Interview

近畿大会ナンバーワン左腕へ!辛苦を乗り越えた清水大成(履正社)

2018.10.29

 来年の高校生左腕では及川雅貴横浜)が注目されるが、及川に負けない投手が現れた。その名は清水大成履正社)。176センチの体格から投げ込む速球の最速は145キロ。2種類のスライダー、カーブを使い分け、近畿大会で16イニング無四球を継続する本格派左腕である。そんな清水の成長の歩みを振り返っていきたい。

1人もアウトにできなかった大阪桐蔭戦を乗り越えて

近畿大会ナンバーワン左腕へ!辛苦を乗り越えた清水大成(履正社) | 高校野球ドットコム
清水大成(履正社)

 寺島成輝に続く左腕が出てきた。その名は清水大成(2年)。ノーワインドアップから始動し、勢いよく右足を挙げていき、ぐっと右足を踏み込んで内回りのテークバックから一気に振り下ろすストレートは常時135キロ~140キロと、高校2年秋の時点では、なかなかのスピード。それよりもすごいのは制球力。近畿大会で16イニングを投げて無四球を継続中。

 初球からストライクが取れ、ボールから入っても次でしっかりとストライクが取れる。テンポよく投球を組み立てることができるので、福知山成美打線は受け身の状態となっていた。すいすいと投球を組み立て無四球完封につながった。

 隙の無いピッチングを見せる清水。ここまでのピッチングに到達してきたのは、これまでの悔しいピッチングをしっかりと糧にしてきからだ。

 1年秋から公式戦で登板を重ねるなど、順調に経験を積んできたが、2年夏、全国的に注目を浴びた大阪桐蔭戦。清水は7回途中、2番手で登板も一死も奪えず、降板した。
 「あの大会は調子が悪く、先輩たちにかなりカバーしてもらった大会でした。あの試合は1人も打ち取れずに降板してしまい、本当に悔しい思いをしました。あの悔しさが今につながっていると思います」

 そこで、清水は夏の大会後、フォーム矯正を行った。右足がインステップ気味になっていたのを真っすぐ踏み出すようにした。それにより、右足に全体重が乗り、体全体を旋回できる投球フォームに。技術面の進化によって力強い速球を投げられるようになったのだ。


成長を支えた女房役

近畿大会ナンバーワン左腕へ!辛苦を乗り越えた清水大成(履正社) | 高校野球ドットコム
清水大成(履正社)

 また精神面も成長した。これは女房役・野口海音(2年)のサポートもあった。

 「普段穏やかなんですけど、これまで打たれるとムキになって1人で拗ねることがありました」
 そういう中、優しく、時には強く諭してきたのが野口だった。清水も経験を重ねることにより、野口は「今ではだいぶ落ち着いてきました」とエースの成長に目を細める。野口も清水が投げやすいよう、ワンバウンドを止める練習を毎日行ってきた。野口はほとんど後逸しないようになり、清水も「止めてくれるので、本当に投げやすく、腕がしっかり振れます」と全幅の信頼を置く。ここまでの快投はバッテリーが互いに協力しあって成り立っているのだ。

 近畿大会では2試合続けて無四球。まだ失点は2だ。清水は「無四球なのは本当に自信になりますし、もともとコントロールはよくなかった方で、ボール先行することが多くて、苦しいピッチングをすることが多かったんです。でも、試合を重ねるごとに良くなっていて、これまでの経験の積み重ねが今のピッチングにつながっていると思います」とこれまでの経験が生きていることを実感している。

 また1年生の時から起用してきた岡田監督も成長ぶりを評価する。近畿大会2試合で無四球ということに触れると「そうなんですか?」と驚き、こう続けた。

 「彼はどちらかという自滅が多い投手でした。去年の近畿大会でもそれがありました。経験して成長した部分は感じられます」 

 指揮官もエースの成長を認める。今回の快投でドラフト候補として注目を浴びるようになった存在。2年前、ドラフト1位となった寺島について「憧れで、投球スタイル、投球での考え方は参考にしています」と語る清水。

 圧巻のピッチングで夏の大阪の頂点に立った寺島のように、今度は自身の左腕で近畿の頂点をつかむ。

文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.29

【宮崎】延岡学園と日章学園がともにタイブレークを制して4強入り<県選手権大会>

2024.05.29

【佐賀】龍谷が佐賀商を破って優勝<NHK杯>

2024.05.29

パ・リーグ守護神成績一覧 際立つ則本の安定感!

2024.05.29

【2024年春季地区大会最新状況】北海道は北海が4季連続Vを達成、6月1日は近畿が準決勝、北信越&中国が開幕

2024.05.29

”魔曲”も登場! 9連勝千葉ロッテを支える今季の新戦力

2024.05.25

首都2部優勝の武蔵大の新入生に浦和学院の大型左腕、左の強打者、昌平の主軸打者など埼玉の強豪校の逸材が入部!

2024.05.25

【熊本】九州学院、熊本工が決勝へ<NHK旗>

2024.05.25

【関東】白鷗大足利が初、逆転サヨナラの常総学院は15年ぶり決勝<春季地区大会>

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】実力派監督就任で進化した奈良の名門・天理。超高校級の逸材3人を擁し、緻密な攻守で全国クラスのチームに!

2024.05.25

【岩手】盛岡大附がサヨナラ、花巻東がコールドで決勝進出、東北大会出場へ<春季大会>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.04.30

大阪大などに卒業生を輩出する進学校・三国丘  文武両道を地で行く公立校は打倒・強豪私学へ「何かしてやりたい」

2024.05.01

春季大会で頭角を現した全国スーパー1年生一覧! 慶應をねじ伏せた横浜の本格派右腕、花巻東の4番、明徳義塾の正捕手ら入学1ヶ月の超逸材たち!