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森 友哉選手(大阪桐蔭-埼玉西武ライオンズ)「大阪桐蔭野球部史に残る伝説のバッターに」【前編】

2017.04.15

 これまでプロで活躍する強打者、巧打者を数多く輩出してきた大阪桐蔭。その中でも実績面においてずば抜けたバッターといえば、史上7校目の春夏連覇に大きく貢献した森友哉(埼玉西武)ではないだろうか。

 2年春に甲子園デビューした森は四季連続で甲子園出場を果たし、そしてドラフト1位で埼玉西武入りすると、高卒1年目に6本塁打を放ち、高卒2年目には17本塁打、高卒3年目には打率.292、10本塁打とここまで高卒3年間で、33本塁打、260安打と高卒若手野手としては別格の成績を残している森友哉。3年間の成長について西谷浩一監督に語っていただいた。

 周囲は森のことを「やんちゃ坊主」と表するが、実際に森はどういう選手なのだろうか。

最も優れていたのはボールをアジャストする能力

森 友哉選手(大阪桐蔭-埼玉西武ライオンズ)「大阪桐蔭野球部史に残る伝説のバッターに」【前編】 | 高校野球ドットコム

西谷 浩一監督(大阪桐蔭)

 打撃能力は入学当初から際立っていた。西谷監督は当時の攻守の力量についてこう評する。
「森の打撃ですが、当てる能力といいますか、しっかりとアジャストをして、鋭い打球を飛ばす能力はずば抜けたものを持っていましたね。捕手として中学時代に投手をやっていたので、強肩でしたが、全体的に見るとまだまだでしたね。リード、キャッチングなどの能力はもちろんですが、捕手として一番大事な目配り、気配りはまだまだだと思います」

 1年秋に正捕手の座を掴んだ森は、打率.571、3本塁打、10打点と1年生離れした打撃成績を残し、1試合平均の許盗塁0.30と自慢の強肩を発揮していた。しかし西谷監督は、「まだまだエースの藤浪 晋太郎(現・阪神)、控えの澤田 圭佑(現・オリックス)に引っ張られている感じでしたね」と振り返る。

 一冬越えて迎えた2年の選抜では攻守で活躍を見せる。1回戦の花巻東戦では大谷翔平(現・北海道日本ハム)から3打数2安打を放つ活躍。さらに九州学院戦では4打数1安打の活躍を見せると、準々決勝の浦和学院戦では4打数3安打の活躍で準決勝進出を決める。そして準決勝の相手は健大高崎

 ここまで機動破壊を武器に強豪校を破ってきた健大高崎。その足をどう封じるのかがカギとみられていた。西谷監督は「藤浪のクイックタイムと森のスローイングのタイム。彼らがしっかりとやれば、理論上アウトにできると選手たちに伝えていました」

[page_break:2年生捕手として、史上7校目の春夏連覇に大きく貢献]

 そして2回表、森は一塁走者・神戸和貴を刺して盗塁を阻止。この盗塁阻止をきっかけに健大高崎の走者は全く走らなくなった。1対1の同点で迎えた8回裏、森は勝ち越しの本塁打を放ち、そのまま3対1で勝利決勝戦の光星学院戦では3打数ノーヒット1打点に終わったが、粘り強く投げるエース・藤浪を引っ張り、3失点完投を演出。2年春にして初の甲子園優勝を経験する。

 甲子園を優勝してからの森は精神的に成長した姿を見せた。
「甲子園が終わってから、自覚を持つようになってきたのか。森は先輩相手にも引っ張るようになってきましたね。うちはグラウンドに入ったら先輩、後輩も関係ないので、気おくれすることなく、チームを引っ張っていましたよ」

2年生捕手として、史上7校目の春夏連覇に大きく貢献

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大阪桐蔭時代の森選手

 そして森は夏の甲子園では攻守ともに成長した姿を見せていた。3回戦の濟々黌戦で相手エース・大竹耕太郎(現・早稲田大)から本塁打を放ち、準々決勝の天理戦でも、山本 竜也(現・天理大)から特大となる先頭打者本塁打と、インパクトある活躍を見せた森は、捕手としては藤浪、澤田をリード。甲子園に入ってから調子を上げてきた藤浪の持ち味を引き出し、史上7校目の春夏連覇に大きく貢献した。

 この活躍について西谷監督は「優勝できたのは間違いなく森の力が大きいですよ。ホームランを打ったのはもちろんですが、捕手として、藤浪や澤田など投手の力を引き出したのは大きいですね」と森の活躍をたたえる。

 そして、8月末に開催された第25回IBAF 18U世界野球選手権大会の代表メンバーに2年生ながら選ばれる。西谷監督は「森がぜひ行きたい!と話していたので、じゃあその経験をしっかりとチームに還元してこいと送り出しました」

 第25回IBAF 18U世界野球選手権大会ではチャイニーズ・タイペイ戦で本塁打を放つなど正捕手として活躍。すべての経験が3年生に出場したIBAF 18U ベースボールワールドカップ2013へとつながることになる。

後編では主将としてチームを牽引した森選手の知られざる姿を語っていただきました。お楽しみに!

(取材・文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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