国士舘vs立正大立正
国士舘・井田、奪三振16の快投!健闘の立正大立正を振り切る
井田 尚吾投手(国士舘)
国士舘、立正大立正ともに2日間連続の試合。国士舘は前日、エース・石井峻太の好投で早稲田実を破った。しかし、こうした大一番の後は、気持ちの持って生き方が難しい。「リセットするように言いましたが、影響はあったかもしれません」と、国士舘の永田 昌弘監督は言う。一方立正大立正は、エースの長瀬 嶺也が前日111球を投げて失点7と苦しんだ。この試合は、継投で切り抜けるしかない。
立正大立正は背番号10、変化球投手の岡山 太史が先発する。1回表、岡山は制球が定まれず、2つの四球を与える。けれども4番・嶋崎 優介の痛烈な打球は、三塁手・亀山 矩人のグラブに収まる。もしこの打球が抜けていれば、国士舘が大量点を奪っていたかもしれない。しかし0点で切り抜けると、岡山の術中にはまりだす。国士舘は走者を出しても、得点は奪えない。ただ長い回を投げさせるのは、相手の目も慣れてくるだけに禁物。4回表からは、連投となる福嶌竜輔がマウンドに上がる。
4回表国士舘は、この回先頭の三井 翔太が左前安打で出塁すると、犠打と暴投で三塁に進む。7番・門間 大樹の2球目にスクイズを仕掛けるが外され、三井は三本間に挟まれアウト。ホームが遠い。
一方国士舘は、2回戦の都立日野戦で完封勝利を挙げた左腕の井田 尚吾が先発。1回裏は奪三振2、3回裏には三者三振に抑えるなど、快調な投球。「スライダーが抜けていましたが、その分、ストレートが走っていました」と井田は言う。
快調な投球を続けていた井田だが、5回裏はこの回先頭の4番・青木 大空に左中間を破る三塁打を打たれる。それでも、後続の2人は倒れて二死。チャンスは潰れたかに思えたが、7番・溝口 憲司が詰まりながらも気持ちで持っていたような右前安打で青木が生還し、立正大立正が1点を先制する。都大会3試合連続完封勝利の国士舘としては、本大会で初の失点である。
三塁打の青木 大空(立正大立正)
しかし、ベテランの永田 昌弘監督が率いる国士舘は、先制されても慌てない。7回表は一死後、途中出場の6番・田中 勇祐が四球で出た後、7番・門間が左中間を破る二塁打を放ち同点。送球ミスの間に門間は三塁に進んだ。そして好投している9番・井田の右犠飛で逆転した。
逆転した後、井田の投球はますますエンジンがかかる。国士舘は、7回途中から登板している立正大立正のエース・長瀬を攻め、1番・倉田 和明、2番・内藤 晃、3番・内藤 真と三者連続安打で2点を追加して試合を決める。
9回裏も国士舘の井田は、2人から続けて三振を奪う。これで井田が奪った三振は16になった。ここで国士舘は、井田に代えて草薙柊太をマウンドに送る。永田監督が「球は一番速い」と言う草薙は、立正大立正の3番・市川 義希を三振に抑えて試合終了。国士舘が準決勝に駒を進め、佼成学園と対戦することが決まった。
この試合際立っていたのは、やはり奪三振16の井田の投球。永田監督は「井田が一番成長している」と、目を細める。井田自身は成長の理由について、「バッティングピッチャーで毎日100球を投げるなど、投げ込みの量を増やしたからだと思います」と語る。
国士舘は、早稲田実を完封した石井、この試合で16の三振を奪った井田、それに永田監督が「投げてみないと分からない」と言いつつも、3人の中で珠は一番速い草薙と3人の左腕投手がおり、投手陣の充実ぶりは群を抜く。それに4番の嶋崎あたりに本来の当たりが戻れば、さらに驚異の存在になるはずだ。
一方敗れた立正大立正は、前日一方的にリードしていた試合を追い上げられ、苦しみながら勝ち上がってきたが、この日は、控え投手を中心に国士舘打線を苦しめた。日大三からヤクルトに進んだ内田和也監督の下、確実に力をつけており、東東京にまた一つ新たな強豪校が誕生したことを感じさせるこの大会の戦いぶりであった。
(文=大島 裕史)
注目記事
・2017年秋季大会 特設ページ