Interview

徳島インディゴソックス・鎌田 光津希独占インタビュー「全ての経験をプラスに変えて」

2018.03.29

 2013年11月、日本初のトライアウトリーグとして開催された「Winter League2013」で、最も注目を集めたのは当時・横芝敬愛高3年の最速145キロ右腕・鎌田 光津希。8試合中5試合登板で9回12奪三振・防御率0.00。敬愛大進学のため四国アイランドリーグplusの道には進まなかったものの、豊かな将来性は近未来の飛躍を確信させるものだった。
 それから4年、2015・2016年は福永 春吾(阪神タイガース)、2017年は伊藤 翔(埼玉西武ライオンズ)が背負ったインディゴブルー「14」の上には「KAMATA」のローマ字が輝いている。最速149キロまで球速を伸ばし、リーグで最もNPBに近い男として徳島インディゴソックスに入団した鎌田が志す道とは何か?全ての経験をプラスに変えようとする男の声を聴いていく。

いい経験を得た「Winter League2013」

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力強いフォームで投げる鎌田 光津希投手(徳島インディゴソックス)

 ――千葉県出身の鎌田投手。まず、野球をはじめた時期から聞かせてください。

鎌田 光津希(以下、鎌田): 実は匝瑳市立野田小に上がる前から小学校3年生の4月までは少林寺拳法をしていました。理由は覚えていませんが。その後に身体が大きかったこともあったので、野栄スポーツ少年団で野球を始めました。当時から投手です。でも、見学していた最初はなぜか球拾いが好きだったんです(笑)。

 ――匝瑳市といえば、徳島インディゴソックスから今季、埼玉西武ライオンズに入団した伊藤 翔投手の出身地でもありますが……。

鎌田: (伊藤)翔の実家は自分の家から1キロも離れていません。翔のお兄さんも野球をしていますし、お姉さんも僕と同学年なので、よく知っています。

 ――それは意外な事実でした。小学校時代の思い出はありますか?

鎌田: 小学校6年の時に東総選抜の4番中堅手とし出場して、西武ドーム(現:メットライフドーム)でプレーして関東3位に入りました。球場はとにかく広かったですね。ちなみに、この時に敗れた相手は侍ジャパンU-18に入った飯田 晴海(常総学院高~東洋大~新日鐵住金鹿島)です。当時は今もそうですが、岩隈 久志投手(MLBシアトル・マリナーズ)に憧れていました。

 ――中学は伊藤 翔投手の母校でもある市立野栄中で軟式野球部。

鎌田: 同級生に左の好投手がいたので、僕は一塁手兼投手で4番を打っていました。ですので、横芝敬愛高.から推薦を頂いた理由も「投手もできる打者」だったからです。投手に本格転向したのは1年生の冬から夏にかけて。この間の球速も1年冬で125キロだったのが、2年春には130キロ、2年夏には139キロまで上がりました。

 ――1年足らずで14キロ増。理由はどこにあったのですか?

鎌田: 背番号10で千葉大会2試合に先発。1試合目は7回無失点でしたが、2試合目の東海大望洋(現:東海大市原望洋)に満塁ホームラをン打られてコールド負け。ストレートの質と、当時は横スライダーだけだった変化球の引き出しに課題が残りました。
 そこで2年秋までに縦スライダーを覚え、県大会2回戦で千葉学芸に3対4で敗れた秋季千葉県大会の後はカットボールを覚えました。
 前年同様に冬は部長さんとマンツーマンでトレーニングした結果、練習試合では最速142キロまで球速が伸びたんですが直後に腰を痛めて春季千葉県大会では第6ブロック予選で千葉黎明に1対3で初戦敗退。そして3年夏は2回戦の浦安戦で延長15回再試合、ここで300球以上投げて翌日の再試合に勝ち。3回戦の千葉国際戦も勝てたんですが、最後は[stadium]千葉マリンスタジアム[/stadium](現:[stadium]ZOZOマリンスタジアム[/stadium])開催4回戦の千葉英和戦で負けました。

 ――高校野球生活を終えてみて、改めて感じたことは?

鎌田: 最後に千葉マリンで投げられたことはよかったですが、力不足。悔いは残りました。

 ――その悔いが「上のレベルの選手や外国人と対戦したい」と11月に四国アイランドリーグplusが主宰して「Winter League2013」参戦につながります。今振り返って改めての感想はありますか?

鎌田: ザック(・コルビー)さん(現:高知ファンティングドッグス)など外国人選手とも対戦できました。高校系列の敬愛大から推薦合格を頂いたので、徳島インディゴソックスの指名は辞退させて頂きましたが、いい経験を得られたと思います。

[page_break:苦悩を超えつかんだ「新スタイル」で日本一・NPBへ]

苦悩を超えつかんだ「新スタイル」で日本一・NPBへ

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出世番号「14」を背負った鎌田 光津希投手(徳島インディゴソックス)

 ――敬愛大での入学当初は順調だったと聞いていす。

鎌田: 1・2年の時は国際武道大、東京情報大、城西国際大などがいる千葉県大学リーグ戦に登板でき、宇佐美 真吾(城西国際大~巨人)さんなどの強打者もいる中でツーシームを使った自分の投球スタイルが確立できていたと思います。

 ――ただ、リーグ通算8勝はいずれも1・2年であげたもの。

鎌田: フォームを崩してしまいました。一時は投げ方すらわからなくなって……。4年に入る前には公務員勉強をしながら就職を考えていました。
 でも、今考えればこれがよかったんです。「1・2年の時の自分を超えたい」と、自分で努力するようになりましたし、球速も下級生時代は最速148キロだったのが149キロになりました。フォームについても打者から「テイクバックが小さくてボールの出どころが見えない」と言われるフォームになった。

 ――だからこそ、再び徳島インディゴソックスとの縁もつながった。

鎌田: そうなんです。高校3年の時の縁があったから、「野球はやはり嫌いになれない。悔いを残したくない」と思えて、関東での四国アイランドリーグplusトライアウト受験・徳島インディゴソックス入団につながったんです。マイナスなことはなかったんです。

  ――そして、徳島インディゴソックスで今季からプレー。練習・オープン戦を積んで、ここまでの感想はどうですか?

鎌田: 野球を朝から晩までできて、インディゴコンディショニングハウスでのトレーニングも充実している。シーズンを通してはコンディショニングと肩の体力も重要になると思いますが、そこを支えるスタッフも備わっています
 そして監督さん(石井 貴監督)からは「NPBで活躍するためには決め球にストレートと変化球がないといけない」と話を頂き、2月初旬にナックルカーブを教えて頂いたんですが、今投げているフォーク・ツーシーム・カット系の横スライダーといった変化球に続く決め球になると感じています。

――背番号は昨年、伊藤 翔投手が付けた「14」になりました。

鎌田: 翔は小学校の時からボールに対する力の伝え方がうまいと思っていましたが、今の状況を見ると「すげーな」と思います。彼に14を付けたことを報告したら「その背番号は2年連続でNPBに入っているから、がんばってください」と返事が返ってきましたが(笑)、そこに気を取られすぎることなく、しっかりと自分の力を出していきたいと思います。

――では、最後に意気込み、ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

鎌田: 今の自分があるのは小学校・中学校・高校・大学でお世話になった方々のおかげ。その皆さまに一日でも早くNPBで投げる姿を見せたいと思っていますが、まず今年1年。自分がNPBを目指すことはもちろんですが、独立リーグ日本一の先陣を切り、いつでも150キロを投げ、相手打者がストレートと解っていても投手になりたいです。そうする先にNPBがあるとおもうので。ぜひスタジアムに足を運んでの応援よろしくお願いします!

――貴重なお話、ありがとうございました。

鎌田: ありがとうございました!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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