タイブレーク、現場の意外な声とは?
左:宮本大勢(大体大浪商)/右:松本竜也(智辯学園)
春季近畿大会で導入後初めてとなる延長タイブレーク制度での決着がありました。一昨日(5月27日)に行われた、大体大浪商対智辯学園の試合です。
大体大浪商の先発・宮本大勢投手(3年)と、智辯学園のリリーフ・智辯学園松本竜也(3年)による見事な投げ合いで、延長12回を終えて1対1の同点。大会規定により13回からノーアウト一、二塁でスタートするタイブレークに入りました。
タイブレーク1イニング目は両チーム無得点。2イニング目は先攻の智辯学園が1点を取りますが、その裏に大体大浪商が2点を挙げて逆転サヨナラで決着しました。
試合後の取材で、両チームの投手がどう感じたのだろうと思い、エースに「今年は夏の大会で採用されないけど、来年以降、後輩たちが夏の大会などの大きな試合で経験するかもしれない。実際にやってみた感想を聞かせてください」と質問しました。その答え(感想)を紹介します。
智辯学園・智辯学園松本竜也投手
「タイブレークをやってみて、凄くやりがいがあると感じました。(裏の守りなので)点を取られたら終わりなのですが、抑えた時は倍以上にうれしいですし、何より楽しかったというのが今の気持ちです。緊張やプレッシャーはもちろんあるのですが、それを跳ね返すくらいでやれば、楽しい。」
大体大浪商・宮本大勢投手
「タイブレークは怖いです(笑)。でも抑えたら盛り上がるというのは感じました。13回に(先頭打者を)サードゴロでゲッツーをとった時は最高でした。」
これまでも高校、大学、社会人でタイブレークを経験した選手や指導者に話を聞いてきましたが、智辯学園の松本投手のように、やりがいと楽しさを最初に語った選手は高校生では初めてです。正直言って驚いたというのが質問した私の感想です。
一方で宮本投手のように怖い気持ちを話してくれる選手もいます。ただ、いきなり苦しい状況から始まって抑えた時の快感は怖さを上回るのかもしれません。この日の両投手はタイブレーク1イニング目となる13回を無失点で抑え、その快感を経験したようでした。
タイブレークの感想は人それぞれです。大会を運営する主催者と現場での考え方が違うこともあるでしょう。もっと言うと、現場レベルでも指導者と選手で感想が違うかもしれません。今後も継続的に、色んな方の声を届けていきたいと思います。
(文:松倉雄太)