試合レポート

明豊vs伊万里

2018.04.24

明豊、逆転サヨナラ!2試合連続の1点差勝利でベスト4!

明豊vs伊万里 | 高校野球ドットコム
力投を見せる山口(伊万里)

 1回戦聖心ウルスラの好投手・戸郷 翔征(3年)を攻略した明豊と、同じく1回戦で東筑紫学園を10対3で破り、準々決勝に進出した伊万里(選抜推薦・佐賀)との対決。

 明豊はスラッガー・濱田 太貴(3年)を中心に打力が高い選手を揃え、投手陣も多くの投手が130キロ以上を投げ込む。伊万里のエース・山口 修司(3年)と比べれば平均球速は10キロ以上速い。能力値だけ見れば、明豊が有利と考える方は多いだろう。だが、明豊川崎 絢平監督は苦戦すると予想していた。
 「今年のチームに限って言えば、経験値の高さは選抜を経験している伊万里さんが上です。甲子園の経験は大きなもの。だから試合は苦戦するよ。絶対に接戦になるよということは選手たちに伝えていました」と伊万里の経験値の高さを警戒していた。そして試合は川崎監督の予想通りの展開となった。

 まず先制したのは明豊。1回裏、一死二塁から3番濱田 太貴(3年)が左前適時打を放ち、1点を先制。さらに4回裏、一死二、三塁から7番若杉 雅己(3年)の右犠飛で1点を追加し、6回裏にも、一死一、三塁から代打・薮田 源(2年)の中犠飛で1点を入れ、3対0とリードしていた。

 だが伊万里も粘る。先発・山口 修司(3年)は、ストレートは120キロ前後と決して速くないが、コーナーへの投げ分けに加え、90キロのカーブが有効で明豊の打者はタイミングが合わず凡打を繰り返し、明豊らしい快音が聞かれない。リードする梶山 勇人(3年)も「120キロ台ですが、ボール自体は走っていましたし、変化球もうまく使えていたので、攻めやすかったです。また抑えていくうちに、打ち気にはやっている様子が見えるので、ボール球もうまく使って抑えることができました」と意図通りの攻めができたことを明かした。

 守備陣も山口を盛り立てる。内野手は鋭い打球に対しても冷静に処理し、外野手もフライにしっかりと対応して、余計な点を与えさせない。落ち着いた試合運びは選抜の経験をうまく生かしているといえるだろう。


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サヨナラ勝ちを決めた明豊

 ぎりぎり持ちこたえ、接戦に持ち込んだ伊万里。7回表、ついにチャンスが訪れる。先頭打者の梶山が敵失で出塁。さらに四球で無死一、二塁。そして二死二、三塁となって、8番松尾が中前適時打を放ち2点を返すと、8回表にも二死二塁から敵失で1点を返し、ついに同点に追いつく。そして9回表、6番川尻 伊織(3年)が左翼線へ二塁打を放ち無死二塁のチャンスを作ると、一死二塁から敵失で一死三塁として、9番山口修が絶妙なスクイズを決め、勝ち越しに成功した。

 だがここから明豊が意地を見せた。先頭打者の若杉 雅己(3年)が中前安打で出塁。二死二塁から1番管 大和(3年)が右翼線へ二塁打を放ち同点に追いつくと、2番野邊 優汰(2年)も右翼線への二塁打を放って逆転サヨナラ。見事な集中打で4強入りを決めた。

 試合後、明豊の川崎監督は「今年のチームはまだ緊迫した接戦を経験していないので、終盤は足が止まってエラーが多くなっていましたね。でもそういう試合の中で逆転勝ちできたのは良かったです。逆転サヨナラは去年の代から多くなりましたが、そういうものを引き継いでいると思いますし、選手たちにも『逆転サヨナラ』を意識をさせました。良い勝利だったと思います」と苦しみながら勝利したことを評価した。
 「これまで何度も九州大会に出場させていただきながら優勝をしたことがないので、優勝を目指していきたいですね」と初の優勝奪取を意気込んだ。

 一方、敗れた伊万里。エース・山口修は「悔しいですね。9回表、先頭打者を絶対に打ち取ろうと思ったんですけど、中に入ってしまって。勝てる試合展開だっただけに悔しいですし、夏に取り返したいです」と9回の失投を悔やんだ。
 正捕手の梶山も「うまく粘れていましたし、良い戦いができていた。でもやっぱり悔しいです。今年は選抜大阪桐蔭戦って、九州大会でも1勝して、明豊とここまで戦えたので、夏はこの経験を生かして絶対に甲子園に行きたいです。そして甲子園に出場して大阪桐蔭を破るのが目標です」と夏へ向けてさらに気持ちを強くしていた。

(文・写真=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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