Column

根尾昂は将来の一流候補はどうあるべきかを教えてくれる選手だった

2018.12.29

小学生の時からすごさを実感させた根尾昂

根尾昂は将来の一流候補はどうあるべきかを教えてくれる選手だった | 高校野球ドットコム
佐々木 朗希

 根尾昂大阪桐蔭ー中日ドラゴンズ)が「NPB12球団ジュニアトーナメント2018 supported by 日能研」の始球式を藤原恭大大阪桐蔭ー千葉ロッテマリーンズ)とともに、始球式を務めた。

 筆者が根尾を初めて見たのは2012年に行われたNPB12球団のジュニアトーナメントなのだが、その時の根尾はソフトボール投げ89メートルを投げた飛騨の怪童として注目を浴びていた。実際に目にしたとき、あまりのすごさに目を奪われた。

 根尾とほかの小学生投手とは格が違った。ストレートは128キロをマークしていたが、根尾と同じく120キロ台をマークしていた投手はいた。最も惹かれたのは体のバネの強さやしなやかな投球フォームである。根尾の投球フォームに入ったとき、左足を下ろしてから、軸足である右足をプレートに押さえつけ、軸足を強く蹴り上げてから投げ込むフォームから繰り出すストレートの回転数は素晴らしかった。当時の根尾はそれほど体が大きいわけではない。それでも120キロ台の速球を投げていたのだから、成長期に伴って体が大きくなれば、140キロ台は実現できるだろうとみていた。あれから根尾は中学3年生にして最速146キロのストレートを投げるなど、スーパー中学生として注目された。

 彼が高校1年生の12月のこと、根尾の取材が実現したとき、筆者は小学6年生だった根尾投手の印象を率直に話した。根尾は「ありがとうございます」と頭を下げ、当時のパフォーマンスは当時取り組んでいたスキーで培った「体軸のバランスがあったから」と話してくれた。
「あの時から投球フォームのバランスを大事にしていました。バランスを大事にする考えはスキーの練習があったからだと思います。スキーの姿勢やジャンプするときに気を付けないといけないのは、体の軸が真っすぐになること。それができるための基礎練習をよくやっていましたので、それが野球につながったのかなと思います」

 それを小学生の時から意識していたのだから驚かされる。それから根尾のパフォーマンスを注目すると、走攻守にわたって複雑な動きを軽々と実現してくれる。守備では捕球してからの体勢を崩さずのスナップスロー、打撃では軸を崩さず、かち上げスイング、投球フォームでは体を鋭くスピンをさせたフォームから140キロ後半。何においてもすごい選手だった。

 筆者が根尾から学んだのは将来の一流選手は目先の数値ではなく、高いバランスから様々な動きを実現できる選手こそ伸びやすい。

 筆者は根尾に限らず、いろいろな選手が発した言葉、パフォーマンスからどういう選手が活躍できるのか、伸びるのかを学んでいる最中だが、小学校6年生の根尾は選手を見るときのポイントとして大きなヒントを与えてくれた選手だった。

 さて中日ドラゴンズでプロ野球選手としてスタートを切る根尾。高い意識で次々と驚かせる活躍を見せてくれるだろう。その時、また我々に活躍する選手はどういうものなのか?改めて大きなヒントを与えてほしい。

 超一流となりミスタードラゴンズと呼ばれる選手になることを願っている。

文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.04

【春季愛知県大会】注目の師弟対決の決勝、享栄が中京大中京を下して8年ぶり8回目の優勝

2024.05.04

1500人近くの中学生が肩肘検診を一斉に受ける!ポニーのお祭り行事・ポニーフェスタは今年も大盛況!

2024.05.04

【新潟】東京学館新潟、糸魚川がコールド勝ちでベスト16入り<春季県大会>

2024.05.04

【神奈川春季大会】東海大相模・藤田琉生が涙の1失点完投!昨秋準決勝で敗れた横浜相手にバットでもリベンジ果たす!

2024.05.04

【石川】日本航空石川、星稜、小松大谷、金沢学院大附が4強入り<春季県大会>

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.29

【福井】福井工大福井、丹生、坂井、美方が8強入り<春季県大会>

2024.04.29

【春季埼玉県大会】今年の西武台はバランス型!投手陣の完封リレーで初戦突破!

2024.04.29

東海大相模の149キロ右腕・福田拓翔が6回10奪三振の快投!「甲子園で150キロを投げたい」とセンバツV・健大高崎の石垣をライバルに!

2024.04.29

【石川】金沢、遊学館がコールド勝ちでベスト16入り<春季県大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>