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ミレニアム世代のトッププロスペクトたち Vol.6「横瀬辰樹、野尻幸輝、中神拓都」

2018.07.01

 第100回大会の主役となる「ミレニアム世代」。全国各地の逸材をトッププロスペクト方式で紹介。今回は、強烈なキャラクターを誇る逸材3名を紹介する。

横浜隼人のリーダー・横瀬辰樹(横浜隼人) 横浜を破って甲子園へ

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横瀬辰樹(横浜隼人)

  神奈川でも屈指の部員数を誇る横浜隼人。部員約130人の大所帯を引っ張るのがショートストップ・横瀬辰樹である。横瀬は小学校時代、ベイスターズジュニアに選ばれ、東海大菅生のスラッガー・片山昂星、のちに横浜隼人でチームメイトとなる百合野とともにNPBジュニアトーナメントに出場。中学3年時、横浜横浜隼人のどちらかで迷ったとき、地元の選手が集まる横浜隼人で、横浜を破って甲子園に行きたいと思いから横浜隼人へ進学。

 横瀬は2年生からレギュラーとなり、リーダーシップが取れる人柄、熱いキャラクター、能力の高さを評価され主将に抜擢された。

 グラウンドに立てば誰よりも声を出し、ナインを盛り立てる姿は誰よりも存在感がある。打撃では5月末時点で高校通算14本塁打と決して多くはないが、それでも好投手に対応できる打撃は穴が小さく、隙がない。そして本人がこだわる守備では、プロ野球選手の動画などを見て学んでいき、柔軟なグラブ裁き、捕ってから投げるまでの持ち替えの速さ、軽快な身のこなしを身に着け、神奈川では屈指のショートストップへ成長した。

 春の県大会では4回戦で金沢に敗退。ベスト8に勝ち進むことができなかった。その悔しさをもって臨む夏。2009年以来の夏の甲子園を目指し、走攻守で大暴れを見せる。

[page_break:千葉でも一番キャラが立ったスラッガー・野尻幸輝(木更津総合)]

千葉でも一番キャラが立ったスラッガー・野尻幸輝(木更津総合)

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野尻幸輝(木更津総合)

 今年の千葉を代表するスラッガーの1人である野尻 幸輝。今年の千葉県では最もキャラが立った選手の1人といっていいだろう。178センチ85キロと恵まれた体格は存在感があり、打者としてはひとたび打球が上がると、バットを放り投げ、打球の行方を見送り、そして本塁打になった瞬間、指を突き上げゆっくりとベース1週する姿は実に堂々としている。

 野尻は中学時代から評判の逸材。岐阜県山県市(やまがたし)高富中出身で、岐阜・関ボーイズ時代に、鶴岡一人記念大会に代表選手として出場。鳴り物入りで木更津総合に入学すると1年春からベンチ入り。1年生とは思えない豪快な打撃を見せていたが、それが持続せず、なかなか自分の打撃を表現できない時期が続いた。だが、この春の野尻は何か吹っ切れたのか、勝負所での打撃を重視するようになった。

 県大会準決勝の千葉黎明戦では決勝本塁打を放ったが、本塁打はこの1本のみだが、チャンスで必ずと言っていいほど結果を残し、県大会では計8打点を記録。県大会優勝に貢献した。春季関東大会では、3試合連続で打点を記録し、11打数4安打4打点と木更津総合の4番打者として結果を残した。

 だが野尻が望むのは試合を決める場面の一発だろう。野尻の打撃といえば、重厚な下半身を生かしたフルスイング。芯でとらえれば、ドラフト候補級の鋭い打球を見せるが、なかなか打球が上がらない。甘い球を逃さず、スタンドインにできる技術が備わればもっと怖い打者になるはず。

 苦しみ続け、最終学年になってきて、自分の打撃が形になってきた野尻の打撃はこの夏に完成形を迎えることができるか注目である。

[page_break:中神拓都(市立岐阜商)地元・岐阜を選んだミレニアム世代の大物]

中神拓都(市立岐阜商)地元・岐阜を選んだミレニアム世代の大物

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中神拓都(市立岐阜商)

今年は根尾昂(飛騨高山ボーイズー大阪桐蔭)、野尻幸輝(関ボーイズ―木更津総合)と岐阜出身の逸材が多いが、その2人に並ぶ逸材として期待されるのが中神拓都である。岐阜長森南中出身で、根尾と野尻は硬式だが、中神は軟式出身。地道に能力を積み上げて成長を遂げた岐阜の二刀流である。

 投げれば強靭な上半身と地肩の強さを生かした投球フォームから最速146キロのストレートをマーク。打っては高校通算46本塁打と投打の能力の高さは全国的に見てもトップクラスだ。

 特に注目を浴びているのが打撃。中神はパワーだけではなく、右方向への本塁打の多さに注目だ。その秘密は高い探求心から生まれた打撃技術がある。手元にポイントを寄せて、ボールの内側をたたく。この高度な打撃は並外れたヘッドスピードと、インパクトまで最短距離で降り抜かないと実現できないが、中神は幾度もスイングを繰り返し、ついに自分の打法を身に付けた。

 理想とする打撃像は内川聖一(現・福岡ソフトバンク)。コースに応じた打撃ができて、広いヒットゾーンを誇る内川のような打撃をいずれ実現したいと考えている。

 そして中神は主将としてもチームを引っ張る。チームを広く見渡すことで、プレー全体の視野が広がり、野球選手としてワンランクレベルアップを果たした。

 今年のドラフト候補の中でも数少ない右打ちの強打の遊撃手。10年ぶりの甲子園出場と、その先の夢実現へ、中神は投打で獅子奮迅の働きを見せる。

文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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