本領発揮は来春の選抜までお預け!それでも潜在能力の高さは発揮した石川昂弥(東邦)
投げては140キロ中盤。打っては高校通算37本塁打と迫力満点の石川昂弥。しかし、八戸学院光星戦では本来の力を発揮できず、敗れ去った。そんな石川の初戦を振り返った。
本塁打なしも主将として逆方向へ強い一打を打つことはできた
石川昂弥(東邦)
苦難の立ち上がりだった。1回表、打者一巡の攻めで5失点。
「最初はボールが浮いていた」と反省し、内外角へ鋭く突く投球を展開。石川は「一番投げやすいのがこの腕の振り」と、右スリークォーター気味のフォームからテンポよく内外角を投げることを意識した。ストレートは常時140キロ前後~143キロと、スライダー、カーブ、スプリットと投げ分け、2回以降は無失点に抑えることができた。自信を持ったボールを投げ込むことができた。
そして本人が強くこだわる打撃では、見せ場を作った。八戸学院光星・後藤丈海は、スライダーを得意とする右投手。後藤攻略のために逆方向を意識していた。
「本塁打は37本打っていますけど、そんなにこだわりはなくて、自分の場合、ホームランを意識しすぎると、力が入りすぎてしまうので、ヒットの延長がホームランという意識です。今日はスライダーを逆方向に打ち返すことを意識して、主将である自分がその姿を示せればと思いました」
6回裏、第3打席で痛烈な二塁打を放った石川。第1打席の中前安打に加え、最低限の活躍は見せた石川。悔やむべきは初回。そして9回表、3番武岡龍世に対し、インコースストレートを投じたつもりが真ん中高めに入ってしまい、本塁打を打たれた。反撃ムードが絶たれ、お得意の9回裏の攻撃に勢いをもたらすことができなかった。石川自身、「気持ちが盛り上がるような場面で打席に立つことができなかった」と悔やんだ。
とはいえ、185センチ87キロと恵まれた体格から放たれる打球速度は圧巻。入学当初は80キロにも満たなかったが、食育とトレーニングの成果もあり、87キロまで増量。逆方向へ強い打球を打ち返すことを意識して、ライト方向への本塁打も増えていった。
東海地区屈指のスラッガーの本領発揮はお預けとなったが、ぜひ来春の選抜で大爆発することを期待したい。
取材=河嶋宗一