投手として打者として活躍目指す上原 一帆(沖縄水産)のレベルアップの冬【後編】
上原一帆の第一印象は?と聞かれたら、こう答えるだろう。「人懐っこい笑顔で、どこか憎めない雰囲気」それが上原一帆の第一印象だ。インタビュー中の上原からは、野球で見せる、力強い投球フォームと堂々としたマウンド裁きは想像もつかない。
後編では。そんな野球小僧・上原の更なる目標、そして持ち味のひとつであるバッティングについても迫っていく。
笑顔あふれる野球小僧・上原 一帆(沖縄水産)の魅力は考える力【前編】
「目標」そして「実行」

左のエース・上原一帆(沖縄水産)上原一帆
上原は現在さらなるレベルアップを目指し、下半身強化を中心に冬のトレーニングを行っている。
「下半身がブレることがあったので、下半身強化を意識して冬トレを行っています。走り込み中心にしています。走り込みを多くして、スクワットやランジ(下半身を鍛えるトレーニング)とかをして、また腕などの力をつけていかないといけないので、しっかり上半身のトレーニングも、自分で考えながらしています」
「スクワットは、ちょっと負荷があるかなぁと言う重さのもので、自分の限界までの回数をやっています」
と、目的とトレーニング内容を話してくれた。
ただし、ここで1点強調しておきたいのは、“上原が冬場に下半身強化をめざしている”という点ではない。
“自分で目的を持ち自発的に考え下半身強化をしている”点だ。
上原のインタビュー中によく出てくる言葉の
「自分で考えながらしています。」
「自分の限界までの回数をやっています。」
この言葉は、自身で考え実行していることを意味する。自分で考える選手の成長スピードは早い。
上原は、目的を持ち、そして自分で考え行動しているのである。
そんな上原が夏への思いを語ってくれた。
「夏は[stadium]甲子園[/stadium]にかかっている試合で、最後の大会でもあるので、チームの足を引っ張らずにコントロール良くし、球を速くして、変化球もチェンジアップやスライダーなど投球の幅を広げ打たれない投手になりたい」
自分で考え行動に移せる上原だからこそ、自身の思い描く投手になれるという確信が生まれる。
[page_break:バッティングにも注目!]バッティングにも注目!

インタビュー後に記入する安打を放つ上原一帆(沖縄水産)
ここまで、上原のピッチングに焦点を当ててきたが、打者・上原にも触れたい。
「ピッチングとバッティングどっちが好き?」と尋ねると
「バッティングですね!」
と、屈託のない笑顔で即答してくれた上原。
上原のバッティングは父・一哲さんの影響を受けている。 上原は小学時代、父親が監督の野球チームで鍛えられた。沖縄水産ファンでもあった父が、上原に参考にするように進めた選手が、大城直也のバッティングフォームである。
大城直也は、1998年、故・栽弘義の率いた沖縄水産で主将として[stadium]甲子園[/stadium]出場を果たした選手である。同学年には、ソフトバンクホークスやヤクルトスワローズで活躍した新垣渚などがいる。
屈強な体格からギリギリまでボールを引き付け、スパッとボールをシバき上げるバッティングは、ゾッとするほど素晴らしく、甲子園でも大活躍を見せた。
バッティング好きの上原、
「夏までに、投手を助けられるよな打者になりたいです」
と語ってくれた。
もちろん、打者としてもピッチング同様に目標を持っているに違いない。何度も言っているが自分で考え、行動できる選手の成長スピードは早い。 今後どのような成長曲線を描くのか、上原の投打に注目したい!
編集後記
上原のインタビューで心に残ったのは2つあります。1つめは、なんと言っても笑顔です。純粋な野球少年の目にすっかり魅せられてしまいました。そして2つめは、やっぱり「自分で考えられる」という点です。「やりたいと思うことは色々会ります。自分でしっかり考えながらやらないと夏勝てないと思っています。」 この言葉に全てが詰まっていると思います。
文=田中 実