その「ポテンシャル」をチーム力に昇華せよ! 秋季徳島県大会総括
準々決勝で夏の代表校・鳴門が徳島商にコールド負け、シード校の鳴門渦潮も川島に敗れる中、川島の大会初優勝。準優勝・徳島商、3位・富岡西、4位・徳島池田の順位で終了した「第71回徳島県高等学校野球秋季大会」。四国大会では富岡西が2勝でベスト4、徳島商も1勝を上げるなど、近年顕著な県あげての競技力強化を示す秋ともなった。
では2019年、彼らがさらに上昇するための必要なものとは?今回は11月24日(土)[stadium]JAアグリあなんスタジアム[/stadium]で開催された「第10回徳島県高等学校体力・技術向上研修会」の結果・テータも開示しながら「徳島県高校野球の2018年秋」を総括していく。
「ポスト・森 唯斗」はそこにいる
ロングティーで一位となった村田 龍哉(徳島商)
ベースランニング
1位:石上 泰輝(徳島商2年・二塁手) 13秒78 歴代2位
2位:赤松 侑斗(阿波2年・遊撃手) 14秒07
3位:安藤 稜平(富岡西2年・中堅手) 14秒19
ロングティー
1位:村田 龍哉(徳島商2年・投手) 114メートル60 歴代4位
2位:大谷 圭悟(富岡西2年・内野手) 113メートル36 歴代5位
3位:笠原 淳弘(徳島科学技術2年・一塁手) 108メートル75
遠投
1位:石上 泰輝(徳島商2年・二塁手) 116メートル73 歴代1位
2位:小谷 健太(徳島商2年・捕手) 113メートル62 歴代5位
3位:上木 宙椰(名西2年主将・遊撃手) 113メートル58 歴代6位
11月24日(土)に[stadium]JAアグリあなんスタジアム[/stadium]で開催された「第10回徳島県高等学校体力・技術向上研修会」の測定3種目トップ3である。遠投部門で9年ぶりにレコードを更新し、2冠を獲得した徳島商・石上を筆頭に全国と伍しても十二分に対抗できる数値がここには並んでいる。
ちなみに石上のサイズは「172センチ68キロ」。名西・上木は「173センチ58キロ」。阿波・赤松は「168センチ64キロ」。176センチと決してサイズに恵まれなくとも、今季66試合登板で37セーブ・入団1年目から5年連続50試合以上登板で福岡ソフトバンクホークスの絶対守護神となった森 唯斗(海部~三菱自動車倉敷オーシャンズ)に続く身体能力高きタフネスたちが、徳島県には確かにいるのだ。
ただ、野球は身体能力だけでするスポーツではない。この秋を制したのは「体力・技術向上研修会」でトップ10に誰も入っていない川島。堅実な戦いが鳴門渦潮、徳島池田、徳島商といった強豪を倒しての下克上につながった。
「理想形」富岡西の戦い方に続くのは?
理想的な戦いを演じた富岡西ナイン
その部分で四国大会含め理想的な戦いを演じたのが富岡西。試合前のみならず試合中も順応するクレバーさと、身体能力の高さをうまく掛け合わせ、県勢5年ぶりのセンバツ出場を視野に入れる四国大会ベスト4入りを果たした。徳島商もベスト4入りには一歩及ばなかったが、県大会で鳴門、富岡西を退け、四国大会でも英明に競り勝った粘りは春以降の大きな糧となるだろう。
一方、準決勝以降にピークを合わせられず四国大会行きを逃した徳島池田や川島に競り負けた鳴門渦潮。そして「このチームはやらなくてはいけないことがたくさんある」と森脇 稔監督が引き締めを図る鳴門などは、富岡西の「理想形」を頭に焼き付け、自らのスタイルに落とし込むことが必定だ。
徳島県の大会は試合ごとに、ともすると試合中も状態の上下が激しい場面があるが、メンタルコントロールを含めたチームコントロールも春以降への課題として取り組んでほしい。
全国で勝ち抜く絶対的ベースとなる「選手のポテンシャル」は間違いなくある。彼らには2019年、3月に[stadium]JAアグリあなんスタジアム[/stadium]で開催予定の県ベスト4を基準として選出される北信越センバツ代表校との練習試合なども活用しながら、徳島県にしかできないポテンシャルをチーム力に昇華する戦いを、ぜひ魅せてほしい。
(文=寺下 友徳)