第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ・アジア最大のライバル国・韓国代表!
左から金珉、姜白虎(いずれも韓国代表)
看板投手は辞退も、層の厚い投手陣
韓国の高校のチーム数は、鹿児島県とほぼ同じ74。8月13日から、地域予選なしに全てのチームが出場する鳳凰大旗全国高校野球大会が開催されているが、これから上位32チームが激突するという21日からは、代表に選ばれている選手は所属チームを離れ、代表練習に合流する。韓国の場合、大会の数が多いということもあるが、代表優先は当然のことになっている。
例年ドラフト会議は8月半ばに行われるが、今年はU18ワールドカップが終わる9月11日に行われる。それでもプロ球団が地元の選手を1人選択できる、ドラフト1位に相当する優先指名は既に行われている。
6月27日に発表された代表メンバーの中には、優先指名された選手が5人いる。投手はネクセンのアン・ウジン(徽文)、斗山のクァク・ビン(培明)、キム・ミン(裕信)の3人。内野手はSKのキム・ジョンウ(東山)、ロッテのハン・ドンヒ(慶南)の2人である。
このうち、エースとして期待されていたのは、156キロの速球を投げるというアン・ウジンであった。しかしアンは暴力事件の関与が取り沙汰されており辞退。アンの代わりにエース候補になっているのが、やはり150キロを超える速球を投げるクァク・ビンである。
昨年に続き、代表選出した身長187センチの長身右腕のキム・ミンは変化球の評価が高い。優先指名はされなかったが、ヤン・チャンソプ(徳寿)は、140キロ台半ばの速球とカーブを武器に、年度最初の全国大会である黄金獅子旗全国高校野球大会で、2年連続でMVPを受賞。安定感に定評があり、9月11日のドラフト会議の目玉になっている。ヤン・チャンソプと同じ高校のパク・トンスは横手投げで、同大会の優秀投手賞を受賞している。
国際大会はスター選手への登竜門
代表優先とはいえ韓国の各高校は、チーム運営などでプロ球団の依存度が高く、酷使を嫌うプロ球団の意向も無視できない。その点では、縛りの少ないキム・ギフン(東成)、ソ・ジュノン(慶南)の2人の2年生投手の役割も大きい。とりわけ、キム・ギフンは2年生ながら韓国ナンバー1左腕の呼び声が高く、打者としても評価が高い。
プロ野球は極端な打高投低になっているが、高校野球は投高打低。その中でプロから優先指名されたキム・ジョンウとハン・ドンヒに加え、強打の捕手と評判のカン・ベッコ(ソウル)が打線の中心になるだろう。俊足で、遊撃手の守備にも定評があるペ・ジファン(慶北)がリードオフマンになる可能性が高い。
韓国の目標は2008年以来の優勝。元中日の宣銅烈(ソン・ドンヨル/韓国代表監督)、韓国を代表するホームラン打者の李承燁(イ・スンヨプ/サムスン)、日本でもプレーした李大浩(イ・デホ/ロッテ)、金泰均(キム・テギュン/ハンファ)、メジャーリーガーの秋信守(チュ・シンス/レンジャーズ)、北京五輪では日本キラーだった金廣鉉(キム・グァンヒョン/SK)など、韓国野球のスター選手の多くは、高校時代に世界一を経験している。近年世代交代の遅れが言われているだけに、韓国球界としては、今回のU18の代表チームへの期待は大きい。
(文:大島 裕史)