國學院栃木vs英明
敗れてなおも輝いた英明2年右腕・黒河竜司
第90回記念選抜高等学校野球大会第2試合・1回戦は2年ぶり2回目の出場の英明(香川)と18年ぶり4回目出場の國學院栃木(栃木)が対戦。試合は序盤に3点を先行した國學院栃木が、3投手の継投リレーで1点差を守り切り、初戦突破を決めた。2回戦進出を決めた國學院栃木の次の試合は大会5日目の第2試合で延岡学園(宮崎)と対戦する。
2回目のセンバツも悔しい初戦敗退に終わった英明。だが、大きな収穫も得た。昨秋公式戦8試合をすべて完投・防御率1.96で四国大会準優勝に貢献した黒河 竜司(2年)がセンバツの舞台でも完成度の高いピッチングを披露したからだ。
彼の特長は球種・コースの多彩さ。右スリークォーターから135キロ前後・最速137キロのストレートを右打者、左打者問わず内外角へ投げ分け、変化球も120キロ台のツーシーム・フォーク、115キロ前後のスライダーとカーブを内外角に。四国大会決勝戦・明徳義塾を土俵際まで追い込んだ理由もこれであった。
そして初の全国舞台でも黒河は順応力の高さを発揮する。3回まで3失点。4回表も一死一・三塁のピンチを迎えたが、2番・大栗 拓也(3年)に対しては3ボール1ストライクから内角ストレートでフルカウントとした後に121キロフォークで空振り三振。続く3番・青木 寿修(3年)にも初球のストレートで中飛に打ち取ってピンチを脱出。
すると5回以降は三者凡退4度含む無失点。終わってみれば9回完投で被安打7・奪三振11・四死球4・失点3。及第点以上の内容を残した。
2年生らしからぬ冷静なピッチングと、左脚を高く上げるダイナミックな投球フォームから繰り出す伸びのあるストレートに詰まった大きな可能性。6月の香川県高野連招待試合では大阪桐蔭との対戦も予定されている英明の大エースは、自信と課題を両手に抱えて、再び聖地マウンドに立ち、勝利の凱歌を歌うために精進の日々を過ごしていく。