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部員3人から県大会ベスト4!チームを支える3つのモットー!国分中央(前編)

2018.10.02

 各部活の成績の垂れ幕が学校の周りを囲うフェンスに掲示されている。スポーツがどれほど強い学校なのか、その数を見れば想像ができる。校舎の外壁に書かれている学校名は「霧島市立国分中央高等学校」。

 今春の鹿児島県大会ではベスト4入り。準決勝の樟南戦では8対10で敗れたものの、接戦を演じて見せた国分中央。彼らはどんなチームで、何を考えて練習に取り組んでいるのか。監督、選手に話を伺い、その秘密を紐解いていく。

甲子園経験監督と前任監督が国分中央を作り上げる

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床波隆志監督(左)と小林誠矢コーチ

 「昔は国分実業という名前の学校でした。元々は女子高で、今も女子が多いんですよ」と学校の歴史を語ってくれたのは、床次隆志監督である。

 優しい口調にあった雰囲気と笑顔が印象的な床次監督。国分中央での監督は現在2年目。その前は鹿児島商などで監督を経験しており、2007年の選抜に出場している。この世代には、中田翔大阪桐蔭)や野村佑輔小林誠司(広島広陵)などがいた。

 「自分をコントロールしたり、焦ったりしない芯のある選手。あとは周りから応援される人間性を兼ね備えたチームが甲子園にいる」と感じた床次監督は、今の選手たちにこのことを伝えながら毎日の練習に励んでいる。

 ではこのチームのモットーは何なのか。話を聞いてみると、「全力疾走・最大発声・真剣勝負」の3つを挙げてくれた。
 「前の2つ(全力疾走・最大発声)は前の監督、真剣勝負は私が付け加えたモノなんです」と言う。前の監督とは、現在、鹿児島玉龍で顧問をされている下村幸太郎氏のことである。実はこの男が国分中央の土台を作った。

 元々は女子高だった国分中央。野球部の部員数も3人だったときもあった。しかし下村氏のもと、チームを作り上げた。そのチームを支えたモットーこそが、「全力疾走・最大発声」だったのだ。この言葉に秘められた深い意味について、コーチであり顧問の小林誠矢先生が語ってくれた。

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夏に繋がる野球をする

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練習中の様子

 「夏に勝つためにどうするか。これを考えて全力疾走・最大発声を掲げているんです。」
夏に体力負けをしないための全力疾走。そして県大会決勝、甲子園での応援で来るであろう全校応援でも声を通すための最大発声。

 夏をメインにして、秋・春を戦う。夏勝ち上がるためにどういう練習をやるか考えたのが下村氏。これが野球部のモットーにも込められていたのだ。

 また、下村氏が実施したのは、実戦を意識した基礎練習だった。選手たちに緊張感を常に与え続けことが、夏に強さを発揮できた要因だと小林コーチは語る。

 基礎練習を大事にする国分中央。その大切さを伝えるために、毎年プロ野球のキャンプを観に行くという。

 「1軍の凄さを見せるのもいいですが、2軍の若手選手たちが基礎練習をやっている姿を見せるのが大事なんです。プロでも基礎練習をやるんだとわかってほしいんです。」
 この他にも大学の練習の見学や夏には甲子園まで行って、自分たちの目指す場所がどんなところなのか、実際に見て感じることで今後の成長の糧にさせたい狙いがある。

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3つの真剣勝負

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国分中央の掟の一部

 モットーの最後の1つ、「真剣勝負」とは。これは現監督・床次氏が加えたモノだ。よく耳にする言葉であるが、この言葉には深い意味が込められていた。
 「選手たちの優しさ・人の良さが勝負の世界であだになっていると感じたんです。強豪私立と渡っても気持ちで負けるかと思った。そこで選手同士で真剣勝負をして絶対負けたくないという気持ちを持たせたいと考えました。」

 相手チームとの真剣勝負だけではなく、チームメイト同士の真剣勝負をしてほしいと願いが込められていたのが真剣勝負だった。だが、実はもう一つの意味があった。それは自分との真剣勝負だった。

 「自分に勝たないと最高のパフォーマンスはできない。日々自分の弱さや仲間と真剣勝負できるか」ということを選手たちに求めた。

 相手、仲間、そして自分との真剣勝負をしてほしいと願った床次監督。しかし、チームのモットーを一新するのではなく、1つだけ加えたのはなぜなのか。そこには下村氏への尊敬の念があった。

 「彼は同級生ですが、彼の野球を理解すれば強くなる。風化させてはいけないと思っています。」と下村氏の野球の大切さを語る床次監督。

 この下村氏の野球を引き継ぐために、床次監督はある一つのファイルの存在を大事にしている。そこには、3種類の用紙が保管されている。
 練習メニュー、Todoリスト、そして国分中央の掟。この3種類が一つのファイルに詰め込まれている。これこそが国分中央野球部を支える、言わばバイブル的な存在なのである。

 前編はここまで。後編では、国分中央の柱ともいえる練習メニュー、Todoリスト、そして国分中央の掟の話。さらに、樟南、鹿児島実業、神村学園の3強を倒すべくどんな戦いをするのか。話を伺います。お楽しみに!!

(文=編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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