クリーブランド・インディアンス フランシスコ・リンドーア選手Vol.2「強打の名手を支える日頃の取り組み」
メジャーリーグのクリーブランド・インディアンスのショートストップとして活躍し、プエルトリコ代表として出場した2017ワールドベースボールクラシックでは、チームを準優勝に導いたフランシスコ・リンドーア選手。
そんな彼の幼少期の話からMLBで活躍する現在の話を語ってくれた1回目に続き、2回目の今回はリンドーア選手の守備や打撃に対する取り組みをお話頂きました。
守備は一人の仕事ではない
フランシスコ・リンドーア選手
――リンドーア選手といえば、守備。特にバウンドの合わせ方がすごいのですが、バウンドをうまく合わせるために工夫していることは何ですか?
リンドーア:まず最初に大事なのはゴロに関してというより、守備は一人の仕事ではないということです。ピッチャーががんばって投げている分、守ってる人がアウトを取って助けるという意識。ゴロがきて、1塁に投げてアウトにするまでが大事です。守備がいいチームは勝つチャンスも出てくると思っています。
――リンドーア選手の足の動きが好きなんですが、そういう俊敏性を鍛えるようなトレーニングもしていますか?
リンドーア:技術に関しては、守備では足の動きが大事なので俊敏性を鍛えるトレーニングもやりますし、守備で足は絶えず動いてないといけないと思います。左右に動くトレーニングもしますし、守備で足が動くということはその後の送球にも関わってきますので足の動き、動かし方は非常に大事です。
――これまではどんなポジションを守ってきたのでしょうか?
リンドーア:野球を始めたときはセンターでしたが、その後はキャッチャー、ショート、ピッチャーもちょっとやりました。しかし体がそんなに大きくなかったのでショートに落ち着いたという感じです。
――スローイングも強くて正確ですよね。どうやってスローイングは磨いているのですか?
リンドーア:遠投をやるのがいいかなと思います。小さいターゲットを作り、そこをめがけて投げる練習をしておけば距離を短くしたときにターゲットが大きく見えるようになりますので。あとはしっかりどこに投げるのかというターゲットの意識を持って。
――遠投により腕に違和感があったりしたことはありましたか?
リンドーア:ちょっと腕の調子がよくないと感じたときは遠投はやりませんでした。
――投げ方についてはコーチからいろいろ教わったのでしょうか?
リンドーア:投げ方はお父さんから教わりました。とくに左腕の使い方ですね。グラブを投げるほうにつきだした左手を左の胸に持ってくるとか。投げるときのボールの握りの意識については2年前に変えました。それまではフォークボールとまでは言いませんが、結構指と指のあいだのスペースを広く使って投げてましたが、それだときれいな回転がかからないし、右に逸れたり左に逸れたりする可能性も大きいと言われ、変えました。
――リンドーア選手は視野の広い守備も持ち味だと思いますが、視野の広さは普段からどんなことを意識すれば鍛えられるのでしょうか?
リンドーア:いろいろが大事になります。ピッチャーがバッターにどういうボールを投げるのか、どういうバッターなのか、右打者だったり左打者だったり、それからポジショニングも大事ですね。ゴロ捕球の練習もいろんな強弱で、いろいろな方向に来る打球を捕る練習をします。
――リンドーア選手がオススメする守備練習を教えてください。
リンドーア:壁当てがいいと思いますよ。足を動かす練習にもなりますし、グローブの扱いの練習にもなります。私はノックを受けるときのグローブはフラットグローブといって小さくて平らなかたちをした守備練習用グローブを使います。これを使いながら姿勢を低く保ったままの捕球練習もします。この小さいフラットグローブはボールに集中するために非常にいい練習になります。
――ここまでのお話からリンドーア選手は足の動きをとても大切にしていることがわかります。そんなリンドーア選手の足元を支えるスパイクについて教えてください。
リンドーア:ニューバランスのスパイクを履いているのですが、とても良いです。ニューバランスの一員になることができてとてもうれしく思っています。ベストなブランドですからね。スパイクはもちろん、服やシューズなども良いものがたくさんありますし、ニューバランスは長く愛用していきたいです。昨年履いたスパイクはすごく良かったですし、自分のパフォーマンスの向上につながったと思います。
――リンドーア選手と言えば3年続けて二桁盗塁を記録されていますが、盗塁に関してはどう考えているのでしょうか。
リンドーア:すべてにおいて真ん中を意識するということが大事かなと思います。リードの歩幅に関しても、大きすぎてもダメですし、狭すぎてもダメです。リードのスタンスに関しては肩幅くらいの広さがちょうどいいですかね。
[page_break:強く振っていいボールを狙い、しっかり振る]強く振っていいボールを狙い、しっかり振る
フランシスコ・リンドーア選手
――リンドーア選手は野球を始めたときからどんな意識でバッティング練習をしていましたか?
リンドーア:まず前の試合のことや、今日の対戦相手のピッチャーのことを考えています。そして、一貫性も大事にしてます。センター返しを意識し、タイミングも大事にしています。
――ティーバッティングもやりますか?
リンドーア:ティーもやりますよ。いろいろな高さを打つ練習をします。そのあとにトスバッティングをやって体に覚えさせます。
――リンドーア選手は昨季33本塁打を放ちましたね。本塁打を打てる選手になるためにどんな取り組みをしてきましたか?
リンドーア:まず強く振っていいボールを狙い、しっかり振ることです。メジャーのピッチャーはそんなに失投がないので。
――1ストライク目を打つとか、2ストライク目までに打つとか決めていますか?
リンドーア:とくに決めていません。一応プランやアプローチの仕方は考えますが、ピッチャーもバッターによっていろいろアプローチを変えますから、難しいことが多いですね。
――リンドーア選手はいつからスイッチヒッターで、最初はどっちで打っていたのでしょうか?
リンドーア:最初は右でしたね。14、15歳くらいのときにスイッチにしました。自分で左打ちをやってみたいっていうのもありました。いつも父との練習のときに10球くらいなら左で打っていいと言われていましたが、試合では右で打っていました。
高校になったら寮生活で父もいませんから、父に左でやると話したら、左も右と同じくらい練習しないといけないと言われました。片方だけ成長しても意味がないので、両方を練習しました。右で100回振ったら、左も同じように100回振るようにしていました。
――2017年はHR30本を越えましたが、左右での違いはあるのでしょうか。
リンドーア:右の方がバットをコントロールできます。左はまだ10年くらいしかやっていないですし、元々は右打者で20年くらいやってますからね。
Vol.3では日本球界や、大谷 翔平選手についての話もお聞きすることができました。
(文・林 龍也)