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フレッシュオールスター出場予定選手が決定!藤平、今井、九鬼など高卒1年目の現在地

2017.07.01

 7月13日(木)に開催されるフレッシュ・オールスター(静岡草薙球場)の出場予定選手が30日に発表された。注目なのは、高卒1年目の選手がどれだけ出場しているかである。今年も、高校時代で甲子園、地方大会で活躍した逸材が出場をしている。今回は高卒1年目で出場する選手を限定して、彼らの現在地に迫っていきたい。(成績は6月30日まで)

昨年の日本代表から4人が選出

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左から今井達也(作新学院)、九鬼隆平(秀岳館)、藤平尚真(横浜)

 まず昨年の第11回BFA U-18アジア選手権で優勝したメンバーから4人が選出されている。

藤平 尚真横浜-東北楽天)
今井 達也作新学院-埼玉西武)
九鬼 隆平秀岳館-福岡ソフトバンク)
静岡鈴木 将平静岡-埼玉西武)
の4人が選出。3年夏に甲子園出場の藤平は高卒1年目ながら別格の成績を残している。二軍開幕からローテーションに定着。11試合に登板し、1勝2敗、防御率3.35だが、素晴らしいのは奪三振数。51イニングを投げて57奪三振。さらに投手の制球力を示すK/BBでも、2.11。一般的に好投手は2.00を上回る数値が望ましいとされており、高卒1年目としては優秀な成績である。さらに6月16日に一軍登板。ここまで順調に階段を上っている。そして甲子園優勝投手となった今井達也は怪我の離脱はあったが、復帰を果たしており、ここまで二軍戦で、3試合に登板。6イニングを投げて、3失点だが、それでも指先にしっかりと力が伝わったストレートは素晴らしい。フレッシュオールスターの経験がどう生きるのか。注目だ。

 打てて守れて走れる超高校生捕手・九鬼は、シーズン当初から三軍で積極的に起用され、3本塁打15打点7盗塁、打率.280、さらに自慢の強肩で次々と走者を刺してアウトを演出。そして二軍に昇格した九鬼は10試合に出場して、1本塁打2打点、打率.222と及第点を言える成績を残している。今売り出し中の強肩・甲斐拓也、二軍で正捕手の栗原陵矢とライバルは多いが、フレッシュオールスターの経験がさらに九鬼を成長させることができるのか。

 鈴木は、高校生の時点で走攻守ともにハイレベルで、高卒1年目で二軍のレギュラーが取れる選手という見通しが立っていた選手。そんな選手はなかなかいない。埼玉西武に入団した鈴木はファームの開幕からスタメンで出場。59試合に出場して、打率.240。すでに180打席のチャンスを与えられ、そして自慢の俊足で、10盗塁を記録。このまま右肩上がりで伸びていけば、将来、一軍のチャンスも見えてくるだろう。

 日本代表組みでは今井がやや出遅れたが、ほかの3人はファームで別格の成績を残しており、今後に期待がかかる。

[page_break:甲子園未出場組からも実力派がぞろぞろ]

甲子園未出場組からも実力派がぞろぞろ

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細川成也(明秀日立-横浜)は振って振ってファンを沸かせてほしい

 一方、甲子園出場組では、京山 将弥(近江-横浜DeNA)のみが出場。2015年春、2016年夏と二度の甲子園出場した京山は4試合に登板して、2勝1敗、防御率6.00と防御率が高いが、それでも滑らかな体重移動から繰り出す切れ味鋭い140キロ台のストレートは評価が高く、今後も気になる逸材である。

 甲子園未出場組では実力派が揃った。最速154キロ左腕・古谷優人江陵-福岡ソフトバンク)。昨夏は北北海道大会で30イニングを投げて49奪三振とドクターKぶりを発揮した古谷はまず三軍で先発中心で起用され、11試合に登板して、4勝2敗、防御率1.84と好成績を残すと、二軍では1試合登板して1イニングで2奪三振。150キロ超の速球と切れ味抜群のスライダーを披露している。エース候補としてじっくり育成している段階だが、12球団のファンが集まるフレッシュオールスターでは実力をアピールして、名前を覚えてもらいたい。

 175センチと投手としてそれほど上背はないが、154キロの速球を武器にする梅野雄吾(九産大九産-東京ヤクルト)は、8試合に登板して、防御率2.42、26回を投げ、25奪三振、K/BBも、2.60と各数字ともに高卒1年目としては優秀だ。

 打者では、細川 成也(明秀日立-横浜DeNA)、石垣 雅海(酒田南-中日)、坂倉 将吾日大三-広島)の3人が選出。高校通算63本塁打の細川は2月のキャンプで本塁打を連発するなど、大アピールしたが、その後はプロのレベルの高さに苦しみ、打率1割台に落ち込むときがあったが、ここまで55試合に出場して、打率2割ちょうど。2本塁打、10打点という成績を残している。214打席に立って89三振と2.4打席に1回は三振する確率だが、それでも横浜DeNAの首脳陣は細川の強みは強く振れるということが理解した上で、我慢強く起用しているのが分かる。細川の魅力はフルスイング。ぜひ三振を恐れることなく、フルスイングをして、ファンを沸かせてほしい。スイングだけで観客を沸かせることができるそうはいない。

 高校通算37本塁打の石垣は、25試合に出場して、打率.183とプロの壁に苦しんでいるが、石垣の魅力は長打力。フレッシュオールスターに出場するレベルが高い投手と対戦して、今後の試合に生かしてほしい思いで選出されたと考えられる。

 そして高校通算25本塁打の坂倉。最後の夏は16打数5安打、打率.313と突出したものではない。それでもプロのスカウトからの評価は高かった。1年後輩の櫻井周斗はこういう。「坂倉さんはもっと騒がれてもいい選手だと思っていました。とにかく打撃技術が高くて、ライナー性で全方向にホームランが打てますし、左右の打ち分けが非常に上手い。坂倉さんは僕にとってお手本となる選手でした。そんな坂倉さんを見抜いたカープさんは凄いなと感じています」
55試合に出場して、打率.294、48安打を記録。48安打はメヒアの84安打、バティスタの53安打に次ぐ数字で、三振数も176打席に立って16と、高卒離れした打撃技術とコンタクト技術を持っているのが分かる。甲子園出場はなかった坂倉だが、同級生の上を行く可能性は十分に持っている。

 フレッシュオールスターから羽ばたいて一軍で活躍する選手は非常に多い。古くでいえば、イチロー(マーリンズ)、里崎智也(元ロッテ)、青木宣親(アストロズ)、中田翔(北海道日本ハム)もフレッシュオールスターMVP経験者である。ぜひ高卒1年目の選手たちは多くのことを学び取って、将来の飛躍につなげることを期待したい。

(文=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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