個性的だけど実戦的。150キロを生み出す花咲徳栄・清水達也の投球フォーム!
今年のドラフト候補として期待される清水達也。最速148キロのストレートを投げ込む本格派右腕として、注目される。高校生でドラフト候補に挙がる投手の多くは先発投手として期待されるが、清水は早くもクローザー候補として期待したい右腕である。
目指すは史上最強のクローザー
清水達也(花咲徳栄)
高橋昂也に続く大物投手が現れた。昨夏の甲子園で最速143キロを計測。その後、新チームでは先発・中継ぎとして活躍するも、目立った活躍は少なかった。その清水が一気にドラフト候補としてマークされるきっかけとなった試合が、5月の関東大会・早稲田実業戦だ。リリーフで登板した清水はこの試合で驚きの最速148キロを連発。清宮幸太郎には、147キロのストレートで捕邪飛。4番野村大樹には148キロのストレートで空振り三振に奪うなど、力強い投球を見せてくれた。埼玉大会では、18回を投げて、12奪三振と思いのほか、三振は取れなかったが、それでも、防御率1.00と安定した成績を残した。そして決勝戦の浦和学院戦で、リリーフとして登場し、三者連続三振を奪うなど、3回5奪三振とここぞという場面で、素晴らしいピッチングを見せ、チームを3連覇に導いた。
そんな清水が甲子園に登場したのが、開星戦の9回。清水は立ち上がりから140キロを出す投手は多いが、指先にしっかりと力が伝わったストレートは、回転数、威力も十分で、一段階上のストレートを投げ込んでいた。ただ速いだけではない。プロのスカウトが絶賛するのもうなづけるストレートだ。
清水の投球フォームは俗にいうアーム式のテークバック。このフォームはスカウトによって好みが分かれる。投球フォームは好みではなく、あくまで実戦的で、強いボールを常に投げられる形ならば、どんな形は問題ない。清水の場合、細かく見ると、しっかりとポイントが取れている。清水の独特のテークバックを見ると、リリースまでもっていく腕の振りが実にリズムを取れていて、オーバースローに大事な胸郭の使い方がうまく、全身が連動したフォームとなっている。
花咲徳栄は投手育成に力を入れており、独自メソッドで多くの好投手を育成してきたが、もちろん投球フォームの理論的なことまで踏み込んで指導する。その花咲徳栄が一見、独特のフォームに見える清水のフォームを尊重し、ここまでの速球派右腕へ育てたのだから、素晴らしいといえる。
この試合の清水の様子を見ると満足いく様子ではなかった。夏の大会の優勝のため、調子を上げていかないと考えているのだろう。史上最強クローザーへ。花咲徳栄の勝利の瞬間はすべて清水達也が締める。
(文=河嶋宗一)
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