試合レポート

豊田西vs西尾東

2018.03.23

9回二死走者なしから追いついた豊田西、延長で粘りサヨナラで西尾東に雪辱

豊田西vs西尾東 | 高校野球ドットコム
サヨナラ勝ちに喜ぶ豊田西

 県内各地の一次予選でも、屈指の好カードといっていい顔合わせとなった。そして、その期待にたがわぬ1点を争う競り合いとなった試合は、9回二死走者なしから同点に追いついた豊田西が、延長の末に西尾東を下して、昨年秋の雪辱を果たした。

 試合としては、お互いにもう一つ歯がゆいというか、決着をつけられたタイミングはあったかとも思われるが、凌ぎ合いというか、苦しい場面で何とか守り合うという試合展開となった。

 先制したのは西尾東で3回、無安打ながら3四球と2つの暴投もあって、1点を貰うという形となった。ただ、西尾東としては、1点貰ってなおも三塁まで進めて打順が中軸というところでもあり畳みかけたいところでもあった。西尾東は、4回にも飛球の太陽落球でチャンスを貰い、バントで一死三塁と進めて、捕手のけん制が走者に当たってそれる間に、本塁へ帰った。こうして、いずれも貰った得点で西尾東がリードした。豊田西の先発松尾君は、ここまでもう一つ球道が定まり切らず高低に外れることも多くて、四球が多かったのも苦しくしていた。それでも、その荒れ具合で、西尾東打線も的を絞り切れなかったというところもあったようだ。

 そんな松尾君だが、5回の一死一、二塁を併殺で切り抜けてから、すっかり立ち直っていく。そして豊田西はその裏に、この回からマウンドに立った山田君に対して二死二塁から、1番の大西優佑君がしぶとく三遊間を破って二塁走者を帰す。そして、あと1点が詰め切れないまま9回まで来てしまったが、9回に二死走者なしから、連続四球などで一二塁として。ここで再び大西君だが、期待に応えて左前打して、これが同点打となる。

 試合は延長にもつれていくが、豊田西は松尾君が続投。5回以降は、無死利前半の投球とは別人のように、制球も定まっていた。これに対して西尾東は、寺澤 康明監督も、当初から継投を考えていて、その通りの形で10回からは3人目として三塁から小柴君がマウンドに立った。

 9回の同点劇からも、試合の流れは、そこから豊田西に傾きかかってきていったのだが11回、豊田西は先頭の8番篠原 裕大君が右前打で出ると、バントできっちりと送る。そして、ここで1番に戻ってこの日は完全にキーマンとなっている大西君だが、ここでも勝負強さを発揮。打球は、低いライナーで左中間を破り、文句なしのサヨナラタイムリー打となった。結局、この日の豊田西の得点はすべて大西君が叩き出した。

 昨年の秋もブロック予選で対戦している両校だが、その時は西尾東が競り勝ち、豊田西は結局、県大会進出も逃している。そんなこともあっただけに、古和田 雅章監督はこの勝利を素直に喜んだ。

 「今年のチームの子たちは、秋に負けているということもあって、自信がないんですよ。だから、それが今日も序盤には少し出ていてしまいました。それがミスにもつながったのでしょうけれども、後半からは持ち直してくれました。この試合に照準を合わせてきたところもありますから、この勝ちは大きいです」
と、昨秋の雪辱を果たせたことで、先を見つめられるようになったようだ。

 本来はエースとしてチームを引っ張っていく存在の磯村君が、ヒジの調子に不安があるということで、この試合は最初から30~50球を目安としていて、その後は継投と決めていた寺澤監督は、「磯村から山田につなぐ間に、リードを広げていきたかったんですけれども、相手投手が後半よくなってきましたから、攻略しきれませんでした」と、ゲームプランが少しずれてしまったことを残念がった。それでも、夏を見据えたら、磯村君に無理はさせられないというところもあるというのも本音であろう。

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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