試合レポート

奈良大附vs天理

2018.07.28

6度目の挑戦!奈良大附が天理との激戦を制し、初の甲子園!

 長年、奈良の私学といえば、天理と智弁学園の2校だが、平成以降、急速的に力をつけてきたのが奈良大附である。2015年に選抜出場1回も、夏は5度の決勝進出もあと一歩で甲子園の夢が阻まれてきた。この夏はノーシードからスタートし、準々決勝で、昨秋、近畿大会出場の法隆寺国際を破り、準決勝でも橿原学院に14対2で大勝。2年続けて決勝進出を決めた。

 相手は昨年と同じく天理である。

 試合は序盤から打ち合いとなった。

 天理は二死二塁から4番北野樹(2年)が甘く入ったスライダーをおっつけてセンター越えの適時二塁打で1点を先制。奈良大附の先発・木村 光(3年)は打たれたとはいえ、なかなかの好右腕。

 
 左足を高く上げていき、右足の膝をバランスよく立ちながら、真っすぐ並進運動をしてから投げ込むの右の本格派。勢いあるストレート、スライダー、フォークの精度は悪くないのだが、少し甘いだけでも捉える天理打線は怖い。2回表には1点を追加し、3番太田 椋(3年)の適時打で1点を入れられ、3対0とされたが、だが奈良大付も2回裏、一死満塁から1番宮川の適時打で1点を返す。さらに二死満塁から3番東郷佑太(3年)がストレートをとらえ中前安打を放ち、3対3の同点に追いつく。

 
 そして3回裏、木村がストレートを打ってなんと逆方向へ2ラン本塁打。しかし、天理も4回表、大会2本塁打の1番宮崎秀太(3年)がストレートをとらえ外角へ飛び込む左中間に飛び込む同点2ラン。

 ここまでお互い一歩も譲らない打撃戦を演じていたが、5回裏、奈良大付が一死一、三塁のチャンスを作ったところでエース・坂根が降板。本格派右腕の江原雅裕(3年)が登板するが、勢いを止めることができず、2番の適時三塁打で8対5と勝ち越しに成功する。さらにパスボールで1点を追加し、9対5と大きく点差を広げた。

 5回まで5失点を喫した木村だが、威力ある速球をカウント球に取り、フォークの割合を増やし、カーブをろい織り交ぜることで天理打線の打者の目線をずらし、打たせてとる投球。6回、7回には併殺に打たせて取りながら、0を積み重ねていった。

 悲願の甲子園まであとアウト3つの奈良大附。しかしこのアウト3つがとてもなく遠かった。まず先頭打者の太田を打ち取ったものの、4番北野が反撃となる左越え本塁打。ここから勢いに乗り、二死満塁から代打・岩本の適時打で7対9の2点差。なおも満満塁で、さらに1番宮崎が中前安打。三塁走者も生還。そして二塁走者も生還しついに同点に追いついた。

 試合は延長11回に入り、その裏、二死満塁のチャンスから2番植垣裕(3年)がインコースストレートを振り抜き、打球は右中間を破る長打となり、奈良大附が劇的なサヨナラ勝ちで、初の甲子園出場を決めた。

 5度の決勝進出しながら甲子園行きが阻まれた奈良大附。今年の奈良は智弁学園、天理が注目されていたが、この奈良大附は、打者のレベルはかなり強力。奈良大附は有力校として注目されていたとはいえ、天理との力勝負を制してしまうのだから、全国での活躍に期待がかかる。

(レポート=編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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