韓国vs台湾
攻守に隙がない韓国 ポテンシャル豊かな台湾を9回に突き放す
本塁打を打った姜 白虎(韓国)
台湾vs韓国のアジアの強豪国対決。試合は2時間半遅れとなる11時半からプレーボールした。序盤は接戦だったが、終盤、韓国の投打でソツのない野球により台湾に大差をつけた。とはいえ、敗れた台湾も、アジア選手権準優勝したチームとくらべるとポテンシャルが高い選手が多かった。
台湾の先発は劉致榮。台湾では二刀流として評判が高い逸材だが、これは日本の高校球児と比較しても、十分にドラフト候補となりえる選手だ。まず一番目に付くのは、投球フォームの良さだ。左足がすっと立って、ゆったりと着地を行い、溜めを作り、内回りのテークバックから投げ込む右のオーバースロー。リリースに入るときに軸足のスパイクをプレートに押さえつけて、投げるときにキックをして、その勢いをボールに伝えている投手だ。
速球は常時140キロ~143キロを計測。回転数が高いストレートで、スライダーの切れも良い。身のこなしを見ていてもいかにも身体能力が高く、アスリート型のプレイヤー。
一方、韓国の先発・梁敞渉は昨年も韓国代表として投げていた完成度の高さがウリの大型右腕。高校生としては非常に完成された投手で、135キロ~140キロのストレートを内外角にしっかりと投げ込む。球速帯としては平均的だが、球質がしっかりとした好投手である。さらに130キロ近いカットボールのコンビネーションを売りにする投手である。台湾打線に対し、制球力重視の投球で抑える。
快調な投球を見せていた劉だが、3回表、制球が乱れ、一死一塁から9番の右前安打で一死一、三塁。1番BAE Jihwanの四球で満塁になると、2番CHOI Junwooの左犠飛で韓国が1点を先制する。4回表には、主砲のKANG Baekho(姜 白虎)が外角直球を見逃すことなく、左中間スタンドへ打ち込む本塁打で、1点を追加する。昨年から活躍していたスラッガーだが、さらに凄さを増している。アウトローのストレートを柳田悠岐ばりの救い上げるスイングで、左中間にもっていく高校生がいることに世界の広さを感じる。
姜は右足を一本足のように上げて、タイミングを測る選手で、とにかく強くボールを叩けるだけのスイングスピードがある。能力的には清宮幸太郎、安田尚憲と大差ない選手だろう。世界レベルのスラッガーである。
台湾は以降も、梁から打ち崩せず、無得点を重ね、韓国がじわりじわりと点を追加する。7回表、韓国は台湾の守備のミスから1点を追加すると、9回表、2番CHOI Junwooの適時打で1点を追加すると、さらに一死満塁。5番CHO Daehyunの痛烈な打球を三塁手が捕球できず、痛恨のエラーで2点を追加。6番HAN Donghuiも146キロのストレートを捉えて右中間を破る適時二塁打で、一挙5点を入れて、8対0と点差を広げた。
9回裏、台湾は台湾は1番WANG Hung-Yiの痛烈な中前安打、2番WANG Hung-Yiの左翼線二塁打で無死二、三塁とチャンスを作ると、3番KUO Tien-Hsinが左前へポテンヒットを打つと、4番CHIU Chih-Hengが痛烈な右前適時打で、2点を返したものの、反撃はここまで。韓国が8対2で勝利し、通算成績を2勝0敗とした。
韓国は投打ともに隙の無い試合運び。守備が堅く、打線はストレートに強く、台湾は計測する限り、劉致榮は143キロ、3番手・萬昭清は145キロ、4番手・古林睿煬は146キロを計測。速球投手に対してもしっかりと対応した。
韓国は優勝候補の一角として期待がかかるだろう。台湾は前回逃したスーパーラウンド進出を目指し、攻守を引き締め直し、次の試合に臨んでいきたい。
(文=河嶋 宗一)