試合レポート

二松学舎大附vs東海大菅生

2017.09.17

夏の東西東京代表対決!二松学舎大付粘りの攻撃で東海大菅生・戸田を攻略

二松学舎大附vs東海大菅生 | 高校野球ドットコム
石田(二松学舎大附)

 1次予選の初戦から、いきなりこの夏の東西東京代表が激突した。本来は東海大菅生のグラウンドで行われる予定であったが、混乱を予想して多摩一本杉球場に切り替えて行われた。それでも内野スタンドは、立ち見が出るほどの盛況であった。

 この夏、ともに甲子園を経験しているとはいえ、投手の実績では、3回戦の青森山田戦で完投勝利を挙げている戸田懐生を擁する東海大菅生が一枚上。二松学舎大附の市原勝人監督は、しっかり粘って四球で出る練習までした。この試合東海大菅生の戸田は、四球で崩れたわけではないが、二松学舎大附の粘りの攻撃が功を奏する。

 1回表、二松学舎大附はファールで粘りなどして、東海大菅生の先発・戸田を苦しめる。1番・石田稜真、2番・野村昇太郎、3番・畠山大豪と安打が3本続き1点を先制したが、いずれも2ストライクから、コツンと当てた打球が外野手の前に落ちるといった打球。

「初回は周りが見えていませんでした」と戸田が語るように、エースの冷静さを失わせる攻撃であった。さらに4番・平間陸斗の犠飛、6番・保川遥の右前安打で、1回表に二松学舎大附は3点を入れる。

 それでも、東海大菅生打線も力はある。2番・小山翔暉の右前安打に2つの四球で二死満塁とし、6番・中尾剛のライト線への二塁打で2点を返し、追い上げる。

 2回裏には二死から甲子園でも活躍した主将の田中幹也が二死から四球で出塁すると、すかさず二盗をし、さらに投手の暴投の間に三塁を回り、一気に本塁を突くが、これはアウト。東海大菅生は、自分たちのペースに持ち込めない。それでも3回裏には、小山翔がライトスタンドに入る本塁打を放つ。元U15日本代表メンバーで、注目の1年生でもある小山翔の一発で同点に追いついた。

 ここで二松学舎大附は、先発の左腕・海老原凪から右の石田恭賀に交代。捕手の畠山は右翼に回り、石崎創大がマスクをかぶった。これは、投手との相性によるものだという。代わった石田が丁寧な投球で東海大菅生を抑えて試合を作ったことが、二松学舎大附の中盤の猛攻を生む。


 5回表には、内野安打の1番・右田を一塁に置き、2番・野村が右中間をゴロで破る三塁打を放ち1点勝ち越し、4番・平間の左翼越えの二塁打で1点追加。7番・石崎の左前安打でさらに1点を追加する。

 この日の戸田は、球が全体に高く二松学舎大附の猛攻を許す。しかも二松学舎大附の上位打者は当たっており、6回表も3番・畠山、4番・平間の連続適時打で2点を追加する。東海大菅生の戸田にとっては、苦しいマウンドであるが、東海大菅生ベンチは、戸田を代える気配が全くない。

 8回表には畠山・平間の連続二塁打でさらに1点を追加。あわやコールドという展開になった。9回表になり東海大菅生は投手を戸田から、鈴木礼央に交代。しかし鈴木も3点を失った。9回裏に東海大菅生は、田中幹の二塁打などで2点を返すが、反撃もここまで。12対5と、思わぬ点差がつき、二松学舎大附が勝利した。

 それにしても初戦から、この夏の東西東京代表が激突するといういきなりのビッグカードになったが、二松学舎大附の市原監督は、「当たるのは想定の中です」と言う。試合会場となる学校は事実上のシードという形になるが、二松学舎大附はグラウンドが千葉県柏にあるため、試合会場にはなっていない。そのため二松学舎大附は、毎年強豪のいるブロックに入る可能性がある。その点の心の準備も大きい。

 ただ両チームとも、他のチームに比べて新チームのスタートは1カ月遅れ。二松学舎大附の市原監督は「まだ未熟です」と語る。とはいえ、二松学舎大附はこの秋も優勝候補であることは、間違いない。

 一方東海大菅生は、甲子園でも活躍した4番の片山昂星に当たりが出なかったものの、選手個々の力はかなりある。これから、チームとして仕上がって行けば、春や夏も当然優勝候補となる。新主将になった田中幹也は「この冬、チームが進化するようにやっていきたい」と語った。

 長かった夏に、短すぎた秋。そして待っている長い冬。この間に東海大菅生がどう進化するかは、第100回となる来年の夏の大会の行方にも大きな影響を与えるに違いない。

(文・写真=大島 裕史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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