都立墨田工vs成立学園
二死走者なしからの得点力で、墨田工が成立学園に競り勝つ
8回無失点の横川大介(都立墨田工)
4月になるとともに、毎年開幕する春季東京大会。年度替わりの時期でもありどこかフレッシュな空気を感じながら迎えられるのも、毎年のことである。
穏かな春の陽光に包まれた府中市民球場でも、この日から都大会が始まった。
昨秋は1回戦で日大豊山に延長の末に敗れた成立学園。この春は競り合いで負けないチームを作ってきて挑む。これに対して都立墨田工は一次予選に試合ではいずれも2ケタ得点のコールド勝ちと、打撃力のあるところも示しての登場である。
試合は、競り合いの様相で進んでいった。
先制したのは都立墨田工で3回、二死走者なしから1番の岡本君が右線へややイレギュラー気味もあって二塁打とすると続く山瀬君が左前打して岡本君がホームイン。このリードを貰っても179㎝86kgの横川君は力むこともなく、丁寧に投げていた。身体もしっかりと出来ているという感じだが、投手経験は浅く、本格的には都立墨田工に入ってからだという。だから、5回頃からは長谷啓史監督が毎回、「どうする、大丈夫か? まだ、行けるか?」と確認していたという。
6回にも都立墨田工は四球の走者を出しながら併殺でチャンスの芽を摘みかかった後に、4番の横川君自身が上手に左中間に運ぶ二塁打で出ると、失策でつながり、6番佐藤大輔君が初球を叩いて左前打して2点目を奪った。ここでも、二死走者なしからの得点である。「積極的に打っていくチームにしていこう」と、前任監督の中京大中京出身の中島豊雄コーチが作ってきた姿勢も浸透してきているようだ。
このまま完封かと思われた横川君だったが、8回からは自らの意思で降板を申し出、エースナンバーの青木峻平君がマウンドに立った。ただ、そこで立ち上がりに四球、暴投、ボークで三塁まで進めてしまい、二死から4番大井駿介君が左前打して、成立学園も一矢を報いた。
しかし、反撃もそこまでで、9回も青木君は先頭を四球で出しはしたものの、その後をきっちりと抑えて何とかしのぎ切った。「このところは、本大会にも行けなかったのですが、このチームは近年では一番まとまってきていると思います」と、新任から赴任して今季が4年目となる長谷監督は、いい感触をつかんでいるようだ。
成立学園は6安打で、8回の1点のみ。終盤にチャンスを作ったものの、もう一つ消化不良感のあった試合となってしまった。
手束 仁