秋、春、そして夏も優勝旗を手に取り、聖地・甲子園に出場を目指す西東京の日大三。強打が自慢の日大三は、その破壊力でこの夏もどのように勝ち上がるのか。今から楽しみであるが、そんな選手たちを支えるのはスタンドにいる選手だけではない。
素晴らしい音色を奏で、選手を援護する吹奏楽部。今回はそんな吹奏楽部に訪問し、野球部応援の話や、甲子園での話を伺った。
現在は5学年合わせて100名近くの部員が在籍する日大三吹奏楽部。中・高一貫校だからこそ5学年もいるわけだが、気になるのは6学年ではない、ということだ。
「付属校向けの大学入試が9月にあるので、あまり3年生が長く部活に参加すると、進路に影響が出るので、2年生の秋で引退してしまうんですよ」
落ち着いた表情で顧問の細谷先生は、付属校ならではの入試のシステムそしてそれに伴う生徒への配慮を語った。
しかし入試のシステムの問題は3年生の引退時期だけでない。実はコンクールへの問題もあるのだ。
吹奏楽部も高校野球と同様に夏に大きなコンクールが控えている。ここで結果を残すために全国の吹奏楽部の生徒は日々部活動に励んでいる学校が多い。しかし、春から2年生が主体となる日大三は違う。
「3,4か月でコンクールまで仕上げるのは難しい。体制が整わないんです。だから秋とかその年の後半に控えるコンクールにピークを持ってこられるように準備をするんです。
逆に言うと丁度この時期は野球部応援が重なっているので応援にも行きやすいです。」
偶然の産物ではないが、入試のシステムのおかげで、野球部応援に行きやすくなっている吹奏楽部。この時期になれば生徒同士でコミュニケーションを取り、どんな曲を応援で使うか決めていく。その曲に対応するために、吹奏楽部は練習をやる。そして大会前に実際に合同練習で、野球部以外にダンス同好会と一緒に仕上げて大会迎える。
これが例年の野球部応援の準備である。こうした野球部との密な関係を築いたこともあり、吹奏楽部の定期演奏会に野球部の選手たちが来てくれるまでの関係を作ることができた、と細谷先生は語る。
野球部との確かな関係を築き上げている吹奏楽部は、いかに遠くにいる選手に気持ちを伝えるか。これを念頭に置いて演奏するようにしている。
そして、音を確実に届けるためにコンクールで求める音の質よりも、大きさや響き方に意識して演奏するようにするのが違うと細谷先生は話す。
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この大きく、響く音を演奏するために、練習では外に出て演奏をするようにして野球部応援に備えている。野球部応援は外がメインのため、環境に慣れるためだと思っていたが、細谷先生はそれだけが目的ではなかった。
「外での応援になることはもちろんですが、遠くにあるものを見て、そこに音を届けるイメージを持たせたいんです。そうすればどれくらい音を出せばいいのか。そのイメージがしやすい。声を出すことと同じ感覚ですね。」
遠くにいる人を呼ぶときにどれくらいの大きさで声を出すのか。それを考えて発声することと同じように、どこまで音を届かせるのか。これをしっかりと練習から実際に目で見てイメージすることで、より遠くへ音を届けられるということだ。
また大勢の人が部室に集まると、自身の奏でる音がなかなか聞こえないが、外であればある程度しっかり聞こえるところにも外での練習の良さを感じている。
そんな細谷先生にとって、甲子園はどんなところであるか聞いてみた。「甲子園こそ、自分たちの演奏を100%発揮できる場です」とはっきり明言した。
「私たちは『三高ドラム』という応援歌がありまして、その際はドラムの出番なんです。他にもパーカッションなど打楽器をメインに演奏するのがウチのスタイルなんですが、東京の球場では打楽器応援が禁止。本来の演奏ができないんですよ。その点、甲子園だと打楽器がOKなので、本来の力を100%引き出せる場が甲子園なんです。」
甲子園に限らず球場によっては応援のやり方も変わる。どう位置にどの楽器の生徒がくれば大きな音がグランドにロスなく伝わるか。つまりは壁など障害物に遮られないようにするための座席の配置を考える。それは選手に自分たちの演奏を届けたい、その想いがあるからだ。
そんな細谷先生に、この夏はどんな演奏をしていきたいか。話を伺うと、
「うちは変わったことをやっていませんので、自分たちの応援を聞いてもらうだけです。」
と、あくまで自分たちのスタイルを徹底していこうと話してくれたが、続けてこんな一言も話してくれた。
「高校野球はグランドの生徒とスタンドの生徒が一体となったものだと思っています。グランドだけではなく、スタンドにいる吹奏楽・ダンス・応援が一緒に高校野球という特別な雰囲気を作っていると思うので。その手助けが自分たちの演奏でできて、少しでも華やかになったり、いいモノになればいいなと思っています。」
高校野球はグラウンドの中だけではない。スタンドの仲間たちも含めて高校野球なのである。それを大事にして、この夏も日大三吹奏楽らしい演奏で選手たちとともに戦っていく。
次のページからは、学生指揮の髙山雄弘君(以下、髙山)、倉内喬乃介君(以下、倉内)、部長の本間遥香さん(以下、本間)にお話を伺いました!
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――Q野球部応援とコンクールの違いは?
高山:
選手に届けるために大きな音を出しますね。全体でまとまって大きい音です。
コンクールは音量の幅、コンクールで評価されるような音楽性を大事にしています。
本間:
コンクールはホールの中で響きある柔らかい音をイメージして出しますが、応援は芯が太く、遠くでも鋭い音を意識しています。
倉内:
野球部応援とコンクールは環境が違う。曲の作り方・吹き方が違う。応援の時はパリッと。コンクールは曲調にあった音を出せるように全員で意識しています。完成度といったところです
――Q今夏だから大変なことは?
倉内:
炎天直下でやる分、体力が奪われます…野球部応援は長いので、その中でペース配分、体力の使い方を自分の中で波を作って最後までできるようにしています。きついですが。全部全力だときついので。
本間:
吹奏楽の帽子とタオルを作っていて夏は良く使います。あとは飲み物を相手の攻撃中に配布して、体調を気にして、夏バテの防止をしています。
高山:
直射日光が強いと、三高の野球は攻撃が長い時は凄いので、応援はかなり体力消耗するので、ペース配分への注意ですね。
――Q甲子園での印象は?
髙山: 選抜行ったときは初めて最高学年になっていきなり大舞台で指揮を振ることになりました。今は慣れてきましたが、個人的には当時、凄い舞台で指揮してまとめるというのは緊張しました。
本間:まだ1つ上がいたんですが、夜行バスとか慣れないことをしました。その中での態度とか気を付けました。
倉内:春ですが、やっていると太陽が上がってきたり場の熱気があって、意外と大変でした。演奏でも甲子園が広い分、音を張ったりが大変でした。演奏以外にも引っ張ることもあったので大変でした。部全体と演奏の両方を引っ張る大変さがありました。
――Q一押しの楽曲を教えてください!
本間:三高チャンスです!チャンスの時に使っていて、吹奏楽部のOBが作ってくれたもので、この学校独自で応援していると一番盛り上がります。
倉内:同じくOBが作ったCome Onが結構点数に繋がるジンクスあって好きです。選手も点数に繋げてくれんじゃないかなと雰囲気を作れるので、他の方かも好評なので好きです。
高山:点数が入った時の輝く日大です。指揮をやっていると中々グランドの様子を見れず、いつ点数入ったのかわからないことがあるんです。けどこれが流れると、点数入ったという安心感と喜びがあってお気に入りです。
――Q野球部応援の面白さは?
高山:野球が強いおかげで甲子園で演奏できている。そんな経験ができるのは幸せです。
倉内:コンクールだとあまり喜べないですが、応援だと演奏しつつみんなで喜べる・楽しいなど感情を表現できる。また演奏している側だけではなく、来ている人たちと全体で一体となって1つのモノを作り上げる感覚が楽しいです
本間:ダンスがチア部として踊っている。そして野球部も応援していたりと様々な部活と一緒に息を合わせて応援していることは他のことではないので、滅多にない分楽しいです。
この夏、日大三の演奏が甲子園で聞けるのか。楽しみだ。
■日大三メドレー
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