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【愛知展望】至学館と中京大中京を東邦、栄徳、享栄などが追う!

2017.06.15

 東海地区で最も熱い愛知県。昨年の秋季県大会を制した中京大中京と今春の県大会を制して、東海大会も初制覇した至学館が総合力としては2強として競い合う。“私学4強”をはじめ、群雄割拠の愛知県の夏を展望する。

春に自信をつけた至学館、選手層の厚い中京大中京

川口 龍一(至学館)

 昨年の秋季県大会を制した中京大中京と今春の県大会を制して、東海大会も初制覇した至学館が総合力としては2強として競い合う。

 昨年は、センバツを賭けた東海地区大会準決勝で対戦して、9回二死走者なしから逆転サヨナラ勝ちした至学館がセンバツ切符を掴んだ。秋の至学館は県大会から東海地区大会まで、ミラクル旋風を巻き起こし、愛工大名電東邦享栄中京大中京といわゆる私学4強すべてに対して逆転サヨナラ勝ちという離れ業を演じた。

 変則左腕の川口龍一と歯切れのいい新美涼介の継投もポイントとなる。センバツでは打線に課題を残したものの、春季大会では打てるチーム作りも課題に掲げて準決勝、決勝と打ち勝った。鎌倉裕人井口敦太が軸で、ここへ来て爆発力も上がってきて、東海大会でも力を発揮した。持ち前の粘り強さも兼ね備えており、「ウチはどんなところが相手であっても、いつもと変わらないで戦えるだけの対応力がある」と、麻王義之監督も自信を持って言うが、それが自信となったこの春だった。

 総合力としては中京大中京が選手層も厚くて最も高い。昨秋の東海地区大会では、ほぼ確実に手中にしたかと思われたセンバツ切符が手元からこぼれていく悔しさを味わった。エース香村篤史も改めて「一球の大切さ」を痛感している。最速143キロ左腕・磯村峻平に141キロ左腕・伊藤稜と、続く投手陣も充実してきている。選手全員が一球の重みを心に刻んでの日々の練習の成果をこの夏にぶつけていく。4番の鵜飼航丞は、4月以降絶好調で本塁打を量産し、早稲田実業との招待試合で高校通算53号本塁打を放った。この好調さを維持していかれれば、引っ張られて打撃爆発となる可能性も高い。

[page_break:“私学4強”や伝統校も上位を伺う!]

“私学4強”や伝統校も上位を伺う!

釜谷 竜哉(栄徳)

 昨夏の代表校の東邦は、夏のメンバーは一新されたが、オールラウンドの田中来起を軸として今春も準優勝で存在感を示した。準決勝では序盤から中京大中京を圧倒しており、秘めた爆発力がある。

 エース釜谷竜哉に注目が集まる栄徳も侮れない。14年夏には決勝進出も果たしているが、近年は安定して上位に顔を出す存在となっている。系列校でもある伝統の享栄をもしのぐ勢いである。その享栄も、もちろん粘り強い。昨秋もベスト4に進出しているが、“私学4強”と呼ばれる伝統校の一角としての矜持もある。柴垣旭延監督が復帰して以来、着実に復活の道をたどっている。エース早矢仕飛希も安定している。6月の招待試合で早稲田実相手に好投したのも自信になっているはずだ。

 4強のもう一角でもある愛工大名電は、昨秋から今春とやや低迷したが、やはり個々の力はある。昨年5月に新球場が完成して、施設は県内一と言ってもいいくらいである。それだけに、その期待に応えたいところである。この夏はノーシードでの戦いとなるだけに、組み合わせ次第ではカギを握る存在にもなりそうだ。

 他には今春の全尾張大会を制した愛知啓成や準優勝の半田工も健闘している。知多地区ではで伝統の大府とともに、東浦にも期待が集まる。

 東三河勢では昨秋は準優勝して東海地区大会にも進出した原悠莉投手を擁する愛知桜丘、今春は長峯樹生らのバットでベスト8に進出した豊橋中央。あるいは安田怜央が踏ん張って全三河大会を制した豊川が注目されている。さらには、伝統の成章時習館の公立勢がどこまで整備してくるのかも期待が集まる。

 西三河勢では、昨夏もベスト4ながら、秋はブロックで敗退した愛産大三河も春季大会では盛り返してベスト8に残った。突出した選手はいなくても、試合巧者ぶりは相変わらずだ。全三河大会の決勝で豊川と延長15回を戦った豊田工や昨夏のベスト4で寺澤康明監督が毎年好チームを作り上げている西尾東と、県内屈指の進学校ながらも毎年粘り強い好チームの刈谷に、昨秋もある程度の力を示した安城東、伝統の豊田西も見逃せない。

(文・手束 仁


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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