安心感ある守備で信頼を掴み、強い向上心で打撃が急成長!甲子園ベスト4捕手・佐藤英雄(日大三)!
東京代表は3戦目に敗れ、このキューバ遠征での勝ち越しはなくなった。そんな中、選手は今後の試合をどう立ち向かおうとしているのか。今回は佐藤英雄(日大三)捕手をピックアップ。この夏、2年生ながら甲子園ベスト4入りに貢献した捕手。和泉実コーチからも絶大な信頼を受ける。キューバ代表に対してどうリードをしているのか、また成長を見せた打撃面の成長の秘訣を追った。
キューバ打線相手にどんなリードをしているのか?
佐藤英雄(日大三)
「どっしりとした構えはしっかりと腰が落ちていて、安定感がある。まさに日本人捕手ですよね。肩も強く、なんといっても甲子園ベスト4捕手。大きな存在です」と和泉実コーチから絶大な信頼を受ける佐藤。安定したキャッチング、2.00秒台のスローイング、鋭い観察力を生かしたインサイドワークとみるだけで安心感が感じられる選手だ。佐藤は第1戦からマスクをかぶり、第2戦から第3戦まで1人で本塁を守っている。
キューバ打線をマスク越しに見て感じたことは高低、コーナーを使わないと抑えられないということ。
「昨日の細野に対してもそうでしたが、井上に対しても高低を使って組み立てました。ただ一辺倒になるのではなく、速球、変化球をバランスよく使わないと抑えられないので、そこは考えながらリードをしていきました」
その中でもクリーンナップを警戒しながら、慎重にリードをし、失点を最小限に防いだ。7回裏の大量点を除けば、評価できるものだった。
「投手陣は東京にいたときよりもボールのキレは上がっていると思います。あとはキューバ打線を抑えるとなると細かいボールの出し入れが必要になり、そこでコースを外して四球になって、ピンチを広げてしまったのが反省点です。もう少し突き詰めていきたいと思います」
[page_break:キューバの選手を観察して、成長のヒントに]キューバの選手を観察して、成長のヒントに
そして打撃面ではこの3戦で右中間を破る二塁打を放ち1点を返すなど、「ようやく木製バットに慣れてきたかな」と手ごたえを感じていた。日大三の時は下位打線で打撃に課題を抱える佐藤。この代表入りは佐藤の打撃面を大きく成長させる良い機会となった。木製バットで練習する中で技術的に上達するために、ほかのチームメイトから話を聞きながら技術を学んだ。また、キューバ代表の打撃練習を見るために昼食を早めにとってキューバの打者の動きを観察した。すると、気づいたことがある。
「キューバ代表の打者は大振りのように見えて、コンパクトで、小さい動きでボールに対して一直線で捉えることができるので、飛ばすことができるんだなと思い、動きを少しまねたりしています」
その結果、打撃練習では両翼99メートルのラテンアメリカーノ球場でさく越えも記録。そして試合では右中間を破る二塁打。佐藤の本塁打を見た小倉全由コーチ(日大三監督)も目を丸くして驚き、「三高のグラウンドでも打ってくれよ~」と懇願していた。
佐藤は「まだまだ」といいながらも攻守両面で成長が見える。キューバ遠征も残り2戦となった。
「すごい指導者4人のもとでやれて大きな勉強となっています。3連敗してしまったんですけど、残りの試合は勝てるよう、しっかりとチームを引っ張っていきたいと思います」
扇の要としてチームを勝たせたい。その一心だけだ。
3連敗したとはいえ、一人一人の成長を見るとこのキューバ遠征は実りあるものになっている。
文=河嶋 宗一
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