藤原恭大(大阪桐蔭) 「新境地を拓いた左方向のバッティング」
第28回WBSC U-18ベースボールワールドカップ。日本代表はメキシコ代表と対戦。10対1で大勝したが、その先制打を打ったのが藤原 恭大である。大阪桐蔭の強打の1番打者として活躍を見せてきた藤原が早速、本領を発揮した。
木製バットを握って生まれた打撃面の意識の変化
藤原恭大(大阪桐蔭)
勢いに乗ったら止まらない藤原恭大が戻ってきた。10対1で大勝した日本だが、メキシコの先発・ガルデアは掛け値なしに良い投手だった。190センチの長身から繰り出す直球は常時140キロ前後で最速146キロ。事前情報がない藤原は、打席に立った瞬間。速いと感じたようだ。
やるべきことはトップの形成で立ち遅れないことと、そしてくらいつくことだ。藤原は甲子園の時と比べると、少しステップを小さくして、速球に対応することを意識。1打席目は自慢の俊足を生かして、遊撃内野安打で出塁した藤原。そして第2打席。一死満塁で打席に回ってきた。
「三振をしないこと。とにかくくらいついていくことを意識した」と振り返るこの打席はガルデアがこの日最速となる146キロのストレートだった。しっかりと叩いた打球はレフトの頭を超える走者一掃の適時二塁打となった。
左方向の打撃は藤原にとって1つの進化である。藤原といえば、インコースに強く、思い切り引っ張って本塁打あるいは長打にする選手であるが、今回は外角。それも146キロで微妙に動くストレートである。ここに藤原の打撃に新たな可能性を感じた。藤原自身、手ごたえを感じており、打撃スタイルの変化がこの二塁打を生んだ。
「金属バットだとホームランを意識してしまうのですが、木製ではそれができないので、とにかくヒットを打つことを心掛けて打っています」
藤原の打撃は先輩からの影響も大きく、主将である清宮幸太郎から柔軟性を学んでいるようだ。
「清宮さんの柔らかさ。あのバッティングは見習いたいですね。力が上手く抜けていますし、ああいうバッティングができればと思うのですが、なかなか難しいです」
安田 尚憲(履正社)からは自分のバッティングスタイルと似通っていることが大きく、参考になる点が多いようだ。
「安田さんのバッティングを見ると、パンチの強さが凄いと実感します。安田さんのバッティングが自分と似ているのは強くボールを叩くところで、いわゆるパンチショット。それを参考にしています」
こうして藤原は実力ある先輩から学び取りながら進化を見せている。今回の左方向へのバッティングは新境地を拓いたバッティングだったのではないだろうか。
「自然と逆方向に強い打球が行くのは調子が良い証拠です」と本人が語るように、藤原はさらにインパクトある活躍を見せてくれるはずだ。
(取材/文・河嶋 宗一)