最速142キロ右腕の最大の武器は安定したメンタル! 國吉 吹(沖縄水産)
秋季大会準決勝、強豪・沖縄尚学戦でノーヒット・ノーランを達成したのが沖縄水産の右のエースである國吉吹(くによし いぶき)だ。國吉のルーツは沖縄の離島・久米島にあり、久米島西中出身だ。久米島といえば西武ライオンズの山川穂高の母親が同島出身である。プロ野球のスーパースターと同じルーツを持つ國吉に迫りたい。
國吉の武器は安定したメンタル!
ガッツポーズする國吉吹(沖縄水産)
最速142キロ右腕という情報が先行してしまうが、國吉の最大の長所はピンチでも焦らずに自分の投球が出来るメンタルだろう。
バッテリーを組む金良涼介捕手は
「ポーカーフェイスであまり表情に出さないのですけども、気持ちが強くて満塁になった時でもギアを上げて三振など取れるピッチャーです。とてもいいピッチャーだと思います 」
と話す。
國吉自身も、自身のメンタルについて
「昔からあまり焦りません。ピンチでも焦らずに自分のピッチングができます」
と自身を分析している。
取材中も感情をあまり出さずに、淡々と言葉を選びながら受け答えする姿勢が印象に残った。
常に変化する状況の中、心を一定に保てることは、自分自身の安定した投球に繋がるだけでなく、周りを守る野手にも非常に心強い。取材を通して、沖縄尚学戦で達成したノーヒット・ノーランの理由が垣間見えた。
そう、國吉の武器はなんと言っても「安定したメンタル」だ。
[page_break:力強いストレートでねじ伏せる!]力強いストレートでねじ伏せる!
色紙には「一戦一勝」國吉吹(沖縄水産)
捕手の金良が、「勢いのあるストレートで(相手を)どう抑えるのかは、リードをしていて楽しいです 」と語るように、國吉のストレートには定評がある。國吉自身も、そのストレートに磨きをかけ、夏までに最低145キロを投げたいと話してくれた。
ただ、夏はストレートだけで勝てるほど甘くはない。現在持っている、カーブ、スライダー、チェンジアップ、フォークと多彩な変化球と、自慢の直球をどのように組み合わせていくかが重要になる。國吉もその点は十分に理解している。
「ストレートのスピードを上げ、変化球はキレを良くしたいです。そのために今は走り込みをしています」
とさらなる高みへ向け、冬場のトレーニングにも余念がない。
「安定したメンタル」という土台の上にある、力強いストレートとキレのある変化球、この全てが國吉の投手としての魅力だろう。
最後に、負けたくない相手として興南の宮城 大弥投手を上げてくれた。秋の大会で興南と決勝戦で対戦している。その時にマウンドに上ったのは左のエース上原一帆だった。次こそは、自分が対戦したいという気持ちがあるに違いない。
冬が終わればすぐに春の大会が始まる、そして最後の夏の大会もやってくる。実力校の両校が勝ち上がれば、再戦の可能性は高い。宮城と戦うためにも、そして[stadium]甲子園[/stadium]に沖水という2文字を躍動させるためにも、國吉の活躍は必要不可欠だ。
取材後記
取材中もポーカーフェイスで淡々と答えてくれた國吉。選手からの信頼は厚い。沖縄水産には、國吉・上原という左右の2年生エースの他に、140キロ1年生コンビ、石川愛斗、古波藏悠悟がいる。石川と古波藏は、「(國吉)吹先輩のようになりたいです」と口を揃える。ポーカーフェイスの裏の熱い気持ちが伝わっているのだろう。國吉はプレーとその背中でチームを引っ張っている。
文=田中 実