Interview

自分は「声」で勝負。脇役に徹する理由 奈良間大己(常葉大菊川)

2018.08.27

 9月3日から開幕する第12回 BFA U18アジア選手権。2大会連続のアジア制覇に燃える侍ジャパンU18代表の選手たちをピックアップしてインタビューしていく。今回は奈良間大己常葉大菊川)。172センチ66キロと小柄ながら高校通算20本塁打、静岡大会で8割、そして俊敏な遊撃守備を武器にする遊撃手だ。そんな奈良間は今大会、どんな役割に徹しようと考えているのか。

逆転勝ちで勝ち進んだベスト4

自分は「声」で勝負。脇役に徹する理由 奈良間大己(常葉大菊川) | 高校野球ドットコム
奈良間 大己

 「いよっしゃー!」
とグラウンド全体に響き渡る叫び声。その声の主は奈良間大己だとすぐにわかる。これまで「8割男」と呼ばれ、172センチの小柄なのに、インローを甲子園のバックスクリーンにぶち込んだスラッガーというイメージだったが、歓声が聞こえないグラウンドで見ると、「代表選手の中で一番声が大きい内野手」と強く印象付けられる。

 そんな奈良間の成長の軌跡を振り返ってみると、今でこそ侍ジャパンU18代表に選出されるほどの打力を身に付けたが、小笠浜岡シニア時代は「自分は体も小さい選手ですし、全く長打力がない選手だった」と振り返る。奈良間が長打力のある選手に目覚めさせたのは常葉大菊川のフルスイング野球を実践する先輩たちだった。
 「栗原健さん(現・亜細亜大)をはじめとした先輩方の姿勢を見てフルスイングにこだわるようになりました」
 

 そして1年秋からレギュラーとなり、新チームから主将となった。今まで声の大きさには自信があったが、ここで周りを観察する能力を身に付けた。「主将になって、周りを見ないといけないので、身についたと思います」

 こうして奈良間は周囲に大声を出して的確に指示できる選手となった。そして時には味方を鼓舞する奈良間は今年の常葉大菊川の象徴へ成長し、甲子園ベスト16入りの原動力となった。夏の大会終了後、次のステージでプレーすることを見据えて、木製バットで振り続けた。そして8月21日、侍ジャパンU18代表に選出された奈良間。

 だが嬉しい気持ちはすぐ吹き飛んだ。ショートには小園海斗報徳学園)、根尾昂大阪桐蔭)、日置航日大三)がいた。特に根尾と小園については、「肩の強さや守備範囲の広さなど、とにかく上手いと感じました」と2人の能力の高さを素直に認めた。であれば、自分が目立つには「声」しかなかった。
「元気は自分の特徴でもあるので。それと主将の中川だけに頼ってはいけないと思うので、そこはサポートできればという想いでやっています」
 そしてセカンドに移った奈良間は、二塁守備について「まだ慣れない」と言うが、クイックネスを生かした動きはただものではない。すぐに順応した。

 慣れない木製バットに対しても、徐々に順応してきた。「ボールは見えていましたし、リラックスしていたので、バットは良い軌道で振ることができました」と語るように第1打席で痛烈な二塁打。第3打席は三塁線へ痛烈な安打。奈良間はチャレンジするつもりで二塁を狙った。結果はアウトになったが、ベンチからは「ナイストライ」の声が飛んでいた。合流して3日間。奈良間の存在感は日増しに大きくなっている。

 奈良間は「自分は脇役だと思うので、自分の立ち位置・役割を理解し、主将の中川をサポートしていきたいと思います」というが、グラウンド上にいる奈良間は脇役ではない。18人の主役のうちの1人である。

取材=編集部

U18代表特設サイト!試合や合宿情報など掲載中!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.16

涙の甲子園デビューから大きくレベルアップ!前橋商の192センチの剛腕・清水大暉は、高速スプリットで群馬県大会19回1失点、22奪三振の快投!<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

U-18代表候補・西尾海純(長崎日大)、甲子園で活躍する幼馴染にむき出しのライバル心「髙尾響には負けたくない」

2024.05.16

【秋田】秋田修英と秋田工が8強入り、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?