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悔しさを力に変えて 東東京大会で活躍を見せた2年生たち

2017.07.24

悔しさを力に変えて 東東京大会で活躍を見せた2年生たち | 高校野球ドットコム
石橋 康太(関東一)

 23日、東東京大会は準々決勝が行われた。今回は春まで故障や不調に泣き、その悔しさを力に変えて飛躍につなげた2年生たちを紹介したい。

■悔しさを力に変えて 東東京大会で活躍を見せた2年生たち

 まず紹介したいのが、帝京松澤海渡田中悠我である。松澤は北本市立東中時代、第8回BFAU-15選手権に出場するなど、国際大会の経験は豊富で、入学から期待され、1年秋にはエース格となった。しかしこのとき、レベルが高い相手に打ち込まれることが多く、悔しさを味わってきた。そこで松澤が取り組んできたのが、フォーム変更である。今まではオーソドックスな右腕だったが、まず足の上げ方を変えて、トルネード気味の足の上げ方に変えた。それが功を奏し、左足にしっかりと体重がのあって、フォームに連動性が出たことで、コンスタントに140キロ台を計時するようになり、さらに変化球も横滑りするスライダーに加えて、シンカーを習得したことで、一気に投球の幅を広げることに成功した。

 夏の大会に入ってからは3回戦で好リリーフ、5回戦では先発で好投を見せて、準々決勝に臨んでいた。この試合では5回裏からリリーフとして登場した松澤は最速142キロのストレート、スライダー、シンカーのコンビネーションで投球を組み立てて、東海大高輪台打線は併殺崩れの1点に抑えていた。しかし延長10回裏、サヨナラ打を浴び、マウンド上でうずくまった松澤。しかし帝京の3年生たちはすぐに松澤を労った。それはお前がいなければここまで勝ち進むことはできなかった。そんな光景だった。

 田中悠は1年生春からベンチ入りを果たした大型内野手。最初は二塁手だったが、今年になってショートに転向し、身体能力の高さを発揮している。特に良くなったのは打撃で、春ではパワーはあっても、打ち損じが多く、思うようなバッティングができずにいたが、この夏になって、打撃面で成長が見えた。しっかりと自分の形、自分のタイミングで打てるようになったことで、この夏は長打が多くなり、そして東海大高輪台戦では相手エース・宮路悠良から同点ホームラン。しかもライト方向と逆方向にも強い打球が打てることを証明した。

 惜しくも帝京はサヨナラ負け。しかし悔し涙を嬉し涙にできる時間はまだ1年残っている。さらなる精進を期待したい。

最後に紹介したいのが石橋康太関東一)。石橋は、千葉市リトルシニア時代、ジャイアンツカップに出場するなど、全国大会経験豊富。中学生離れの強肩で次々と走者を刺すスローイングが持ち主の選手だった。高校1年からベンチ入りをはたし、1年秋には正捕手としてスタメン出場を果たしていた。しかし2年春には故障で戦線離脱。ベンチにもはずれ悔しい思いをした。夏も戻ってこれるか、不透明な状況だったが、チームは復帰を待った。そして石橋は初戦の都立雪谷戦に復帰し、4打数1安打。そして途中からマスクも被った。4回戦の堀越戦では4打数2安打6打点。この試合ではコールド勝ちを決める満塁本塁打を放った。そして5回戦の都立小山台戦でも2試合連続となる本塁打。そして共栄学園戦では適時打を打ち、5回裏の打席だった。甘く入った直球を振り抜くと、打球はものすごい打球速度で、あっという間にレフトスタンドに入る本塁打となり、コールド勝ちを決めた。

 石橋のバッティングは素直で、インパクトに入るまでロスすることなく、振り抜くことができて、さらにスイングスピードも速く、腰をしっかりと回転させて打ち込むことができるので、驚異の飛距離を生み出すことができる。対応力、長打力、勝負強さと格の違いを見せた石橋。同じ東京都の2年生では野村大樹早稲田実業)に匹敵するほどの力量を持った選手ではないだろうか。

 3人とも3年生に負けないインパクトある活躍を見せている。今の段階でこれほどのパフォーマンスを見せているのだから、将来が楽しみといえるだろう。

帝京関東一は東東京のライバルである。ぜひ秋では選抜甲子園をかけて、火花を散らすような熱い戦いを期待したい。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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