Column

秋季香川県大会総括 着実に実を結ぶ「オール香川」強化・振興策

2018.12.03

 優勝・高松商(2年ぶり27度目の優勝)、準優勝・志度、3位・英明、4位・藤井学園寒川で決着した「平成30年度秋季四国地区高等学校野球香川県大会」。37試合中・2点差以内が11試合。ベスト4の4校中、英明を除く3校も2点差以内ゲームを経験するなど、実力伯仲を象徴する大会となった。

 今回は11月に報徳学園(兵庫)を招き開催された「県高野連招待試合」や尽誠学園高松商を決勝戦で下し優勝した「県1年生大会」。さらに拮抗を生み出してる事業なども交え、「香川県高校野球の2018年秋」を総括していきたい。

ベスト4勢と有力校の差は「紙一重」

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優勝した高松商のエース・香川 卓摩

 四国大会を含めても3本の指に入る好勝負だった3回戦・高松商対三本松。2回戦の藤井学園寒川津田(10対7)や、準々決勝・志度大手前高松(9対7)は終盤に壮絶な打撃戦へ。英明も準々決勝の尽誠学園戦(6対1)は中盤まで1点を争う展開。秋の香川県大会は「紙一重」が勝敗を分けた。

 実際、秋季四国大会を制した高松商の長尾 健司監督や選手たちは異口同音にこう言っている。「三本松戦と(準決勝・7対2で勝った)英明戦で勝てたことが大きかった」。このことからも、ベスト4勢と実力校との差はわずかだったことがうかがえる。

 その他にも1番の前川 遼太(2年・中堅手)、3番の内山 翔斗(2年主将・遊撃手)、エースの宮脇 大治(2年)など小兵ながら堅実な選手がそろい、3回戦で大手前高松に1対2と奮闘した高松西や、「四国発」でも取り上げたように走力と個々の特性を発揮して初のベスト8入りを果たした小豆島中央など、春以降に向かって楽しみなチームも多かった。

 このように活発化が顕著な香川県高校野球。その一因には「オール香川」、県をあげての強化・振興策がある。


「モチベーションを与え続ける」強化・振興策

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キャッチボール、ストラックアウトイベントの様子

 「色々とやっていかないといけない」。これが、小野 裕作・香川県高等学校野球連盟理事長の口癖だ。「色々」は11月にも県1年生大会、ベスト4を対象にした県高野連招待試合を開催。特に県高野連招待試合では2019年春に横浜、同年秋に秋は星稜(石川)、2020年春は広島広陵(広島)がやってくる「強化策」だけではない。

 子どもたちに対しては春の県高野連招待試合で大阪桐蔭の協力を得てキャッチボール、ストラックアウトイベントを開催。今年は秋季県大会優勝校・高松商、準優勝校の志度。11月23日開催の「少年野球研修会」は、毎年の恒例行事になりつつある。

 中学生向けには木曜日に[stadium]レクザムボールパーク丸亀[/stadium]で県高野連野球部顧問が中学軟式野球部を対象に教える「香川県高野連勉強会」に加え、7月末には集中講義で「中学生対象野球勉強会」を開催。惜しげもなく高校野球で必要なメソッドを伝授している。

 実はこれらの財源は2010年から「野球王国香川の復活と全国大会で優勝を狙えるチームを輩出することを目指し、指導者の指導力向上のほか、優秀校が全国のトップレベルを体感できるよう県外強豪校との対戦などを支援する」と使用用途が明記された県教育委員会の「高校野球強化事業」も活用しながら進めているもの。小中高の枠を取り払い「モチベーションを与え続ける」をテーマに一貫した強化・振興策を続ける香川県高校野球の取り組み。「2018年・秋」の拮抗した戦いを見る限り、「オール香川」の努力は一過性のものではなく、間違いなく、着実に実を結んでいる。

(文=寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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