邊優汰(明豊)
打てて、複数ポジション守れるユーティリティな選手になるきっかけは1年生から始まった。これまで捕手としてプレーしていた野邊は、川崎監督から遊撃手転向を命じられる。コンバート理由について川崎監督はこう語る。
「彼のグラブ捌きや捕手としてフィールディングの所作を見て、内野手でいけるほどの技量は感じました。内野手をこなすことでプレーの幅が広がると思いますし、いろいろなポジションをこなすことで、野球人として能力が高まる。
野邊は複数ポジションをこなせる能力を持った選手だと思いますし、もっと高い位置を目指してよい選手だと思い、ショートへのコンバートを命じました」
実際に守ってみたものの、なかなか足が動かずに苦しんだ。そこで、野邊は中学・高校の先輩・三村鷹人(専修大)から遊撃守備を学んだ。
2学年上の先輩から足の使い方、グラブ捌きについて学んでいき、グラウンドではノックを多く受け、練習が終わり、寮の中にあるトレーニングルームでは空いたスペースを借りて基礎練習を繰り返した。打撃では自慢のバットコントロールを磨いてきた。
そして一冬開けて、打者として憧れている濱田太貴とともにクリーンナップを打ち、春は秋に続き、九州大会に出場した。この大会では印象的な活躍を見せる 野邊。まず準々決勝の伊万里戦でのサヨナラ安打。
ノックを受けている野邊優汰(明豊)
「あの試合、エラーが続いていたので、負けかけた試合でした。なんとか打てたので、ほっとした試合です」
さらに準決勝の東筑戦では本塁打を放つ。野邊にとって初本塁打となった。とはいえ、野邊自身、満足していない。
「それほど打てていないですし、反省することも多かった大会でした」
さらに攻守を磨き、甲子園を目指した2年夏の大分大会だったが、準決勝で敗れ、甲子園を逃す。
「打って甲子園に行きたかったので、負けた試合については、とても悔いが残る試合でした」
最上級生となり、自覚と意識が高まった
インタビュー中の野邊優汰(明豊)
そして新チームでは三塁手へ転向。最上級生となって自覚が芽生えた。
「やはり学年が一番上になって後輩に声をかけることが多くなりました。自分も先輩から声をかけられて、とても助けられた経験がありますので、そういう声をかけるようになりました」
そして打撃面では、意識付けも打撃技術も変えてきた。
「秋から4番に座るようになり、後輩たちがチャンスを作ってくれるので、返さないと先輩の責任は果たせないと思いましたし、打撃練習からプレッシャーをかけることを意識しました」
続いて技術面で意識しているポイントとは。
「まず打ちにいく時、左肩が下がらないこと。左肩が下がると、下からバットが出てしまうので。そして手首が負けて、早く返してしまうことがあるので、ぎりぎりまでレベルスイングで打ち返すことを意識しました」
練習では横から来たボールを打つティーを念入りに練習。「横から来るボールを打ち返すのは、力が伝わりにくいので、難しいです。そこでどうすれば、力強い打球が打てるのか、考えながら打撃練習を繰り返してきました」
その取り組みもあり、秋季大会ではチームトップの13打点を記録した。
バットを担いでポーズをとる野邊優汰(明豊)
そして冬の練習では、さらに対応力を高めるために下半身強化に取り組んでいる。
「打撃フォームを固定する変化球に対応ができるための技術を求めている中で、下半身の強さが必要だと思い、トレーニングをしています」
徐々に打撃の調子が上がってきた。自身初の甲子園出場だが、責任感の強い野邊は「まずチームの勝利のために活躍したいです」と意気込んだ。
果たして野邊は全国の舞台でも高い野球センスを発揮できるか。
文=河嶋 宗一