Column

明秀日立(茨城)自分も選手としてLet’s give our best!!

2018.04.25

 今年の選抜甲子園で、初戦の瀬戸内相手に逆転勝ち。3回戦では優勝校大阪桐蔭と善戦を繰り広げた茨城の明秀日立。初出場ながら主将の13702選手をはじめ、エース・細川拓哉、4番・芳賀大成らの活躍が目立った。
 そんなチームを支えるマネージャーは、日々どんな仕事を取り組んでいるのか。何を考えて過ごしているのか。そしてどんなマネージャーを目指しているのか、お話を伺った。

1人3役で日々の練習を過ごす


明秀日立野球部を支える石川シェーン選手

 明秀日立は2学年(新2,3年生のみ)で70名もいる大所帯のチームである。それだけいると、マネージャーの仕事は他のチームに比べて多いはずだが、このチームのマネージャーは新2年生の石川シェーンただ1人である。

 石川は選手でありながら、練習中はマネージャーとしてチームに気を配りながら動いている。また、試合の時はスコアラーとしてベンチに入り、仲間と共に戦っている。

 マネージャーを兼任するようになったきっかけは、新チーム発足がして一か月後の遠征先で監督に誘われたのがきっかけだった。その時に石川はいい勉強になるのではないかと感じ、マネージャーを始めた。
 またマネージャーを引き受けたことでスコアラーとしての仕事も任されるようになり、結果として選手兼マネージャー兼スコアラーの1人3役を担うことになった。

 マネージャーとして日々どんな仕事をしているのか聞いてみると、飲み物を作ることとデータ集計の2つを挙げてくれた。
 飲み物はジャグを2つ作りなくなれば補充するという、他のチームのマネージャーもやっている仕事だった。

 しかし大変なのはデータ集計だ。新聞に打率などを掲載するために、練習試合と公式戦毎に各選手の打率・エラー数をそれぞれ集計して、部長先生に報告するといった作業だ。
 この仕事量の多さに、昨秋の県大会前は練習に参加する時間が減るだけではなく、睡眠時間も短くなったと答えてくれた。その頃は、選手として自分はもうダメなのかと考えるようになり、挫折しかけたと話す。

 しかし大量の仕事をこなしていく中で、「自分で引き受けた仕事だからやってやろう」と考えるようになり、その想いは解決した。今は勝ちたいという気持ちとチームためには何でもやるという想いなら他のマネージャーには負けないと気持ちで日々過ごしている。

 変わった活動は特にないと石川は話してくれたが、新聞社に提出もするというデータ集計は、他校ではなかなか聞かない仕事だ。

[page_break:Let’s Give Our Bestで聖地を目指す]

Let’s Give Our Bestで聖地を目指す


明秀日立は全力出し切る夏を目指す

 これだけ大変なマネージャーの仕事だが、いいことも当然ある。遠征先の試合が中止になった際には、公式戦でも使用されるような立派な球場のブルペンでメンバーと一緒に練習ができるなど、マネージャーとして帯同しているからこそ味わえる経験ができた。
 また、チームの一員として行動することで、多くの失敗から学べることが沢山あるのは、自身の成長に繋がる。そこに楽しさを感じていると語る。

 マネージャーをやっていて良かった点はそれだけではない。選手の調子に配慮した話し方やサポートを心掛けたことで、周りが見えるようになった。
そこで見えてきた調子の悪い選手の癖を、自分は真似をしないように注意を払うといった、別のことでも役に立っている。

 チームへの献身的な働きが伺える石川にとって、やりがいは何かと聞くと、チームが勝った時の笑顔や喜びを分かち合える瞬間にあると答えてくれた。
 特に昨秋の関東大会での山梨学院戦は、チーム全体が関東大会を意識し始めてから緊張した空気が流れていたこともあり、他の試合に比べて勝った時の喜びも大きかった。その喜びの大きさもあり、山梨学院戦は印象に残っている試合だと話す。

 嬉しいのは試合の時だけではない。周りの選手からの「ありがとう」という何気ない一言に石川は嬉しさを感じていた。

 そんな石川にとって今年の春に卒業した先輩たちは、「頼れる存在」だった。そんな姿を見ていた石川は、「自分も絶対に必要とされるようなマネージャーになり、練習環境などを整えていきたい」と意気込む。

 最後に石川選手とって、マネージャーとは何なのかと問いかけると、「みんなを支える人」だと語る。今の立ち位置に面白さを感じている石川。それは、マネージャーをやらなければ、一日を無駄に過ごす選手になっていたからだという明確な理由があるからだ。

 選抜でたしかな自信と課題が見えた明秀日立。そんな選手たちと共に、石川はたくさん練習し、多くの汗を流し、再び聖地を目指す夏を迎えるだろう。その夏はきっと、「Let’s Give Our Best(全力を出し切る)」な夏になるだろう。

文=編集部

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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